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 「私、自分の願いを見つけたよ」(愛乃めぐみ)

 ハピネスチャージプリキュア!第47話「ありがとう誠司!愛から生まれる力!」の感想です。
 ◇

 今回の見所ベスト1。


第1位:めぐみさんの夢


 ミラージュ様との戦いの後は、「世界を救った後に、一人幸せになれなかった主人公はどうするのか」というお話に入っていた本『ハピネスチャージプリキュア!』という作品。

 世界がどうこうという大きい話が終わった後に、めぐみさん個人の小さな、だけど大事なお話に入っていく(自分個人の幸せを大事にしないで世界をどうこう言っても何か違うので)物語構成。

 で、めぐみさん個人の幸せには一人の個人として(というか一人の女の子としてだよな……)一番大切な誠司くんとの物語が関わる……という描き方だったのですが、前々回の感想(感想)で書いた通り、めぐみさんと誠司くんの関係って、どこか非対称だったのですね。誠司くんはめぐみさんを助けるし、心の面でもサポートするんだけど、めぐみさんから誠司くんへは、諸々欠けてるものがあった。

 なので、今話はもろにその非対称、アンバランスを対等にする、めぐみさんと誠司くんが対等の女の子と男の子になる話で、大変良かったですよ。シンメトリーに同格に拳を撃ちつけ合う絵も良かったし、今まで非対称だった(誠司くんはめぐみさんの内面を大事にするけれど、めぐみさんの方は誠司君の内面に気付いてない所があった)部分を回復するように、憎しみのような激しい感情も誠司くんの一部だから、めぐみさんがそれごと受け止めるという展開も良かった。

 その、小さい、一人の女の子と一人の男の子が対等に、パートナーになれた! というカタルシスに、ついにめぐみさんの夢が見つかる。めぐみさんが自分自身の願いを自覚するというカタルシスも重ねてきておりました。


 「私の願いはぴかりヶ丘でみんなと幸せに暮らすこと。友達と、家族と、誠司と一緒に生きていくこと」(愛乃めぐみ)


 春のオールスターズ映画『映画プリキュアオールスターズNewStage3(感想)』からして「夢」が一つのキーだったので、リアル時間で約一年をかけての、万感の解答。

 『ドキドキ!プリキュア』と『ハピネスチャージプリキュア!』はテーマとかモチーフで繋がってるってずっと書いてきたのだけど、「総理大臣になる」が夢だった、「幸せの王子オブ幸せの王子」だった相田マナさんとはきっちり分けてきましたね。総理大臣とか、とにかく凄い人とか、スーパーヒーローになれる人はそれはそれで大事で頑張ってほしい。だけど、普通の「街の人」なりに立ち上がって頑張るプリキュアとして描かれていためぐみさんの夢は、街での普通の暮らしを生きていくこと。

 続く、めぐみさんと誠司くんとの、


 みんなと一緒に学校へ行って。
 友達とお喋りをして。
 おいしいご飯を食べて。
 そんな毎日をずっと続けたい……。



 が、もうボロ泣きであった。

 逆に言うと、そんな何気ないことを「夢」として描かないといけないほど、現実は厳しいってことなんだよな。

 十周年記念作品であるし、後半から焦点をあてて描かれていた「子供の頃のイノセントな理想と、大人の世界で再契約する」というテーマといい、リアルでも十年前に子供の頃にプリキュアを観ていたような子が、十年経って大人になる頃、厳しい世界へ入っていくのに応援を、みたいなコンセプトもあったと思われる本作。

 十年前はギリギリ(本当ギリギリだが)経済発展期の余力もちょっとはあって、こういう何気ない暮らしを広い母数の人達が共有できていたのかもしれないけれど、十年経って高齢化も進み、震災もあり、財政状況も悪化し、格差も現実のものになり、今では、そんな「何気ない普通の暮らし」が「夢」として成立する状況なのだよな……。「家族」「友達」「おいしいご飯」、こういう要素は胸に響く人も多いのではと思う。当たり前に思っていたものが、いつの間にか失われたりしていた……。ずっとそばにいて当たり前だと思っていた誠司君を失った時に初めてその大切さに気づき、幼い頃からの大事な人である誠司くんと再契約する……という物語に色々なものが詰まっている。

 『ドキドキ!プリキュア』で残ってた非対称性も回復されたようで嬉しい。『ドキドキ!』ラストは、二階堂くんとか純くんとか諸々で「街の人」サイドも描いてはいたけれど、やっぱり中心人物が「幸せの王子オブ幸せの王子」、「スーパーヒーローオブスーパーヒーロー」相田マナさんだったので、そうは言っても、一般人たる俺達はマナさんやその仲間みたいにはなれないよな……がちょっと残ってた感じがしました。

 それを、普通の「街の人」が頑張って、「街の人」なりのヒーローになって、「友達と、家族と、誠司(愛する人)と一緒に生きていくこと」が夢だと言いきってくれためぐみさんを描いたことで、とても救われた人も多いように思う。その何気ない風景を守るために頑張る人が、ヒーローであった。ある意味、序盤で描写してたトラック運転手で子供を食べさせているらしい誠司くんと真央ちゃんのお母さんとか、プリキュア(ヒーロー)になれなくても自分の仕事を頑張る増子さんとか、身体に病気を抱えながらも、抜本的な解決方法がなくてもそういう状況なりに服薬しながら生き続けて家族に愛情を向け続けるめぐみさんのお母さんとか、そういう人たちが(も)ヒーローであった。大人視聴者も結婚したり子供生まれたり病気になったり失職したり介護したりな状況の人達も多くなってるご時世なので、このメッセージは大事だよな……。

 という感じで、「宝石を配って回った幸せの王子と、宝石を受け取って立ち上がる街の人達」モチーフとしては『ドキドキ!』から二年越しで完結感があり、僕的には実質今回が最終回でありました。観終わって、満たされた……、物語が「閉じた」……と思いましたよ。残り二話はラスボス戦も含めてボーナストラックやもしれない。

 しかし、二年でここまで描いた上で、TJさんの「チーフPが同じ場合はシリーズが変わっても共通テーマが備わる」のでは説からすると来年も何らかの形でシリーズ文脈が進展するのだろうか。確かに、めぐみさんにここまで言わせた上で、来年はまた「夢」を追う尊さの話なのですよね。>『Go!プリンセスプリキュア(公式サイト@東映)』

 ここ数年、「物語」としては特上で豊穣でもの凄いことやってると思うので、売上の方も頑張って、継続できるように応援していきたい。

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 『フレッシュプリキュア!』の新作ミニドラマって、僕的に事件なんじゃ……。

『ドキドキ!プリキュア』のマナ×六花二次創作SS

『映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ』の感想へ

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→次回:ハピネスチャージプリキュア!第48話「憎しみをこえて!誕生!フォーエバーラブリー!」の感想へ
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