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プリキュアシリーズ に参加中!
 という訳で、公開初日に観てきた『映画プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち』の感想です。
 ネタバレを含んでおりますので、まだ観てない方はご注意下さい。
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 『映画プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち』の見所ベスト5。

第5位:視点変更

 DXからNewStageの一番の変更点は、おそらくお話の視点が、「街に集まってくるプリキュアたち」から、「プリキュアに集まられてくる街(の一般人の「私」)」に変更になってること。

 そんな街の一般人代表の坂上あゆみさんが、プリキュアになった娘たちのifとして描かれながら話が進んでいく。

 転校生、なんだけど、大樹の下で幼少時に出会っていた運命のパートナーがクラスメイトにいたり、初日から積極的に話しかけてくれるウザかわいい青い子がいたり、自己紹介が失敗してもフォローしてくれる恵まれた級友たちがいたり、はしない。

 どちらかといえば孤独で、初期雪城さんであり、初期水無月先輩であり、初期ゆりさんであり、初期響さんな感じだけど、頭脳方面の能力も、体力方面の能力も、特にはない。

 プリキュアに憧れながら、助けてもらう側、もうちょっと頑張っても応援する側、という一般人。私は、プリキュアではない、我々はプリキュアではない、という出だし。プリキュアが固有名詞過ぎるなら、「輝いている人たち」とか「凄い人たち」くらいの言葉にすると、一般度が高まります。我々は、そういう人にはなれないんじゃないか、そういう人たちとは違うんじゃないか、というアンニュイさで話が始まります。

 「言わなきゃわからないよ」と折に触れて語り、さらりと花咲さんに接触してきた来海さんのあり方が、あゆみさんには遠い。級友にすら、満足に話しかけられない。


第4位:坂上あゆみ

 がっかり一般人代表みたいな始まり方だったけど、特にGoGo!以降のシリーズのテーマが凝縮された主人公になっていたと思います。


●5GoGo!

 最終的には、フーちゃんと話すために直接会いに行きます。50話近くかけてただフローラさんに会いに行った夢原さん。

 最近『プリキュアシンドローム』で知ったことですが、GoGo!で変身アイテムが携帯モチーフなのに、異世界に飛ばされた時以外はキュアモを通信道具として使わせなかったのは、このテーマの徹底のためだったとのこと。やっぱり、直接会って話さないとダメなんです。


●フレッシュ

 特に感じたのは、一回ダメになりかけたところでそれでもフーちゃんに会いに行ったという「やり直せる」という部分と、劇場版の「謝るために駆ける」と、本編の「友だちが悪いことをしてたらどうするか」。僕のフレッシュ大好きフィルターがかかってる可能性もあるけど、フレッシュ分が多めの映画だったと思いました。

 もう、無駄に自分のプリキュアリテラシーが高いので、友だちが悪いことしてたら、とりあえず駆けて会いに行く……のところは、カオルちゃんのアドバイスのシーンとか背後に幻視しましたよ。桃園さんも、イース様に会いに行った。駆けた。その後、桃園さんとイース様は殴り合いになった! ちゃ、ちゃんと通常対話で決着させたあゆみさんを見せられると、桃園さんも結構アグレッシブだったのが分かるなっ。


●ハートキャッチ

 通りすがりの善意でも、少しは助けることができる。

 フーちゃんを最初に助けたシーンはもろにハートキャッチイズムだと思いました。


●スイート

 GoGo!と重なりますが(そもそもスイートがだいぶGoGo!を踏襲している)、認識の祖語を埋めるために、ちゃんと会って話す。言葉の誤解、認識の違いで状況が悪化していくのは、まさにスイートパターン。その解法も、愚直にメフィスト様と向かい合ったアコのごとく、ちゃんと対話するしかない。

 今回は特に、スイートっぽく語れば、あゆみさんとフーちゃんの断絶(というか認識の齟齬)と、坂上さん(一般人)とプリキュアたちの断絶、という二つの断絶があります。僕的には後者の断絶の方がメッセージ性高いなと思いました。

 その場合の解法は、スイートの共有体験という解法的には、「プリキュアも意外と自分と同じ普通の女の子だった」というあたりでしょうか。一番オドオド力が高いピースが結構な役割を果たしてたのは見事。よかった、一部思わずさらなる断絶を感じざるを得ないような高スペック変身前娘もいるので、やよいさんは貴重な人材だった。




第3位:相変わらずの感じ

 ちょっとがっかり感漂う一般人のあゆみさんだけど、勇気を振り絞って友だち(フーちゃん)と会って話す、伝えることを伝えると決意。

 それは本当にささやかな一歩だけど、プリキュアシリーズ的に全肯定される貴重な意志なので、全プリキュアがただ友だちに会いに行く坂上さんを援護。


●ハートキャッチ組

 今回はスイート組とスマイル組に絞ったのかなくらいに思い始めていたので、ただ出てきただけで否応なく盛り上がりました。花咲さんの独特のカッコ良さは異常。

 そして、例によってこの人たちは相変わらず深い事情は全然存じてない辺りが熱い。明らかに坂上さんの事情は知らない。私たちですか? 通りすがりのプリキュアです! 深い事情、いや、存じてないんですが……。でもこの人たちはそれがカッコいい。

 そして相変わらず深い事情は存じてないわりに強力な必殺技は容赦なく撃ちこむ月光さん怖いっ。


●フレッシュ組

 すごいカッコよく登場するハートキャッチ組に加えて、なんか知らず知らずのうちに来ました、みたいな例によって庶民的なフレッシュ組。発せられた言葉は「道に迷ってた」。た、確かにそれがフレッシュの大事なテーマだが。第一話で桃園さんが道に迷い、最終戦でもタルトが迷路に迷いと、道に迷うことには定評があるのがフレッシュ組だが。それでも迷っても自分で道が選べる方がいい、みたいな話だったが。

 しかし、この庶民度は、今作のテーマ的には貴重です。坂上さん、そこの「あたし、完璧」の蒼い人とか、全然完璧じゃないから。むしろガッカリ感の共有体験とか、がっかり感には並々ならぬ定評がある4人だからっ!


第2位:「私」がプリキュアになる

 一般人、普通の少女が魔法少女になる、という、プリキュアシリーズのみならず日本の魔法少女もの全般の第一話を、NewStageと題してこれまで積み重なったプリキュア文脈を乗せて丁寧に一本の映画として描いた、という感じ。

 普通の少女の変身シーンがクライマックスというのが、「贅沢な第一話」という感じです。

 一般人とプリキュアになれる娘とは、断絶してるのかもしれないけど、それは埋めることができる、という解答だった。キュアエコーとスイートさん的な名を冠し、スマイルさんのデコルで変身するというのも、何やら架け橋的。(ビジュアル演出でも、最後、フーちゃんへの道のりが輝く階段、架け橋になる。)

 その一歩を埋めるものが何なのかは、劇中でも言葉にはされているけど、その背後にある圧倒的なプリキュア文脈をむしろ味わいたい感じ。例えばフレッシュでも第一話のステージを見上げる桃園さんと最終回の自身がステージに上がる桃園さんで表現されていた文脈だし、ハートキャッチ以下もステージ(舞台)(Stage)は印象的に使われてきた比喩装置。

 キュアエコーに変身した坂上さんが、ミラクルライトを降る側から降られる側に回って、世界はこんなにも応援に満ちていたのかと気づく、というのもイイ。そろそろ、我々一般人も応援してるだけじゃなくて、自分が主人公として、自分の舞台に上がるターンなのだった。それでようやっと、応援してくれる人たちっていたんだ、と気づける。


第1位:和解エンド

 ちゃんと直接会ってフーちゃんと話したのちの、対話による和解エンド。討伐にも至らなかったし、悲しみの共有を理解する前段階としての殴り合いすらなかった。キュアエコーには武装技すらないがごとく。会って、心から話す、それだけで決着。プリキュアさんたちが逆にフュージョンが綺麗にも解釈できると驚いているのが技アリ。一般人なりのやり方、見せ場というものが、ある。

 繰り返しになるけど、和解エンドへの道筋は、GoGo!〜スイートラインで特に強調されていた、「直接会って心から話す」ということ。

 最初の方の、思いっきり走ってあゆみさんを追いかけてきて、心から謝った響さんとみゆきさんが仕込みで、クライマックスで、その行動をあゆみさん自身が踏襲することになる。素でそれができる響さんとみゆきさんはやはりプリキュアだけど、一般人のあゆみさんもそれをやることはできる。そういう意味でも「『私』もプリキュアになれる」というテーマの映画だったと思いました。

 あと、理想的な対話による解決というハッピーエンドが壊れそうになった所で、スマイル組がそれを守る、というのは、本編でもフォーカスされるのかはまだ分からないけど、「ハッピーエンドの守り人」みたいなスマイル組のあり方も見えた気がする。

 響さんも、組曲はできてない、自分は孤独だ、という時期から、でも奏の家族という繋がりが尊いということは分かるから私はそれを守る、という人だった。どことなく現実はメルヘンのようにはいかない、自分がスマイルできるハッピーエンドになるかは分からない、とどこかで自覚しつつも、他人のハッピーエンドやスマイルはそれは尊いことだと分かるから守りたい、みたいな『仮面ライダー555』のたっくんイズムみたいなのだとしたらカッコいい。

 たぶん今年の『スマイル』は、昨年『スイート』で悲しみの共有体験をもとにみんなで立ち上がったのを受けての、共有体験としてのハッピーな未来を厳しい現実で模索するお話。と思ってるんですが、そんなストーリーラインの解法の断片も見えた気がした映画でした。良い映画だった。

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映画プリキュアシリーズの感想へ

→前回:スマイルプリキュア!第6話「チーム結成!スマイルプリキュア!!」感想へ
→次回:スマイルプリキュア!第7話「どこなの?わたし達のひみつ基地!?」の感想へ
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