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 「プリキュアを信じていれば大丈夫だ」(番くん)

 ハートキャッチプリキュア!第48話「地球のため!夢のため!プリキュア最後の変身です!」の感想です。
 ◇

 今回の見所ベスト3。

第3位:番くん・なみなみフラグ

 ラスト2のアバンを任されたゲストキャラのお二人。普通にデザートデビルがうろうろしてるガチの危機をサバイバルしている中、ちょっと学園生活では生まれなかったラヴい何かも生まれたりしたんでしょうか。

 真面目にはこのセレクトは、広い括りでは二人とも「親の問題で悩んでいた人」、なみなみに至ってはもっと直接的に、「親の存在に関することが原因で妹と不和になってしまう」という、今回のゆりさんダークさん姉妹と重なる悩みを抱えていた人です。そして、それでもチェンジできた人。今話のクライマックスに全てがかかってくる構成になるという技アリのセレクトだと思います。

 「俺たちみんながプリキュアを信じていれば大丈夫だ」(番ケンジ)

 こ、ここは今話のテーマ的に、番くんがプリキュア離れをしても良かったような感じなんだけど、番くんはプリキュアクリエイターでもあるのが意味深だ……。深読みし過ぎだろうか。確かに、プリキュアは万能の魔法じゃないし、信じすぎて依存し過ぎてはダメだ。自分の問題の本質は自分にしか解決できない。でも、それはそれとして、プリキュアクリエイターとしては、まだまだDX3もスイートもあるからな! みたいなな!


第2位:サラマンダー男爵とオリヴィエ

 男爵とオリヴィエは博士が仮面をかぶる瞬間(=実質娘、子供を捨てた瞬間)を見ていたのか……。「親が欲しかった」という動機がありながら、妙に始終諦観していたような雰囲気を漂わせていた劇場版のサラマンダー男爵の意味がここにきてまた。

 今話は、わりと、

・親を欲しても得られなかった人間の話
・結果、憎しみで世界を壊そうとすることしかできなかった人間の話

 という劇場版の話とのリンクを押さえておきたい所。色んな人の想いが、最後のゆりさんの決断にかかっていく構成になっている。

 ハートキャッチ劇場版は普通に映画として素晴らしかったので、3月に出るDVD&Blu-rayなどお勧めです。


第1位:月影ゆり

 父やコロンが奪われた憎しみで最後の戦いに赴こうとするゆりさんに、花咲さんがそっとダークさんがずっと持っていた心の種の半分を差し出す。受け取りますか、受け取りませんか。と。

 「自分で考えて下さい」

 最後まで、今年の主人公にできるのはちょっとしたお助けだけ、問題の本質は当人にしか解決できない……のフォーマットは一貫。それでも、シリーズ通してのゲストキャラでもある月影ゆりさんに対して、最後にこの役回りを引き受けられるのは文脈上花咲さんしかいない。

 差し出した半分の心の種には、色んな意味が詰まっている。それはダークさんがすがった存在意義だし、最後には親の愛を受け取れたダークさんの物語でもある。

 ダークさんがただ(おそらくは強さや外見の美しさよりも)欲しかった親からの愛情や承認は、男爵やオリヴィエが心底欲したものだし、数多のゲストキャラがそれを求めて心悩ませたもの。

 さらにダークさんは妹でもある。「代わりがいる問題」に心を悩ませ、代替不可能な自分の本質に回帰して解決してきた、来海さんやいつきさんの物語もある。

 そんな色々なものがつまったダークさんの心の種を、最初から親の愛情完備で、それゆえに第二子ができてもなんら対立も嫉妬も憎みもしなかった、心の花を一度たりとも萎れさせなかった花咲さんが差し出している。本当に、最初から欠けている人間の心はたぶん幸せな人には分かって貰えないし、だけど欠けている人の助けになれるのは欠けていない人だけというようなシーンだ。強さも美しさも歴史もゆりさんの方が上だけど、この役回りができるのは花咲さんだけ。

 結論として、ゆりさんはそのダークさんの半分の心の種を受け取る。

 「私達は憎しみではなく、愛で戦いましょう」

 ようやっと、月影ゆり問題。ゆりさんとダークさんの話が終幕した。そしてその小さな疑似姉妹の擬似的な和解に、今までの色んなキャラクター達の物語が救済されている。ようやっと、第1話冒頭で欠けた月影ゆりの心の種は、満ちた。色んな含意で何重の意味にも使われてきた作品タイトルですが、ここが一番「ハートキャッチ」という感じでした。

 そこから怒濤の連続フォルテッシモから最後のオーケストラさん召還までの展開も熱い。

 これも劇場版補完が必要ですが、オーケストラさんの正体は初代キュアアンジェからのプリキュアの歴史みたいなのがたぶん無難な解釈。

 親から子へ、子からそのまた子へ、という話と
 キュアアンジェから次のプリキュアへ、そしてキュアフラワーからキュアムーンライトへ、ブロッサムへ、マリンへ、サンシャインへ、という話と、
 劇外の初代から次のシリーズへ、その次のシリーズへ、そしてそしてハートキャッチからスイートへ、みたいな話とを、

 三重奏で重ねて描いていたのはほぼ確かなハートキャッチという作品ですが、全てに共通しているのは、継ぐ者、自分から生まれる者への愛情。それがなければ、世代や歴史という概念自体が成り立たない。

 「今、万感の想いを込めて」

 月影父からダークさんが最後に貰った承認と愛情というミクロな話から、今までの歴代プリキュア達という大きい想いまで。全てを込めてオーケストラさんぬらりと召還。熱い。

 オーケストラさんの鉄拳がデューン様に炸裂した所で次回最終回。デューン様は、次回何か明かされるのか、クモジャキーさんコブラージャさん方式で、「何か当人の物語があった」解釈でボカすのかはともかく、子ども造形や、今回の自分はどうせ憎しみを受け続ける存在なんだよみたいな素振りから、テーマ上はやはり親から愛情を貰えなかった子ども的なポジションが無難な気がする。どちらにしろ、前提から敵も味方もどこか悲しさが漂う作品でした。だけど、そんな各人の苦しみも、魔法のプリキュア&心の大樹システムで全部解決万々歳になんてできない。当人の苦難は当人が引き受けるしかないし、他人にできるのはせいぜいちょっとした手助けくらい。

 結局、今作の正義は、劇場版で名も無きパリの人が泣いている花咲さんにハンカチを差し出した、あの感覚だったんだなと、しみじみと次回の最終回を待つのでした。

→凄い良かった映画

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