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 「諦めることをお勧めしますぞ」(ナマケルダさん)

 ハピネスチャージプリキュア!第42話「幻影帝国の決戦!プリキュアVS三幹部!」の感想です。
 ◇

 今回の見所ベスト1。


第1位:現実に摩耗した大人


 前提として、『ドキドキ!プリキュア』と『ハピネスチャージプリキュア!』は「宝石を配る『幸せの王子』とそれを受け取って立ち上がる『街の人達』」モチーフで繋がっていて、プリキュア(というか「幸せの王子」的なヒーローポジションの人。一番は『ドキドキ!』では相田マナさん)が愛や幸せのような宝石的なものを周囲に配った結果、無力だった人たちが立ち上がる……というのが描かれております。

 で、『ドキドキ!』は『街の人』っていうのが、本当普通の人達で、だから第32話(感想)とか終盤の第47話(感想)とかが熱かったわけですが。

 一方で、『ハピネスチャージプリキュア!』っていうのはこのモチーフの元に一歩進んだ辺りが描かれていて、立ち上がる側の『街の人達』の中に、「敵」と「一度敗北した人たち」が含まれているのですね。そういう人たちにまで、宝石が届いて、彼らも立ち上がってくれて、よく『ドキドキ!』以来の感想で使ってる言葉で言えば「リソースの追加」が決まれば、世界は良くなるはずだと。

 まず第一段階で、増子さんのように「普通の人」が、子供の頃の純真な夢であったプリキュアには自分はなれないと知ったのだけど、大人世界なりに、形を変えて、ジャーナリストとして頑張ると立ち上がる。

 第二段階で、まりあお姉さんのように「一度敗北した人たち」が、プリキュアに救われて、もう一度立ち上がり、やり直しの人生を歩み出す。また、ファントムの「プリキュア墓場」は、この「一度敗北した人たち」がまた立ち上がってリソースの追加が決まる伏線かと思います。

 第三段階で、敵、今回の三幹部に、クイーンミラージュ様のような存在にも、プリキュア的「幸せの王子」ポジションの人から宝石が伝導した結果、彼・彼女らも立ち上がる(ここはまだ作劇上の予感・予測)。

 で、この三つの段階の人達全てに共通して、


1. 併走してくれる人がいる。
2. 厳しい現実の中で忘れていた、子供の頃の純真性(イノセント)を思い出して、大人世界なりに形を変えてまた歩みだす。


 の二つを、縦軸に芯を通して描いているのですね。このエッセンスが凝縮されてるのは、何と言っても劇場版『映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ』(感想)のつむぎさんの物語です。

 で、今回の第三段階の「敵」こと、三幹部、これは子供の頃は純真な気持ちでそれこそプリキュアばりヒーローばりに宝石を配ろうとしていたのだけど、併走してくれる人が、立ち上がってくれる人が現れなかった、「バッドエンド幸せの王子」ポジションって感じなんですね。

 ナマケルダさんは、バンドとか恋愛とかでイノセントな頃は頑張ってたんだけど、報われずやがて全てがめんどうくさくなった。

 ホッシーワさんは、苦しい時に辛さを分かちあってくれる人がいなかったので、やがて一人でお菓子を一人占めするようになった。

 オレスキーさんは人間関係で失敗し、彼を認めてくれる人が誰もいなかったので、やがて一番による勲章のような分かりやすい形での承認を求めるようになった。

 いずれも、『ドキドキ!』からの連想で言えば、純真な頃は宝石を配る! って「幸せの王子」的な理想に燃えていたけれど、周囲の誰も立ち上がってくれなかったし、誰も助けてくれなかったverの相田マナさんみたいなものですよ。ホッシーワさんに六花はいなかったんですよ。

 昨年、相田マナさんみたいな宝石を配る「幸せの王子」みたいな生き方をしたいよな〜、でも現実はそんなに甘くないよな〜とか思いながら『ドキドキ!』を観ていた視聴者に、けっこうグサっとくること『ハピネスチャージ』はやってるのですよ。

 そんな、お前は相田マナにはなれないっていうことを容赦なく突きつけた上で、それでも、現実は厳しいとしても、純真な気持ちをもう一度やってやる(というかあなたはやれるか?)、という作品です。三幹部の現実は厳しい語りを前にしても、イノセントフォームのカードを掲げて見せる三人の絵は良かったですよ。

 もちろん、この構図はメインのめぐみさん−クイーンミラージュ様にもかかってくる。昔は純真にプリキュアやってたミラージュ様も、宝石配ってたんだけど恋愛関係で破綻して闇落ちした相田マナさんみたいな感じです。一方でめぐみさんは、宝石配るって子供の理想ばっかり言ってるんだけど、実際は無力な、実力不足相田マナさんみたいなポジション。

 その上で、相田マナさん級の「幸せの王子オブ幸せの王子」になんてなれないめぐみさんっていうか、「街の人」が、未来のバッドエンド自分、バッドエンド幸せの王子みたいなミラージュ様に何ができるのかっていうお話。ここまでは『劇場版』でやってるので、話数を考えると、ラスト数話で物語はもう少し「先」までいくのだと期待。

 最終的には、三幹部のような現実に摩耗して「バッドエンド幸せの王子」として敵になってた大人たちが、子供たちのイノセンスに触発されて(というか自分たちの昔を思い出して。それは大切なものだったはずだと直覚して)、大人時間なりに形を変えたやり方で純真性を続けていくのに目覚める。そういう「次善幸せの王子」でも、世界のために駆けろって話だと思うので、これナマケルダさんは終盤また来そうだな(ひめも、いつかナマケルダさんも仲間に出会えると未来を示唆している)。90年代的ビジュアルロックバンドで一山あてて恋愛もばっちりみたいな子供の頃の無垢な理想は大人になってみたらあり得なかったが、週末にDTM職人として初音ミクで世界を幸せにはできる。形は変わったけど「音楽」というイノセンスは続けてるとか、そういう話。

 リアル世相でも、子供の頃の純真な夢を追って敗北した人、その結果引きこもっちゃったり(ミラージュ様とか初期ひめとか)、代償行為として世界を憎む方に行っちゃった人が、何らかの形で「次善」の人生の続きを歩み出すっていうのは、(その人のためにも)(世のためにも)大事だと思うので。過酷な世相、一般人は形を変えた次善のヒーローに覚醒、敗北した人は墓場から出てきて、敵とも子供の頃の純真性を媒介にお付き合い、百鬼夜行の徒党になってぬらりと生き延びたい。

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→劇場版挿入歌。MP3版販売開始。これが『ハピネスチャージプリキュア!』(きりっ)って感じの名曲



『映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ』の感想へ

→前回:ハピネスチャージプリキュア!第41話「ミラージュのために!ファントム最後の戦い!」感想へ
→次回:ハピネスチャージプリキュア!第43話「ぶつけあう想い!ラブリーとミラージュ!」の感想へ
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