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 「みんな!卵焼きと、タコさんウィンナーよ!」(キュアアクア)

 水無月かれんVSブンビーさんの管理職バトル。肉体的能力値を競うのではなく、会計スキルを競うという、これ何のプリキュア?という超展開。やっぱり、僕はプリキュア5が大好きだ。
 ◇

 第10話「腹ぺこナッツを救え!」 ではナッツがお金が無くて空腹で倒れてましたが、今回は皆大好き生徒会長水無月かれんさんが、生徒の皆から部費が足りないーお金が無いーとの陳情を受けてさあ困ったという状況に追い込まれます。前回第13話「りんちゃんの部活決定ーっ!」では、数ある未来(夢)の選択肢の中から一つ、フットサルを夏木さんが選んで夢への第一歩を踏み出しましたが、とはいえ、部費がなければ活動できません。そう、お金が無いことには夢も追えないのです。なんて現実!だからプリキュア5は大好きです。

 一方で、第10話でお金が無いがゆえの空腹をナッツとガマオくんで重ねて描かれたように、今回も組織の会計に悩むさまが、かれん生徒会長とブンビーさんとで重ねて描かれます。敵も味方もお金に困ってる。日本の国の借金返済期限もせまってきてるは、アメリカのベビーブーマー世代引退と共に引き起こされるであろう世界規模の市場変動も先行き不透明ということで、視聴者的にもお金の悩みでいっぱいいっぱい。だけどそんなお金にまみれた現実の中で、いかに君は夢を貫けるか!という熱い物語をプリキュア5は紡ぎ続けているのです。かなりテキトーに書いてるからあんまり本気にしちゃいけないぜ?

 そんな財政危機に、とりあえず水無月生徒会長、上(教頭先生)に財源の総量の方を増やせないものでしょうかととりあえず打診してみます。しかし教頭先生は理事長に一応報告してみるけど無理っぽいよ?とあくまで姿勢が後ろ向きです。まあそうだろうなと落ち込み気味で帰ってきたかれん生徒会長でしたが、親友のこまちさんがベンチで読書しながら待っててくれました。

 「他に何か方法があるはずよ、皆で考えてみましょう?」(秋元こまち)

 かれんさんがのぞみや皆に出会って変わったと指摘するこまちさん。ここでかれんの変化を示唆する仕込みを入れておく構成うまいー。そして、かれんさんに手を差し伸べるこまちさんの絵が非常に綺麗で、こまかれ組大喜び。

 一方、教頭先生から部費の値上げを打診された旨の報告を受けるサンクルミエール学園理事長。その声、その顔は、食堂でおつり30万円とギャグをかましていたけど最近では夏木さんに突っ込んでももらえなくなっていたあの人で。

 これは、財政難という課題にあたって、まだやれることがあるだろうし、あの娘達なら何かやるだろうとかれん生徒会長に信頼を置いているおタカ理事長と、まったく信頼を置いて無くてダメなら首切りですよとブンビーさんに対して割り切ってるカワリーノさんとの対比表現でしょう。やっぱり、就職するならサンクルミエール学園でしょうか。

 ここに来て、VS財政難という課題に対して、水無月生徒会長と、ブンビーさんとで取った行動が別れます。

水無月かれん生徒会長:部の備品を部間で交換しあって、資金を効率的にに運用。
ブンビー管理職さん:他にかける資金を全部自分に回して、単独特攻。

 勝負あった

 組織の会計運用はチーム戦です。ブンビーさんはちょっと経営に対するリテラシーが足りてなかった。かれん先輩がこまち先輩という参謀を要していたのに対して、ブンビーさんには相談できる相手がいなかったのも痛かった。組織管理職あがりのおじさん起業家が独力運営に固執して失敗する現実を風刺してるようで、朝から日本の経営者事情に想いを馳せさせられます。

 それにしても、かれんさんの親友にして参謀のこまちさんは高スペック。部費をあげてくれというユーザーの陳情を一喝で黙らせてしまうのみならず、次々と代案も提示します。ユーザーのご意見担当のサポートセンター係と、企画、立案部門の係を一人でこなしているようなもの。ナイトメア社さん、こういう人材こそ採用して!

・こまちさんの高スペック一例

▼案件:『源氏物語』をやるには衣装代が足りないという演劇部の陳情に対して

●我らがはじけるうららの回答:衣装代がかからない『金太郎』に劇を変えるべき

●こまちさんの回答:手芸部の発表の場として演劇を機能させ、代わりに手芸部の予算で衣装を作ってもらってはどうか

 うららの回答とスペックが違い過ぎます。うらら、演劇部のことなら女優(ただしあまり売れてない)の私にまかせて!という場面だったのに、金太郎はマズかった

 そんなこんなで、部費問題は上手くいきそうだという所で、敵キャラブンビーさん登場。移動費は経費で落ちてたんだ!という視聴者の驚愕をよそに、他人にまわす分の経費を全てつぎ込んだというコワイナー面を使用して襲いかかってきます。ついにお金をかければ戦闘力もアップする時代に突入しました。今年の二段階変身はお金で買うんじゃないかと僕もハラハラです。

 それなりの高性能を発揮するお金がかかったコワイナーでしたが、ここからが熱い。

 「やはり私の経費の使い方は正しいんだよカワリーノさん。役に立たない部下など信用せずに、はじめから全て私がやっていれば済んだことなんだよ」(ブンビーさん)

 「ウフフ」(キュアアクア)

 ブンビーさんの演説を聞いてるアクア先輩の口元の絵と、それから「ウフフ」と笑うアクア先輩怖え━━(゚Д゚;)━ッ

 「私も同じように考えていたこともあったわ。でも、そんなことを考えているようでは私達には絶対勝てない!」(キュアアクア)

 第05話「プリキュアの資格」との対応エピソードでした。「いつもそう、結局は、私がやらなきゃダメみたい……」とか言ってた水無月先輩の変化。独力志向から仲間志向への目覚め。Aパートでこまちさんが示唆してたかれん先輩の変化がここに収束してくる構成も熱い。

 ここで主題歌BGM開始で、仲間パワーによる逆転劇。はじけるあの娘が普段どおり真っ正面からレモネードフラッシュを撃った時にはビビりましたが、何と陽動のためでした。ああ、レモネードまで成長してしまっている!

 ◇

 エピローグはこまち先輩について。

 「実はかれんさんをリードしてるのってこまちさんじゃないですか?」(夏木りん)

 「てことはかれんさんよりこまちさんの方が強い?」(夢原のぞみ)

 うふふ」(秋元こまち)

 この会話中ずっと満面の笑みのこまち先輩怖え━━(゚Д゚;)━ッ。

◇おタカさん伏線

 というわけでサンクルミエール学園の理事長がおタカさんだったわけですが、5つの光に守られているというパルミエ王国の設定に対して、「サンクルミエール」はフランス語で「Cinq Lumiere」で(全員集合回の第06話のラストカットで綴りが明かされている)「5つの光」の意味。そもそもドリームコレットがサンクルミエール学園内にあった事実に加え、おタカさんがその学園の理事長。無印〜MaxHeartの光のクイーンや、SplashStarのフィーリア王女のポジションのキャラがまだ出てきていないという事実。そして、今話ラストであからさまに隠れられてないココを、目撃したのにあえてスルーしてるのだと解釈すると……。

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