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 という訳で、公開初日に観てきた『映画プリキュアオールスターズみんなで歌う♪奇跡の魔法!(公式サイト:音注意)』の感想です。


 ネタバレを含んでおりますので、まだ観てない方はご注意下さい。
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 今回の見所ベスト1。


第1位:孤独

 本編でも、第3話(感想)で(商店街に)友達といっしょに来たことがないとか言及されたり、第6話(感想)ではお姉ちゃんと疎遠になっていたことが明らかになったりと、何かと「孤独」要素が見え隠れするリコさん。

 これが、まだリコさんの親御さんがどんな感じなのかは出てきてないですけど、リズお姉さんという親的ポジションの人、最近のプリキュアシリーズでいうと、リコさんの先行者的なポジションの人、昔自分に宝石をくれた「幸せの王子」的なポジションの人が既に出てきています。で、リコさんの「孤独」要素は、この「親的ポジションの人」からリコさんへ、「上手く伝わってない」というのが源泉として描かれているのだと思うのですね。第6話はまさに、リズお姉さんからの今でも愛してるよという気持ちが、上手くリコさんに伝わってなかったというのが描かれておりました。

 そういう流れで、本映画でリコさんと重なるポジションで描かれているのが、ソルシエールさんだと思いました。ソルシエールさんの親的ポジション、先行者的ポジション、「幸せの王子」的なポジションの魔法使いさんから、上手く気持ちがソルシエールさんに伝わっていなくて、ソルシエールさんが「孤独」に陥っている。それが原因で色々やっかいなことになっていたのですが、エッセンスとしては、その魔法使いさんからソルシエールさんへと上手く伝わってなかった想いを、みらいさんがパスを作ってあげて(歌うシーンにて魔法使いさんもソルシエールさんを愛していたと気付かせるきっかけになる)、ソルシエールさんの孤独を解消してあげる、という物語だと思いました。つまり、「過去」からの愛情の伝達が「今」に至るまでにこじれてしまっていたのを、縫合し、復元するという物語。

 で、そうなると、毎年春の「オールスターズ」映画は、メタにプリキュアシリーズの歴史の継承がテーマになっているので、「過去」から「今」へ伝わっているものという話には、「過去」のプリキュアシリーズから、「今」のプリキュアシリーズ(『魔法つかいプリキュア!』)に伝わってるもの……というメタなテーマにもなってるんだろうなと予想されるのですが、上記の「親から愛情が伝わってないかもしれないと思って孤独に陥ってる」物語って、まんま『初代』〜『MaxHeart』のほのかの物語なのですね。

 『MaxHeart』最終回(感想)の冒頭は、両親が飛行機で遠くへ旅立って行ってしまって、独り孤独に陥る幼ほのか……というシーンです。そんな孤独だったほのかが、なぎさに出会って救われる……というのが、大まかな『初代』〜『MaxHeart』の物語。その後、この原点のほのかの物語が本歌になって、同じく親からの愛情に自信がないかれんさんがのぞみと出会って救われる物語(『5』)とか、同じく親からの愛情に自信がなかった響さんがやっぱりお母さんに愛されていたんだと気付く物語(『スイート』)とかが、プリキュアシリーズでは積み重なってきました。なので、この一連の「親からの愛情の伝達に自信がなくて孤独な子が、他者とのつながりの中で救われる」という物語を、本映画でも、『魔法つかいプリキュア!』でも改めてやるってことなのかなと。『魔法つかいプリキュア!』の一連の『初代』オマージュも、改めて意味が出てきた感じ。

 そういう意味で、「過去」のプリキュアシリーズの気持ち(というかエッセンス)が「今」に伝わっているか? という視点が一つ本映画にはあって、何重にも、「今」のプリキュアであるみらいとリコが、「過去」シリーズのエッセンスを受け取るという要素が映画内に組み込まれていました。

 大きいと感じたのは、みらいとリコに分断されるのですが、リコ側に助っ人してくれるのは、『Go!プリンセスプリキュア(感想)』チーム&キュアエコーで、これは、「普通の人だけど立ち上がる」がテーマ組ですよね。リコさんも改めて、他のプリキュアさんたちみたいに凄い人にはなれないと絶望しかけ、エコーさん(というかあゆみさん)に励まされて立ち上がる……という流れは、『映画プリキュアオールスターズNS』シリーズを思い出してグっとくる流れでありました。あゆみさんも、自分はあんな凄い(ように見える)プリキュアたちとは違うと思ってた所から、友達のために自分もプリキュアになったのでした。一方で、『Go!プリンセスプリキュア』が、ゆいさんを筆頭に、「プリキュアじゃない普通の人たちも立ち上がる」物語だったというのは、何度も感想記事に書いてきた通りです。総じて、リコさん視点からすると、「孤独」に落ちてるだけじゃなくて、自分自身も立ち上がらないといけないという物語がある。

 一方で、みらいさんの方を助っ人してくれるのは、桃園さん、花咲さん、響さん、みゆきさんということで、単に歴代ピンクチームの中でも面白面々を集めたというコンセプトな気もしますが、総じてこの四人、母親(ポジション)からの愛情があるというのが物語の中核になっていた四人かなと思いました。桃園さんは桃園母の愛情が伝播してせつなさんを救うというのが『フレッシュ』のエッセンスの一つだし、花咲さんが『ハートキャッチ』作中で唯一心の花が萎れないのは、物語冒頭時点で既に親の愛情を十分に受け取ってるからだし、響さんは「物語冒頭では孤独感があったけど実はやっぱりお母さんは愛してくれていたと気付く」のが中盤の物語ですし、みゆきさんは育代お母さんからの愛情描写もさることながら、親ポジションの存在、昔自分を守ってくれたメルヘンから十分に受け取っていたというのが物語のエッセンスの人です。そういう親からの愛情を十分に受け取っていた人こそが孤独な人を救えるというのは、プリキュアシリーズではずっと繰り返し描いてきた事柄です。なので、みらいさんもそういう役回りなのかなと。こっちのチームが『初代』だとなぎさ側ですね。一方でリコさんがほのか側。孤独だとしても、なぎさと手を繋ぐことでほのかが救われたように、みらいさんとリコさんが手を繋ぐことで、孤独は解消されると。何かが生まれると。

 そういう、


・「過去」のプリキュアシリーズのエッセンスが「今」のプリキュアシリーズへ「伝わる」
・「過去」の魔法使いさんからの愛情がちゃんと「今」のソルシエールさんへ「伝わる」
・「過去」のリズお姉ちゃんからの気持ちが、「今」でもリコさんにちゃんと「伝わる」
・『初代』においてもほのかの両親も本当はちゃんとほのかを愛していたと「伝わる」(+、『初代』本歌の、かれんさん、響さんらの同系の物語)


 って感じの物語が重奏的になっている映画で、その「伝える」力、誤伝達を紐解いて「縫合する力」の象徴として、「歌」=「究極の魔法」を描いていた作品だと思いました。「歌」、確かに「伝わる」に関しては最強ですからね。

 本映画のキャッチコピーも、「想いはきっと、心に届く!!」と、改めて「伝える」ことに関してでした。

 そうなると、『初代』から『魔法つかい』まで「伝わって」いる何らかの「プリキュアの涙」要素があるということになると思うのですが、それこそが、『MaxHeart』最終回冒頭でほのかが流していた「涙」なのかなと。歴代シリーズにも、親(ポジション)からの愛情に自信がなくて、孤独になり、涙していたキャラクターたちがいたのは既に書いた通りです。上にあげた他にも、『フレッシュ』のイース様/せつなさんなんかもそうですね(親ポジションのメビウス様から切り捨てられる)。その「涙」が『魔法つかい』まで伝わっている。リコさんも「孤独」を抱えているからこそ、みらいみたいな人が大事だって伝わる。あるいは、「涙」にもいくつかの意味がかかってそうなので、みらいさんが「過去」の魔法使いさんの愛情に感じ入って流した「涙」がキーになってるのも踏まえると、「過去のプリキュアシリーズの感動」で流した「涙」とかですかね。それを、大事なもの、力があるものとして描いている感じです。

 ここまでが、「過去」から「今」まで「伝わって」きたことっていう感じで、ラストは、ソルシエールさんが、今度は自分も後継に伝えていけるような魔法使いになりたいと、自分の「未来」を語った所で終劇。毎年映画とTVシリーズ本編は様々な要素が連動してるのも鑑みるに、本編では現在明確な夢がないみらいさんが、なんらかの「未来」の夢を獲得していく物語になるのかもなと感じました。

 『魔法つかいプリキュア』の「過去(リコさんに象徴)と未来(みらいさんに象徴)」というテーマのうち、「過去」から伝わってる愛情・大事なものをこじらせずに、誰かの助力を借りながらも受け取るという辺りに重きを感じた映画でした。本作では、ソルシエールさんはみらいさんとリコさんのおかげで魔法使いさんの愛情を受け取り直すことができました。本編第6話では、みらいさんがきっかけで、リコさんはリズさんからの愛情をもう一度受け取り直しています。みらいさんは、「過去からの愛情の伝達の守り人」といった感じでしょうか。今までのシリーズを踏襲しつつも、また少し新しいヒーロー像だなと感じて、改めてワクワクしてきた映画でもありました。

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Amazon・ビデオでプリキュアシリーズを観る(初代〜ドキドキ!へのリンクまとめ)

→前回:魔法つかいプリキュア!第6話「特訓!魔法の杖!先生はリコのお姉ちゃん!?」の感想へ
→次回:魔法つかいプリキュア!第7話「人魚の里の魔法!よみがえるサファイアの想い!」の感想へ
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