・最初に思ったのは、本編で描かれてる、他人全員に愛を散布しようとするマナさんに対して、マナさんを独り占めできない側は嫉妬する(六花や真琴の話など)、というような辺りを、「結婚」という「一人の人を愛する」イベントを通して描いてみるのかな、というもの。例年通り、TVシリーズ完結先取りの作品テーマ的収斂編の勢いがタイトル発表だけで伝わってくる……。
「士郎、誰かを救うという事は、誰かを助けないという事なんだ」(衛宮切嗣)
「何故ならアンタの中では、どうしてか知らないけど、自分より他人の方が大切だからよ」(遠坂凛)
「士郎だって判ってるでしょ?ぜんぶを選ぶことはできない。助けられるのは一人だけなんだって」(イリヤスフィール)
(全て『Fate/ stay night』より)
・女児向け作品と中高生女子向け作品とではまた少し違うけれども、少し前だとケータイ小説、今だとLINEマンガ辺りのヒットチャートに、世相的な「女子が戦ってる対象や戦う動機」はある程度にじみ出てる気がしています。LINEマンガだと、「夫を大事にしてる主婦でありながら裏では女組長で強権的な男性を格で圧倒して倒す」みたいな筋書の、男性優位社会と戦ってみたり、動機は自己重要感の補てんだったりが、まだ多い印象。
・プリキュアシリーズは少し違っていて、既に数作前から、社会的優位者を倒すとか、成し遂げて自己実現するとか、「凄い人になる」が必ずしも動機や目的になってない感じ。しょぼい私がトップアイドルになる、お金持ちになる、知力で一位になる、プリキュアという何か凄い存在になる。必ずしもそういう普通の「成功」みたいなものに、主眼が置かれていない感じ。じゃあ何をやっているのか、というと、これは東日本大震災以降の東映ヒーロー像に顕著な気がしているけど、普通の一般人としてのヒーロー性、精神性の求道。『ハートキャッチプリキュア!』ならMVPは道端で泣いている花咲さんにハンカチを差し出した名もなきパリの人(『映画』のワンシーン)だし、『スマイルプリキュア!』なら、ヒーローは例えば児童化したみゆきたちを見守っていたおまわりさん。分かりやすい「凄い人」だけが、ヒーローじゃない。
・そういう方向性ゆえに、おそらく『ドキドキ!プリキュア』は最初から高スペック、既に「成功」してるかのような設定の四人が主人公なのだと思う。逆説的に、表面的な成功とヒーロー性は違う、ということを描くために。どんな表面的な成功者でも、心がジコチューで闇を暴走させていては、むしろ悪になる。そういう構造だから改めて問われる、ヒーローって何だろう、何のために戦うのだろう、表面的に変身だけできればイイわけじゃない、プリキュアって何だろう、と。そうして、『ドキドキ!』でもありすの変身回なんかで言語化もされていたけど、プリキュアシリーズを通して、そういう理由の一つは「大切な人たちを守る」というもの。
・という訳で、「大切な人を守る」「一般人としてのヒーロー」という流れになると、やっぱ「結婚」の話になるよな、と。秋の映画も楽しみなのです。
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