既にTVシリーズを最終回まで&劇場版を観てる方向けの文章なのでネタバレ注意です。
オスカー・ワイルドの童話『幸福の王子』。
『ドキドキ!プリキュア』〜『ハピネスチャージプリキュア!』〜『Go!プリンセスプリキュア』と、「宝石を配って回った『幸せの王子』と宝石を受け取って立ち上がる街の人達」モチーフで繋がってる(と解釈できる)三部作の中でも、最初の起点にして全てのエッセンスが詰まっている『ドキドキ!プリキュア』第一話。ドキドキ、ハピネスチャージ、Go!プリンセスの柴プリ三部作はテーマ(幸福の王子)も一貫しているので、ドキプリ1話の時点で三部作のテーマ(王子のBADEND回避方法)に対する回答は出ているんやなぁと、今見ると感じる。
— TJ-type1 (@tjtype1) 2016年5月28日
既に全話感想を書いておりますが、今回改めて気づいた箇所など。
マナさんが岡田さんに声をかけられる時、「そこの幸せそうなお嬢さん」と声をかけられているのですね。で、マナさんが幸せそうになっていたのは、直前でまこぴーに会っているから。
つまり、ここでは、真琴=(街の人=マナさん)に幸せを与える「幸せの王子」ポジションなのです。なのだけど、真琴はマナさんに「幸せ」を与えた反面、マナさんを(カニのジコチューから)庇って犠牲になってしまいます。既に第一話のこの構造に、「『幸せの王子』は人助けだけして、自分自身は擦り減って溶鉱炉行きになる」バッドエンドが遠景に見えるように組み込まれていたのだと改めて気づきました。第一話だけだと、真琴が『バッドエンド幸せの王子』ポジションなのですね。
真琴一人では、プリキュア一人では世界は救えない。どんなスーパーヒーロー=「幸せの王子」でも、自己犠牲だけでは世界は救えない。
そこで、マナさんが物語全体を通してのバッドエンド「幸せの王子」ポジションである岡田さん(というかアン王女)から受け取った宝石(ラビーズ)を使ってプリキュアに変身して、最初の「助力者」になるというのが第一話。
アイテムだけで変身しようとした一度目は変身できなくて、「おまじない」と「宝石(ラビーズ)」が揃って変身が発動する……という描き方だったのにも改めて唸らされました。
物語全体を通しては、(バッドエンドの影がちらつく)「幸せの王子」相田マナさんが、バッドエンドじゃない「幸せの王子」に辿り着くまでを描くともいえる本作なのですが、このシーンでマナさん、「私のせいで」という言葉をもらします。
冒頭のシーンから、ケンカの仲裁に具合が悪くなった生徒の看護に落した財布を届けにと「まるで全員助けようとしてるがごとく」駆けるマナさんの絵から始まる本作なのですが、ここで「私のせいで」助けられないかもしれない真琴……というのは、『映画ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス』で「私のせいで」助けられなかったマシュマロにも重なるポジションです。
その彼女の傷を縫合するがごとく描かれる、「おまじない」と「宝石」。『ドキドキ!プリキュア』最終回で、亜久里が「魂(愛)は永久に不滅」ということを語るシーンがあります。「愛の伝導」がテーマの本作。
「愛」は今のこの世界で人から人へ伝導するだけでなく(こちらももちろんテーマなのですが)、時に時間を超えて、今は遠くへ行ってしまった人から今を生きる人へも伝導するものなのです。お祖母ちゃんから伝導された「おまじない」で、アン王女の「宝石(ラビーズ)」が光輝いて(二人とも今はもう遠くへ行ってしまった人)、相田マナさんキュアハートに変身。
アン王女だけでは。真琴だけでは届かなかった。第一話のアバンが壊滅したトランプ王国のシーンという作品。でももし、一人のスーパーヒーロー=「幸せの王子」だけでなく、道行く街の人誰もがヒーローなのだとしたら。「リソースが追加」されていったのだとしたら。立ち上がってくれるあなただと、「君を信じる」。バッドエンド『幸福の王子』を覆す物語を紡ぐ、相田マナさんの物語が始まる。
・4040さんのBS11放送記念第1話イラスト感想が素敵
Pixivでの大きいサイズはこちら。ドキプリBS11放送記念〜。1話見どころ多すぎてAパート詰め込むのがやっとでした。(あとtwitterじゃ画像リサイズされて文字読めない) pic.twitter.com/STL9ZV1XNh
— 4040 (@avonlea1979) 2016年5月28日
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