「お金?」(白雪ひめ)

 ハピネスチャージプリキュア!第5話「めぐみとひめ!仲良しおたすけ大作戦!!」の感想です。
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 今回の見所ベスト1。


第1位:プレ幸せの王子


 最近のプリキュアシリーズでは例年第1話には前シリーズのモチーフが使われたりするのですが(『フレッシュ』→『ハートキャッチ』では、クローバーを見つける花咲さん、など)、今回の『ドキドキ!』→『ハピネスチャージ』では、塔の上から宝石(的なもの)を投げるヒメルダさんのシーンで、『ドキドキ!プリキュア』の「幸せの王子と街の人達」モチーフと繋がっているのを描いているのだと思っておりました。

 なのだけど、序盤の話に今話を観てみると、第1話だけの様式的モチーフ継承描写だけじゃなくて、どうも『ドキドキ!プリキュア』とは「他人の幸せを願って宝石をくばり続けた幸せの王子とそれを受け取って次の幸せの王子へと立ち上がる街の人達」というモチーフが、『ハピネスチャージプリキュア!』全体のストーリーともかなり食い込んで絡んでいるのやも、と感じ始めています。

 今話でも、上述の練馬の塔が情景描写として印象的に何回も出てきますし(今話のめぐみが「宝石を配る」的な行為をしてる比喩な気がする)、今話序盤の人助けパートは、本当自分の幸せを顧みないで他人のために宝石を分け与え続けた相田マナさん的で「幸せの王子」的。

 なのだけど、ひめの「お母さんたちを助ける」や、めぐみの「お母さんの健康」は、そんなプレ「幸せの王子」的なふるまいをしてる現在のめぐみやひめには叶えることができず、「集まると願いを叶えてくれる謎の本」頼みなんですね。メルヘン頼み。プリキュアシリーズでは、『5』のドリームコレットにしろ、『スマイル』のロイヤルクイーン様にしろ、この手の「願いを叶えてくれる」メルヘン装置、メルヘン現象は最終的に意義を失うように描かれますので、今回も、二人のお母さんへの願いは、メルヘンでは叶わないような気がするなぁ。

 と、そんな『スマイル』的、メルヘンと現実は違うでしょ感を背後に感じ取らせつつ、じゃあ救いはないのか、と思うと、「なんで人助けするのか」という問いに対するめぐみさんの返答が、


 「私は何故人助けをしたいのか分からない」(キュアラブリー)


 なのだけど、前半でお母さんが喜ぶからだという趣旨のことも言ってるあたりからも、これ、その人助けをする的なハートはお母さんから継いだもの。『スマイル』のやよいさん物語的な、「親の愛情が伝導して、子のハートの内側に灯っているもの」なんだよね、たぶん。

 その、母から子へ伝導してる愛という話が、作品として、『ドキドキ!』から表面的なモチーフだけじゃなく『ハピネスチャージ』に伝導してるものがある、というのと重なると感じます。

 何回か書いてるのだけど、愛乃めぐみさんは、幸せの王子から愛を受け取って立ち上がった街の人、プレ相田マナさん的に今の所描かれてると思うのですよね(だから二人が直接出会う『映画プリキュアオールスターズNS3』はとても楽しみなのだけど)。愛を配って回る志向性はもう持ってるし、立ち上がっているのだけど、まだひめのお母さんを助けたりはできない、プレプリキュア(例えばだけど、お母さんの健康はともかく、ひめのお母さん救出は、マナさん級の伝説プリキュアクラスなら、できそう。)。まずは、そんな立ち上がった街の人が、幸せの王子に、プレプリキュアが、本当のプリキュアに、いきなりはなれないけれど、なっていく、まずはそこまでを描いていくのだと感じています。

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 話題のプリキュア10周年歴代プリキュアさん企画。今回はハッピーさん。これも、『スマイルプリキュア!』の感想カテゴリにリンクを張っておいてみます

 未だに日常の楽しい回は良いのだけど終盤が急で縦軸の物語構成がなってないなどという視聴者さんたちの話を聞くこともありますが、そうじゃなくて、「メルヘンは唐突に終わる」というのを一つの主題に描いてる作品なので(世相的にも、日常が唐突に終わる出来事があった時期で、それでもスマイルを届けたいという制作動機があったであろう作品なのが、各種インタビューなどを読むと伝わってくる。)、表面的な「仲間と一緒の日常楽しい」パートがメルヘンパートで、それがロイヤルクロックの針が12時を回る頃のストーリー展開(当然その時間に魔法が解ける『シンデレラ』モチーフ)に合わせて、終盤「唐突に終わる」ことを縦軸の展開構成として意図して描いているのですよね。むしろ構成しっかりしてる方だと思うのです。

 あとは『赤毛のアン』を絡めたりした、「メルヘンは伝承される」というテーマ。今回ハッピーさんなのは、「プリキュアになるまでの物語」を感じさせるから(ラスト3の自身のバッドエンド未来であるバッドエンドプリキュアを乗り越えて、理想として掲げていた「名前の由来」に到達する時に、ようやっと未来軸に描いていたプリキュアに到達する。)かとも思ったけれど、「メルヘンの儚さ」と、「でも伝承されるメルヘンを糧に、自分がメルヘンを体現する」というテーマが、お母さんからの愛は伝承されていて、現にめぐみさんはプリキュアとして立ち上がり始めてる、という所と重なる……あたりからもあるのかもしれない。

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→良い映画



当ブログの『映画スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!』の感想

→前回:ハピネスチャージプリキュア!第4話「転校生はお姫様!!ひめの友達ゲット大作戦!!」感想へ
→次回:ハピネスチャージプリキュア!第6話「リボンの優しさ!!料理って愛情なんです!!」の感想へ
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