「パイプオルガンが完成した」(音吉さん)

 スイートプリキュア♪第44話「ドレラド〜♪ 聖なる夜に生まれた奇跡ニャ!」の感想です。
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 今回の見所ベスト1。

第1位:ハートのト音記号新生

 劇場版を見た時からこの展開は予想していたのだけど、やはり「全てが奪われても自分のビートでもう一度立ち上がる」は熱かった。

 変身アイテム(を起動するハートのト音記号)は奪われ、不幸のメロディは完成し、加音町の住人は石となり、街から音楽は消えた。世界を覆うのはノイズ(意思疎通を断絶する、不定形の不安)のみ。だけど、物理的な音楽を失っても自分の心臓の鼓動はまだ鳴っている。あらゆるものが認識の仕方で善悪が変わるがゆえに不信に覆われたとしても、今ここにいる自分のビートだけは確かだ。

 両親のパートが挿入されていたのも良かった。響さんは結局自分のビートで立ち上がったが、そのビートは共同体や、特に両親と繋がっているものだという感じになっていた。直接的に母親という昔心臓の音を聴いていた関係もそれを連想させるし(誰にでもあった、不確かな不安などなかった頃)、世界に音楽が満ちていると言っていたのもやはり響母であった。

 そういう流れで、自分のビート、自分の心臓の鼓動という音楽から、ハートのト音記号が新たに生まれて伝説の楽譜に新たなページが出現。全て失ったとしても、また新しい音楽を今ここにいる自分から始めることはできる。個人的にも今年はタイムリーに胸にくるメッセージだ。設定的に若干アフロディテ様から付与された感がある前(奪われた方の)ト音記号よりも、家族が再生されていたり、自分のビート(夢など)を見つけている分、物語を経て今回自身から創出された新ト音記号の方が力強い印象も受けます。「絶対諦めない」もイイ。シリーズ哲学の原典。MaxHeart最終回の雪城さんの心の自由にまつわる演説も、ようはどんな逆境でも、自分のハートのト音記号は消せない、奪われない、というものだった。

 そんな大盛り上がりの中、調べの館が戦艦に変形していざファイナルバトルへ。ちょ、調べの館は物語冒頭(→ぼっちの響さんとエレンさんだけ)→物語後の今回(→みんなで賑わっていて共同体が再生されている)……を表現するためのギミックで終わりじゃなかったの。戦艦とかになるの。いや分かるけど。連帯の再生とかの象徴なんだろうから、不信や断絶のラスボスであるノイズ様と戦うのにちゃんと意味づけ的にばっちりになってるけど。戦艦化するの。東映の想像力は何気ないものがエラく変形するのであなどれないというのは電車がヘリコプターに変形した頃から感じていたよ。

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→前回:スイートプリキュア♪第43話「シクシク…… 不幸のメロディが完成しちゃったニャ!」感想へ
次回スイートプリキュア♪第45話「ブォ〜ン♪ノイズの好きにはさせないニャ!」の感想へ
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