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 『Go!プリンセスプリキュア(公式サイト@朝日放送公式サイト@東映)』第47話「花のように・・・!つよくやさしく美しく!」の感想です。
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 夢の成就そのものよりも、夢を追う過程で形成される他者との関係性とかの方に真実性を見出していると思われる本作。

 「過程をすっとばして夢が叶ったら?」というのは、中盤のトワイライト様-トワ様のエピソードで、グランプリンセスになるという夢をショートカットしようとしてディスピア様の誘いに乗ってしまったトワ様の弱さ……というパートがありました。

 今回はそれのパワーアップ版で、はるかの夢、「花のプリンセスになる」が過程を吹っ飛ばして叶ってしまった夢世界が描かれます。そこは、種を蒔けば過程を吹っ飛ばしていきなり花が咲き、そして永遠に枯れない、幸せ溢れる世界……。

 なのだけど、はるかさんはその世界を拒絶。努力(今話ではレッスンに象徴)という過程、あるいは悲しかったり苦しかったり(今話ではスノードロップが置かれてる寒さや雪という環境に象徴)時には絶望したりするかもしれない「過程」がある現実世界の方を選びます。


 「やれることは自分でやりたい。そのためにレッスンだってやってきた。」


 はるかがこの台詞を口にした所で、シャムール先生のカットが入るのがイイな。レッスン師という生き方を選んだシャムール先生も報われた場面だ。

 この「結果」と「過程」の話、そして「永遠」というキーワード。プリキュアシリーズ的な文脈の話と、今作における話と二つあって。

 一つ目。プリキュアシリーズ的には、本作はけっこう『フレッシュ』っぽい要素が散りばめられていると書いてきましたが、「結果」だけにフォーカスしてしまうと……という話は、『映画フレッシュプリキュア!おもちゃの国は秘密がいっぱい!?(感想)』のルーレット伯爵の例の台詞を思い出します。


  「人生山あり谷あり。されど辿り着く先は一つ。ゴール」(ルーレット伯爵)


 「結果=ゴール」には『フレッシュ』のテーマも加味するにぶっちゃけ「死」の含意があると思います。この辺りの「結果」と「永遠とは?」とかの話題が出てくる箇所は、普段は半分「(笑)」で言われるプリキュアは「宗教」っぽいという話が、ガチ感漂ってくる箇所です。人はいずれ死ぬのにどうして生きるのかとか、そういう話を扱っちゃってますからね。

 「死」ほどまでいかなくても、「卒業」、「退職」、そして「作品の終わり」etc、「結果」、「ゴール」的なものはいずれ訪れてしまいます。その事実を前にどうするのか。一つは「過程」に真実性を見出す。『映画フレッシュプリキュア!おもちゃの国は秘密がいっぱい!?』、やがて捨てられるという「結果」に辿り着いた玩具たちでも、子供たちが本当に楽しかった「過程」は何らかの真実性を持っていました。ラストのミラクルライトの光が輝く所は綺麗で、やっぱり、「過程」「生」に意味があったんじゃないかと感じさせてくれます。

 二つ目は、「転生」して「受け継がれ」、「続いて行く」ということ。「結果=死」的なものは訪れてしまうのだけれど、生きてる「過程」で何らかの徳分・真実性が構築されていれば、それは次の世代・次の時間に受け継がれるということ。一度死んで転生するイース様→せつなさんのラインしかり。トイマジンからクマのぬいぐるみさんに転生してまた新たな子供を楽しくさせるというラインしかり。一つのプリキュアシリーズ作品が終わっても、真実性のようなものがエッセンスとして次のシリーズに受け継がれ、やがて繋がり続けて「永遠」に達するというラインしかり。

 そういうプリキュアシリーズ的に是のニュアンスで出てくる「いずれ死ぬ(結果というゴールに至る)」という事実に対する対処法としての「変化しながら伝承し続ける」「永遠」に対して、否のニュアンスで出てくる「永遠」が、『プリキュア5GoGo!(感想)』のエターナル館長側の「永遠」、「永遠に変わらないまま保存しておこう」という「永遠」でした。

 というわけで、長くなりましたが、今作今話のはるかさんは、この辺りの『プリキュア5GoGo!』〜『フレッシュ』ラインの話を、2016ヴァージョンでやってみた感じだと思うのですね。今話の「過程も変化もない永遠に花が咲いている幸せな世界」は『プリキュア5GoGo!』のエターナル館長側の「永遠」の世界ですし(その意味で、今話のあの世界はちょっと「死」の世界を匂わせる感じにもなってると思う。)、それを撃破る「過程に真実性を見出す」というのは、『フレッシュ』的な発想です。総じて、この作品自体が、「真実性を継ぎながら過程を続けている」プリキュアシリーズという意味合いにもなっているメタ感もあります。

 二つ目。今作における話としては、この「結果」がいきなり成就すればいいんじゃなくて、「過程」に真実性を見出すという話は、劇中作『花のプリンセス』に決まった「結末」がなく、読者各々に委ねられていた……という第18話「絵本のヒミツ!プリンセスってなぁに?」(感想)の伏線回収回にもなっているという。

 かくして、はるかさん、プリキュアシリーズ的にはエターナル館長の「永遠」世界、今作的には「過程を飛ばして花がいきなり咲いて永遠に枯れない世界」を拒否、ついには、「私の夢は終わらない」という、「終わらない過程」の境地に達します。結果に達したからプリンセスなのではなく、終わらない過程を生きる生き様自体がプリンセス。本来なら、最初から結果を貰ってる方が「本当のプリンセス」(血統とか家とかで決まるから)なのですが、はるかさんはずっと結果に到達できなくてもその過程で「つよく、やさしく、美しく」あること自体がプリンセスと、ある意味「偽物のプリンセス」の境地に辿り着きます。そして、その夢を追う過程は終わらない。うむ。終わらない旅の過程自体が俺達の物語だ! 『仮面ライダーディケイド』感あります。

 TJさん(ブログ)は相変わらずクレイジーだけど(え)、本質は突いている。↓


 てか、毎年だけどTJさんの同人誌、今年の『ディケプリアンソロ』(特設ページ通販ページ)も最終的には本編のコンセプトとがっちり合流したなー。

 この「プリンセス」とは結果じゃなくて「生き方だ」みたいな結論。昨今のアイドルブームとも通じる気がします。というか、「アイドル」「プリキュア」「幸せの王子」自体が、けっこうそれぞれ作品は違うのだけど、重なる要素を最終的には表現しているのを、このリアルアイドル&アイドルアニメ全盛時代に感じたりもしておりました。

 プリキュア以外で最近追ってる(え)『Wake Up, Girls!(ポータルサイト)』の永野愛理さんだけど。武道館でライブやるみたいな意味では「結果」は出てない。声優アイドルユニットとしてデビューして活動してるけど、WUG!以外の代表作となるような声優としてのお仕事はまだきていない感じです。そういう意味では「夢=結果」はまだ成就していないのかもしれない。だとしても、ダンスの振り付けをやったり、ラジオで野球の話をしたりしてる永野さんからは、とても元気を貰えます。そういう意味では、その過程、生きざま自体で永野さんは「アイドル」だし、そこから幸せ・愛・夢が伝導している意味では「幸せの王子」的です。プリキュアもWUG!も同じだったんだよ!(え)

 そして、あんまり出力でなくて厳しい厳しい言ってるおじさんなりに、少しでも「幸せの王子」的、生きざま、過程は歩んで行けまいかと、一視聴者として僕も思います。偽物だとしても。十年以上プリキュア観てると、人生観とかに影響受けちゃうから、みんな気をつけろ!

 「夢」という同じテーマを扱いつつ、ちょっと違った切り口で進み、だけど『Go!プリンセスプリキュア』も『プリキュア5GoGo!』と同じく、エターナル館長的な永遠はゴメンだという所に辿り着いたのは熱い。夢原さんと、終盤のはるかさんは重なるよ。

 重なった上で、「過程で形成された他者との関係性」に重きがある本作は、夢原無双(映画版)となった『5GoGo!』に比して、市井の街の人達の助力に力点が置かれると予想。『5GoGo!』ラストが市井の人々(擬似視聴者)の助力は「手紙が届く」に留まっていたのに対して、2016年はガチで共闘だとすると、本当時代性の変遷とかも感じてしまいますね。

 これ、最終戦は本当全員来そうだな。次回予告とか、シャットさんも来るでしょこれ。ディケイドでありWUG!であり、やっぱりプリキュアだっていう、毎年凄いけど今年もプリキュアラストは凄そうだよ……。

『ドキドキ!プリキュア』のマナ×六花二次創作SS

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→『フレッシュプリキュア!』のBlu-rayBOXがついに登場(TVシリーズ放映当時の当ブログのタイムリー感想

 アニメイトTVさんのこちらのキャストさんインタビュー記事がグっとくるものでした。↓

『フレッシュプリキュア!』6年ぶりだから話せるカミングアウト!?/アニメイトTV

 六年経っても再会できるという辺りに感動。作品という共有体験が、断絶するような出来事(2011年)があっても人を繋ぎ続けるという、その後のプリキュアシリーズや平成仮面ライダーシリーズのテーマの一つを地でいっておられる。



→前回:Go!プリンセスプリキュア第46話「美しい・・・!?さすらうシャットと雪の城!」感想へ
→次回:Go!プリンセスプリキュア第48話「迫る絶望・・・!絶体絶命のプリンセス!」の感想へ
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