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 もうすぐ(14日)発売のフィギュアーツキュアドリームは最初に写真を見た時から一目惚れで、既にがつがつと予約済みな訳ですが、一方でもうちょっとライヴ性の夢原さん(のフィギュア)も欲しいなーという想いが最近特に強いです。
 ここで言うライヴ性というのは複製性の反対の概念で、無限に複製できるのではなく、場所、時間などが限定されているといった程度の意味。

 溢れるコピーに辟易して、反動として一回性、ライヴ性を求めはじめた人が増えているというのは実は現代消費の特徴なんですが(例えば、いくらでも複製可能な音楽CDの売り上げが伸び悩んでいるのをよそに、空間、時間が限定されている音楽ライヴのチケットなどは売り上げが好調)、それをフィギュア業界に当てはめると、フィギュアーツみたいな良くできた複製品ではなくて、制作者の魂がこもった一品限りのオーダーメイドみたいな感じになるのかな、と。

 具体的にはワンダーフェスティバルとかでしょうか。制作者が一日だけ版権を買って自分で作った版権作品のフィギュアを販売もできる(概意)というイベントな訳ですが、フィギュアの個数が一体(展示数に制限があるのか分からないですが、基本的に個人で何体もは作れない)と限定されている点、販売日・場所がその日一日、その場限りと時間が限定されている点などなど、えらくライヴ性なフィギュアの楽しみ方です(実際には後日オークションで買えたりもする点はちょっと脇に置いておいて)。

 そういうのには、僕も価値を感じますね。フィギュアーツもいいんですが、夢原さんが好きすぎてついついフィギュアまで作ってしまった人の怨念がこもった世界に一体だけの夢原フィギュアを、その場、その時の縁で譲り受ける、というのはなんかとても面白いことだと思います。

 また実は、このライヴ性志向のユーザーというのは、プリキュアコンテンツと特に相性がいいというのもあります。TEUCHI☆LIVEみたいな、それこそライヴ性全面押しのプリキュアイベントが盛り上がってるあたりからも伺える訳ですが、そもそもプリキュアという作品自体がユーザーのライヴ性に訴えかけるようにプロモーションされています。

 このネット時代、複製性礼賛時代に、おそらくプリキュアは本編をネット配信という形態は技術的には可能でも意図して取らないんですよ。何故なら、ストーリーや美麗なアニメーションを売っているだけじゃなくて、ライヴ性、プリキュアは日曜の朝8時30分から、その時、TVの前というその場所で、お父さんお母さんという人間と一緒に楽しく過ごせる時間、というライブ空間、コミュニケーション空間をも売っているコンテンツだからです。

 だから、劇場版とも相性がいいですし、そこを推していきます。劇場という限定された空間でみんなでミラクルライトを振ったり、今回のフレッシュの映画に至ってはエンディングでは劇場でみんなでダンスを踊ったりとやっている訳ですが、これは本編のストーリーや映像以上に、そういったお父さんお母さんと過ごすライヴ空間を提供したいというサービス意図がおそらくあるのです。

 ドリームライブも同じ。コンテンツとしての収益性を考えるなら、ケータイコンテンツにして着せ替えアプリゲームにでもした方がきっと儲かるんですが(ちょうど今mixiがやっきになってるように)、プリキュアサービスが志向しているのはそういう複製性ではない。自分の部屋に引きこもって、お父さんお母さんと違う時間に、ポチポチとケータイで着せ替え遊びをしてもらっても、それはプリキュアコンテンツのサービス哲学に反する。ドリームライブは、お父さんお母さんにショッピングモールとかおもちゃ屋さんに連れて行ってもらって、そこで一緒に100円を投入して、その時、その場で一緒にライヴ空間を共有してもらうことに意味がある。

 ビジネスは哲学が土壌、技術などは大事とは言ってもせいぜい肥料くらいの位置づけで、長期に渡って花を咲かせ、毎年収穫するには何よりも土壌となる哲学が大事だと、小さいながらも一自由業者のプレイヤーとして思っていますし痛感していますが、哲学がフラフラしてどうしようもないことになっているmixiをよそに、プリキュアサービスには哲学があります。伊達に6年続いて10億円生み出す映画を発信するコンテンツじゃない(ちなみに「ヱヴァ破」が興業収益38億円として注目されていますが、ビジネスオーナー視点では、シリーズコンテンツとして毎年映画を2回やれる底力を持ったプリキュアシリーズの方が凄いです。いや、「ヱヴァ破」の方はスタジオカラーの企業・会社としての試みが新しい方向で凄くてどっちも凄いんですが、「ヱヴァ破」の方の話はまたいつかの機会に)。監督とか脚本とか絵関係とか作品を作ってる人達も凄いけど、マーケッターとかも含めてサービス提供者全体がプリキュアは凄い。

 そしておそらく、お父さんお母さんと一緒に楽しめるライヴ性空間、もっと大袈裟に言えば生の実感の提供というこのサービス哲学は、作品の脚本さんにまで貫徹されています。フレッシュプリキュア!のストーリーがそんな感じですし、「映画フレッシュプリキュア!おもちゃの国は秘密がいっぱい!?」のストーリーも、玩具屋としての一時的な収益よりも、豊饒な土壌としてのプリキュア哲学を優先した、そっちの方が長期的な収益になると判断したのだと考えると腑に落ちます。詳しい話はまたいつかという感じですが、あの映画の内容で最後にプリキュアオールスターズDX2の予告が入る所が神がかっていて、ようは、「お父さんとお母さんと一緒に楽しめるライヴ性空間」というプリキュアの神髄さえ維持できれば、捨てられた玩具だなんてとんでもない、美墨さんは何度でも蘇る! という話です。サービス提供者としての圧倒的な自信と覚悟がどばどばほとばしっていました。

 ここまでマインドが強固でサービス提供者が本気なビジネスは、世界を見渡してもそうそう無いです。トム・フォードみたいなトップブランド(ファッション)や、マイケル・ジャクソンみたいなトップアーティスト(音楽)とか、それくらいのレベル。

 また、肉体的に死滅しないというのが凄い。トムやマイケルという個人が亡くなった場合(マイケルは本当に亡くなってしまいましたが)、魂は不滅でも、やっぱり厳格にビジネスとして減益曲線に入っていくのは避けられないと思うのですが、夢原さんとか、基本死なないですからね。語り継ぐ物語師、絵師、アニメーター、企画屋、マーケッター、etc、そしてファンがいる限り、何度でも蘇る。そういう意味では、昔冗談半分で書きましたが、性質としてはマジで宗教とかに近い。

 夢原さんは最終回で受け継がれ、繰り返される連鎖こそが本当の永遠だと叫び、桃園さんは幸せは今、そこにある一瞬で越える永遠だとせつな(刹那)さんを救済しましたが、ビジネスとしてもそれを地で行っている。

 僕らはプリキュアフォーメーションに燃えたり、パッションさんに萌えたり(これは僕だけど)しながら、わりととんでもないことに巻き込まれているのかもしれない……。

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