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 「制服に守られてた頃は、挫折も妥協もしらなくて、自分のためだけの確かな道があるはずって信じてたっけ。私の生徒達も変わらないよ。自分があたりまえの女の子でなんかありたくないんだなァ。普通のオバサンにだけは死んでもなりたくない!みたいなねー。ジタバタしながら、みんな自分だけの冒険をさがしてる。はやくはやく、時間がなくなってしまう前にってね」

 神少女創作
 バーネット、モンゴメリ、オルコットなんかから連綿と続いていて、近年で「マリア様がみてる」に至ると僕が解釈している系譜がど真ん中な方には必ず読んで欲しい傑作クラシック少女漫画。あと、「Papa told me」なんかが好きな人にもお勧め。あの、少女の視点を持ち続けている存在だけが切り取れるファンタジックな真実……みたいなテイストのお話がぎっしりと詰まっています。Mネコさんは購入しておくように。
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 百合漫画の傑作みたいな評判を聞いてた作品なんですが、実質百合ものは1話だけで(同じ女学園に属する複数の主要登場人物にフォーカスをあてながら、1話完結の連編で綴られる形式です)、それも非常に美しい感じにまとめられているお話だけ。連綿と時間を超えて存在し続ける伝統ある女学園、その中で描かれる時を超えた想い、学年によって呼び名が違うネコの存在……など、「マリア様がみてる」が直接意識してるのではないかと思われるガジェットも複数認められるので、本当、小説、漫画を含めた一連の少女創作史の流れの中で少女作品を捉えながら満喫したい方には珠玉の全2巻です。

 全短編が、少女時代特有の何かしらの満たされ無さ、飢餓感のようなものを感じていた主要登場キャラが、一時のファンタジー体験を経て気持ちが昇華され、成長をとげ、それが連綿とした時間の中でくり返されていく……というお話を綴っている漫画なんですが、僕は男だけど、そういった思春期特有の何かしらの満たされ無さ、飢餓感っていうのは僕にも経験があって非常に共感できたなぁ。

 ファンタジー要素との融合も、お手本というくらい綺麗です。「Papa told me」に知世ちゃんが都会の中でドードー鳥と遭遇するお話がありますが、あれレベルのファンタジー要素が随所に絡められてると思って頂けたらと思います。それも、非常に高いレベルで。

 しかも、そういった各話のファンタジー要素に、全話を通して読むと分かる人だけ分かる的な縦軸のファンタジー要素も組み込まれていて、本当、これは凄いですよ。

 作中で女学園を卒業して大人になって現実に飲まれ気味になってしまった女性に大して、女学園が一時の潤いとして機能する場面があるのですが、それにあやかって、僕としても何かしら心に不満や負担を感じた時に、癒しのようなものを求めて折に触れて読み返す作品になりそうです。噂に違わぬ傑作。読めて良かった。

→僕が今回読んだのは新しいポプラ社版

ひみつの階段 (1) (POPLARコミックス―A zone)
ひみつの階段 (2) (POPLARコミックス―A zone)

→昔の偕成社版

ひみつの階段 (1)

ひみつの階段 (2)

→続編が4編収録されてるらしいので、今からチェック。

乙女は祈る―ひみつのドミトリー (POPLARコミックス (No.2))

→百合姫紺野キタさん特集

百合姫Selection 2007SPRING (2007) (百合姫BOOKS)