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 『HUGっと!プリキュア(公式サイト@東映公式サイト@朝日放送)』第1話「フレフレみんな!元気のプリキュア、キュアエール誕生!」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 主人公の野乃はなさん、前髪を切り過ぎる、転校初日の自己紹介で失敗する……と「当初イメージしていた未来が思ったように実現できない」という様子が描かれます。

 本作の広報も兼ねてると思われる『プリキュア15周年記念PV 公開 〜ふたりの勇気はわたしの「夢」でした〜』を観てみると……↓

 今回の『HUGっと!プリキュア』は作品の裏ターゲットに「昔プリキュアを見ていたような現在20代くらいの女性」もありそうです。

 彼女たちは子供の頃に「イメージしていた未来」が実現できたのか?

 実現できなかった人の方が多いと思います。

 「当初イメージしていた未来が思ったように実現できない」野乃はなさんは、そんな彼女らに重なるのかもしれません。本作の中心要素の一つに「子育て」がありますが、リアルに子育てをしてる時に本作でプリキュアに再会したという視聴者もいるでしょう。

 でも、じゃあ全部オシマイダーなのか?

 例年、作品全体のエッセンスが凝縮されている第1話ですが、本作は必ずしも「当初イメージしていた未来が思ったように実現できなかったこと」を否定的に描いていないように感じられます。

 野之はなさんは、切りすぎちゃった前髪が、意外と似合ってる人として描かれています。

 「人助け」にまつわる一つ目のイベント。

 お婆さんをボールから守ります。荷物も持ってあげます。

 おかげで当初イメージしていた未来である「転校初日のカッコいい自己紹介」はできなくなりましたが、お婆さんは助かりました。

 さらには、薬師寺さあやさんは、その一見カッコ悪い自己紹介をこそ「カッコいい」と思ってくれました。

 「人助け」にまつわる二つ目のイベント。

 空からはぐたんが降ってきます。

 しかし今回ははなさんは「でも、ウチに住むのは……」とはぐたんを抱きしめる(ハグする)のを一瞬ためらってしまいます。

 本作で描かれる中心的課題であろう、お母さんは「子育てと自分の夢は両方できるのか?」、ここでは、子育ては無理……の方のパートが描かれています。この「ハグができなかった」が第1話の「タメ」になります。

 そして、その「タメ」の開放。「人助け」にまつわる三つ目のイベント。

 学校でオシマイダーの脅威にさらされるはぐたん……という状況に陥ります。比喩的には、未来を閉ざすもの(オシマイダー)と未来の象徴(赤ちゃん=はぐたん)です。

 ここで、はなさんは二回目のイベントの時はできなかったはぐたんを抱きしめる(ハグする)ということをやってのけるのですが。

 二つ目のイベントと三つ目のイベントの間に何があったのかというと、重要と思われるのは薬師寺さあやさんと言葉を交わしているシーンです。


 「カッコいいなって思ったよ」(薬師寺さあや)


 「イメージしていた未来が思ったように実現できなかった」自分。

 前髪は切り過ぎてしまって、自己紹介では転んでしまって。でも一度失敗して立ち上がってユメを語った自分を、みんなは無様と笑うのか? 笑わないでくれる人もいる。むしろ「カッコいい」って言ってくれる人がいる。

 子育てとか介護とか、基本カッコわるいのです。当初夢見た未来の自分を実現しながらできてるかって? できてるわけない。だが、無様でも子育ても介護も人助けもカッコいいんだよ。

 最初の助力者が現れてくれた場面だと思います。

 「いかにプリキュアといえでも一人で全員は救えない」は、ここ最近のプリキュアシリーズで受け継がれているテーマの一つです。

 だから、このシーンは『ドキドキ!プリキュア(感想)』でそのままでは破綻する「幸せの王子」相田マナさんに最初の助力者である「燕」の菱川六花さんが現れてくれたのと同系の意味合い。

 子育てと自分の夢を両方、うん、自分一人だけでは無理だ。でも、助力者がいてくれたら?

 『キラキラ☆プリキュアアラモード』最終回も、宇佐美いちかさん一人で自分の夢は追えないけれど、ペコリンや(ゲストキャラの)キュアエールが助力してくれるなら、追うこともできるかもしれない……というお話でした。

 薬師寺さんはそこまで意識してなかったのかもしれないけれど、何気なくかけて貰った言葉が力になることがあります。

 かくして、三回目の「人助け」イベントでは、はなさんは立ち上がることができる。立ち向かうことができる。


 「ここで逃げたらカッコわるい。そんなの、私がなりたい野乃はなじゃない」(野乃はな)


 子供の頃に「イメージしていた未来」が実現できたのか? って言ったらできなかったのかもしれないけれど、この一線だけは譲れない。

 毎年、初変身は心のドラマとリンクしていてカッコいいな〜。


 「こいつの心には、どれだけのアスパワワがあるんや」(ハリハム・ハリー)


 前髪を切り損じ、自己紹介は失敗し、イメージする「イケてる大人のお姉さん」にはなれてないのだけど、アスパワワだけは豊富な女子、野乃はなさん。

 なんでアスパワワが豊富なのかって言ったら、近年のプリキュアシリーズの文脈的に、お母さんから沢山受け取ってるのだと思います。

 Aパートに、印象的にお母さんとはなさんがハグするシーンがありました。本作における「ハグ」は「アスパワワの伝導」の意味合いもあるのかな。

 『Go!プリンセスプリキュア』第39話では、全てを失った主人公の春野はるかさんが、最後に残っていた子供の頃に受け取っていたお母さんからの愛情(=花の髪飾り)でもう一度変身します。


参考:Go!プリンセスプリキュア第39話「夢の花ひらく時!舞え、復活のプリンセス!」の感想(ネタバレ注意)


 味方側のみならず敵側にも一度失敗して「やり直す」モチーフ(会社辞めるとか)が組み込まれている本作ですが、「やり直す」時に必要なもの。最後に人間のどこか奥の方に残ってる昔親から貰った愛情……というのは近年のプリキュアシリーズで繰り返し描いている要素です。本作の「子育て」モチーフ的には、ドンピシャな要素かと思います。

 冒頭のシーン。

 はなさんが描いていたノートの「イメージしていた未来」の絵がめくれて、白紙になります。

 これは、否定的なニュアンスじゃなくて「白紙の未来」的な肯定的なニュアンスかと思います。

 なるほど、子供の頃に「イメージしていた未来」は実現できなかったかもしれない。だけど、そのこと自体は恥じることはない。もう一度起き上がればイイ。もう一度夢を語ればいい。無様だなんて、笑わない人間もちゃんといます。

 「イメージしていた未来」と違っても、白紙のページに思いがけない「カッコいい」が現れることはあるのです。切り過ぎた前髪がけっこう似合ってたり、上手く自己紹介できなかった代わりに、困っていたお年寄り一人「人助け」できたり。

→ぬいぐるみ



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 あと、何となく今年から実験的にしばらくコメント欄を開けておいてみるので、何かプリキュアの話とかありましたら〜。

Amazon・ビデオでプリキュアシリーズを観る(初代〜ドキドキ!へのリンクまとめ)

→前回:『キラキラ☆プリキュアアラモード』第18話「ウワサの主は強敵ビブリー!」の感想へ
→次回:薬師寺さあやさんが野乃はなさんに青い鳥を見る理由〜HUGっと!プリキュア第2話の感想へ
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