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 『Go!プリンセスプリキュア(公式サイト@朝日放送公式サイト@東映)』第22話「希望の炎!その名はキュアスカーレット!!」の感想です。
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 トワが絶望から立ち上がることができた源泉を、はるかとトワが一緒にバイオリンを弾く。二つバラバラだった曲が一つになる……というシーンに求めていると思うのですが、そういう他者との紐帯があるから何とか立ち上がれるというのは、メッセージとして分かる。

 特にトワは罪を犯しているわけで、こういう時一人では中々もう一度立ち上がろうとは思えない。「重大な罪を犯した」ほど大事じゃなくても、視聴者それぞれに、「もう死にたい」くらいの気持ちになっている時に、どうやってそういう気持ちを払拭していけるかといったら、やっぱりそういう状態でも自分のことを肯定的に承認してくれている他人の存在が大きいんだ、というのはけっこう広い母数の視聴者に分かるのではと思ったのでした。

 一方で、はるかがカッコいい回でした。

 二つあって、一つ目は第一話からしてゆいちゃんの夢を守るために初変身する展開で、はるかは自分自身の夢を叶えることもさることながら、他人の夢を守ることに力点が置かれてるキャラクターとして描かれていたと思うのですが、今回、「トワと一緒にもう一度バイオリンを弾きたい」というカナタの夢と、「(罪を犯したとしても)グランプリンセスになる」というトワの夢と、兄妹二人の夢を守るような立ち回りをしていること。夢の守り人。おい知ってるか、夢を持つとな、時々すっごい切なくなるが、時々すっごい熱くなる、らしいぜ。(『仮面ライダー555』第8話ネタ)

 二つ目は、そういうついつい自分の夢よりも他人の夢を守ることを優先してしまうキャラクター性が重なるように、はるかは徹底して「偽物」・「代替品」として描かれていること。

 ここまでも、正統性がある本物のプリンセスであるトワイライト様に対して、偽物のプリンセスであるはるか。さらにここ数話で、カナタとの関係においては、「本物」の血縁(プリンセス要素としては重要)であるトワに対して、別に血縁的正統性も何もないはるかという構図になってきていたのですね。

 その上で、上記の二人でバイオリンを弾くシーンでは、はるかはトワにとってのカナタ王子の「代わり」・「代替品」として描かれている。どこまでいっても、偽物で代替品のヒーロー。『ドキドキ!プリキュア(感想)』〜『ハピネスチャージプリキュア!(感想)』で使われていた「宝石を配って回った『幸せの王子』と宝石を受け取って立ち上がる『街の人達』」モチーフも継承されてると思われる本作ですが、カナタ王子=幸せの王子ポジションですので、その代替品のはるかは偽物「幸せの王子」みたいなポジションなのですね。

 なのだけど、そういう偽物なり、代替品なりに有している真実性みたいなものを描き出しているわけで、はるかは、トワが本当に一緒にバイオリンを弾きたい「本物」のカナタ王子ではないのだけど、その「代替品」であるはるかが一緒に弾いてくれることで、実質的にトワは「つながり」を感じて絶望から立ち上がることができた。救われた。

 はるかは、みなみ、きららと違って、親(のようなポジション)から受け継いだ大そうな正統性のようなものは持っていません。お金持ちの凄い親や兄もいなければ、母親がトップモデルでもない。第14話(感想)で描かれたような平凡な父母と妹を持ってるだけなのですが、でもそんな平凡な母親から貰った愛情が伝導して、みなみの恐怖を払拭することができたなんてエピソードが第9話(感想)で描かれていました。血縁とか、受け継がれる大そうな正統性とかないなりに、恐怖とか絶望とかを払拭できる、何か真実めいたものをはるかは持ってるのですね。

 そのはるかが持っているもの(それはお母さんや望月ゆめ先生といったはるかにとっての「幸せの王子」ポジションから受け継いだものとして描かれている)で、「罪を犯した人間に寄り添う」という今話が、第18話(感想)で描かれた、はるかの理想、罪を犯した鳥を許した『花のプリンセス』のあり方そのものでした。鳥=フェニックス=トワの連想なのかなと思いました。

 かくして、はるかに寄り添われてトワ、キュアスカーレットに変身。毎シリーズ、追加プリキュア変身回は熱いです。今回のキーワードは「失敗しても一歩ずつ取り返していけばイイ」。罪を犯して破綻した人間なりの、一歩一歩再生の過程。「再生」キーワードでも、地道なフェニックスです。財政破たんするくらいの借金も、少しずつ返していくしかないのです(え)。

 そういう、罪を犯した人間でも立ち上がってイイというくらい本作のキーワード「夢」は強いというのを描きつつ、始終、トワがそう思えるようになるまで寄り添っていた「夢の守り人」はるかが、静かにカッコいい回でありました。

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『ドキドキ!プリキュア』のマナ×六花二次創作SS

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→次回:Go!プリンセスプリキュア第23話「ず〜っと一緒!私たち4人でプリンセスプリキュア!」の感想へ
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