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 「私、笑いなんかとれないわよ」(志摩子)

 またまた再読感想です。薔薇様卒業編の感動長編かと思いきや、最初の1冊はまったり笑える話で構成されてる感じ。祥子さま、志摩子さん辺りではちょっと深みのある部分が入ってるんですが、最初の1編が江利子さま主体の黄薔薇エピソードだからか全体の印象としてはお笑いチック。黄薔薇、黄薔薇革命以降はコメディ担当になってます。
●黄薔薇まっしぐら

 黄薔薇革命の時と同様、江利子さま絡みで謎が最初に提示されて、それがじょじょに明かされていくミステリ構成なお話。ミステリ風っても解答編とか本当おバカですが。

 だが、それがイイ!

 解答編、生徒指導室に関係者全員が集合してからの部分が爆笑。山辺先生までその場に登場した辺りからは本当もうどうしようかと。普段カッコいい系の祥子さま、志摩子さん辺りが普通に外野の驚き要員になってるのがウケる。こういう本格的に笑える話が小説で書ける人を本当尊敬します。ギャグ漫画やTVのコメディなどのように視覚的な助けを借りずに笑わせられるというのが素敵。昔の私的読書経験ではあんまり笑える小説というのを読んできた記憶がないんで、マリみてで開眼させられた部分です。

 深みの部分ではゴロンタ(1年生の間ではランチ)について聖と祐巳が会話する場面がね。何気に志摩子さん物語の中の重要な1シーンになってます。初読時はよく分からなかった部分ですが、『チェリーブロッサム』で志摩子さん物語の1つの着地をもう知ってる身からすると勿論分かります。群れる狼=リリアン、犬=寺の娘としての志摩子さん……という比喩で志摩子さんの事情について暗示させてた部分だったんですね。ここまでは志摩子さん関係の伏線が張られるのはほぼ聖&祐巳の会話。そこで聖から受け継いで祐巳が志摩子さん物語を解決に導くのか……と思わせておいて、この後乃梨子登場となる展開が、この時点からするとビックリです。

●いと忙し日日

 この話は疲れて最後には倒れちゃうまでの祐巳の描写がリアルです。段々、こうやって積み重なって限界まで来ちゃうんだよなーとしみじみ。そして、祐巳がボロボロになった時は聖さまが降臨というパターンがこの話でも健在。もうパターンなんだけど大好き。聖が保健室に入ってくる所でやっぱりきたーと思いましたよ。
 全体としては卒業していく学年から次を担う学年への「受け継ぎ」を主要登場人物以外のリリアン学生の描写(美術部の粋な二人とか)なんかも絡めて大きくは描いてます。ユートピアチックなリリアンという場所で、様々なものが連綿と受け継がれていく……というのはマリみての主題の一つです。
 されど、「おまけ」の隠し芸披露パートがまた爆笑なんでこっちの印象が強いです。繰り返しになりますが、本当よくこんな笑えるシーン書けるよなぁ。おまけに蓉子視点から爆笑してる祥子さまを見て、

 祥子は、ゆっくりだが確実に変わっている。

 の一文が挿入されて、ちょっぴり祥子さま物語の深みも入ってたり。前巻の再読感想で書いた通りちょっと孤高な感じだった人が、人との交流を経てちょっぴりまるくなっていく過程を描いてる感が祥子さま物語にはあると思うんですが、その流れの終着点がマリみての物語の一区切りになるんじゃないかと思ったり。祥子さま卒業話は今から楽しみです。

●一寸一服

 初読時と同じ感想しか出てきません。山辺先生!象とか恐竜より女子高生でしょ!普通!

 あー、江利子さまから告白されるならいくらでもロマンティストになりますよ、僕。

マリア様がみてる―いとしき歳月(前編)

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