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 「みんなとっても楽しそう」(愛乃めぐみ)

 ハピネスチャージプリキュア!第44話「新たなる脅威!?赤いサイアーク!!」の感想です。
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 今回の見所ベスト1。


第1位:子供の頃の理想


 しかし大塚監督はやっぱり凄いですね。今でもつい監督と呼んでしまいますけど(『映画プリキュアオールスターズDX』三部作の監督&『スマイルプリキュア!』のシリーズディレクター)。個人的に演出家の名前だけで観てしまう方は数人しかいないです。アニメ版『ワンピース』のエピソードとかも大塚監督演出回は熱いのです。そして今回は演出:大塚隆史・脚本:成田良美とか、『スマイルプリキュア!』のロボッター回(感想)のコンビだ! あえてロボット回をあげるよ!

 世界が平和になって、みんな楽しそうでキラキラしてるのに、それは幸せなことなはずなのに、失恋を代償にしためぐみさん当人は苦しいというパート。始終切ない風味の音楽で良かったですよ。「みんなで幸せハピネス」。子供の頃に掲げた理想は、大人世界の厳しい現実の中では、自分自身がカウントされていなかった。今になって、劇場版のつむぎさん、ミラージュ様の気持ちが分かる。世界は、幸せな人がいる一方で、幸せの中から排斥される立場の人が出ることで成り立っている。

 そして、そこを赤い人につけこまれる。


 「だが、お前だけが愛を失った」


 もともと、十全にクイーンミラージュ様はめぐみさんのif未来なんだと仕込まれて描かれてきましたが、ついに、自分が不幸なら、世界の方をブっ壊す方に行くのか? という、同じ「世界の幸せの中で一人愛を失った」シチェーションで、めぐみさんとミラージュ様の分岐が描かれることに。


 「幸せになりたいよ」
 「でも世界を壊さなきゃなれない幸せなんて」
 「そんなのきっと、本当の幸せじゃない」
 「わたしは届かない思いも」
 「全部全部受け入れて」
 「みんなと一緒に幸せを探していきたい」



 子供の頃の理想、大人世界版。「届かない思い」も前提になってる辺り、能天気に幸せハピネス連呼していた頃とはちょっと形が変わってる。

 闇に捕われそうになった所で、誠司くんが来る→踏みとどまる→誠司くん抱きとめる→挿入歌「勇気が生まれる場所」開始と、やっぱりミラージュ様との分岐要因は、誠司君の存在で描いてきた感じですね。幼い子供時間から、側にいてくれていた人。劇場版のテーマで言うのなら、何もできなくてもせめて併走するということ。第1話の、めぐみさんが水に落ちそうになる→誠司くんが手を繋いで支える……とかの描写も万感で繋がっています。

 『ドキドキ!プリキュア』から、「宝石を配る幸せの王子と、宝石を受け取って立ち上がる街の人達」モチーフで繋がってると思われる、本『ハピネスチャージプリキュア!』という作品。

 相田マナさんクラスの「幸せの王子オブ幸せの王子」にはなれなくて、「街の人」クラスの実力なりに頑張ってみたけれど。でも世界は救ってみたものの、辿り着いた先は、自分自身の幸せは得られなかった「バッドエンド幸せの王子(本人は溶鉱炉行き)」か……という所で誠司くんが繋ぎとめるのはイイですね。「バッドエンド幸せの王子」を覆す最初のリンク、『ドキドキ!』でも示唆されていたマナさんの破綻的な未来を覆す最初のリンクはマナさんの幼馴染の六花でしたが(第2話の感想)、今作では誠司がそのポジションだと。幼馴染で、真面目で、この時点では一般人なのも重なります。

 これ、この「最初のリンク」から、もう一度「幸せの王子を助け返す街の人達」やるんだろうな……。例年、TVシリーズのテーマや構成の圧縮版になってる春の『映画プリキュアオールスターズ』も、今年は一般人のユメタくんから始まって、リンクによる連続リソースの追加で逆転を決めるという構成でしたしね。テンダーさんとかミラージュ様は本命として、どこまで来るのか楽しみだ。今年の映画連想だと、最後にハニーが来たくらいの、「お前まで来るの!?」感に期待したい。

 しかし、内にダークを抱えても、それでも子供の時の理想をもう一度叫ぶっていうのは、めぐみさんもついにカッコいいプリキュアになったな……。スペック上相田マナさんクラスが叫ぶのとは、また違った最後の叫びというか。お母さんの病気も治りはしないし、世界は幸せになっても自分は幸せになれないかもしれない。そういう厳しい現実に打ちのめされても、ロースペックの一般人(街の人)の身の上なりに、それでも叫ぶ。子供の頃に信じた理想を、(それは大人になる過程で少し形は変わるとしても)貫きたい。「いつか大人になった時も 忘れないでね 愛と勇気」。これはカッコいい。

 『ドキドキ!プリキュア』の時に書いていた、世界は平和になったけれど、一人恋愛のパートナー(アン王女)を失ったジョー岡田さんがいて、そういう一人ジョーカー(トランプモチーフのババ抜きのババ)を引いた人の物語が残留しているという話からすると(詳しくはドキドキ!プリキュアの時のこの感想記事参照)、現在のめぐみさんは疑似『ドキドキ!』ラストのジョー岡田さんで、ここから先の物語はアフター『ドキドキ!』的でもある。

 俺、この物語が終わってこのテーマの着地が描かれたら、ジョー岡田さんが大統領になったものの時々悲しみに暮れてトボトボと活気に向かう世界を一人歩いているのを、救う二次創作SS書くんだ……。

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『ドキドキ!プリキュア』のマナ×六花二次創作SS

『映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ』の感想へ

→前回:ハピネスチャージプリキュア!第43話「ぶつけあう想い!ラブリーとミラージュ!」感想へ
→次回:ハピネスチャージプリキュア!第45話「敵は神様!?衝撃のクリスマス!」の感想へ
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