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今回は全5回でお送りする予定で、その第1回です。
ネタバレを含んでおりますので、まだ観てない方はご注意下さい。
『HUGっと!プリキュア』は「育児」がテーマの一つということもあり、やはりというか、子育ての大変さも描かれています。
特に、いわゆるお母さん一人で子育てする「ワンオペ育児」に関しては、絶対難しいから、なんとか助けてもらえる体制を作った方がイイというのがメッセージとして盛り込まれている作品かと思います。
この点は、シリーズ構成・脚本の坪田文さんが第2話放映時にTwitterでつぶやいているほど、わりとストレートに作中で描かれてる部分かと思います。
今回の『映画プリキュアスーパースターズ!』でも、これまではなさん、さあやさん、ほまれさん、ハリーの四人体制で基本的にやっていたはぐたんの育児が、敵のウソバーッカにさあやさんとほまれさんが飲みこまれて分断され、ハリーは人間態に変身できなくなってしまう。残りははなさんだけ、「ワンオペ育児」になってしまった! という状況が描かれます。やっぱ育児でも仕事でもワンオペはアスパワワが欠乏するのだ #precure
— 坪田文 (@tsubofumi) 2018年2月10日
ここで、すぐ様「他のプリキュアに助けを求めよう!」と考えるのがはなさんのイイところ。『キラキラ☆プリキュアアラモード』最終話のクロスオーバーから繋がってる世界観になっていて、いちかさんたちアラモード組とはなさんが面識がある設定なのはイイですね。
はぐたんがヤンチャ(笑)してカートに乗って急な坂を下っていってしまうところを、はなさん一人(ワンオペ育児)ではどうしようもない! という展開で、さっそう登場宇佐美いちかさん。2009年の『映画プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ奇跡の大集合!』(感想)から春映画では続いている、前シリーズの主人公と今シリーズの主人公が出会う時の「世界が白色になる演出」も入って、グっとくるところでしたね。
かくして、アラモード組の助力もあり(交通整理に協力してくれる優しい世界も描かれます)無事だったはぐたんですが、今度はアラモード組も、いちかさん以外はウソバーッカに飲みこまれてしまいます。また分断です。
ここで、いちかさんを主人公の一人とした『キラキラ☆プリキュアアラモード』の映画としての物語も今作にはありますが、その話は第3回の記事に回します。
ここでは、さらに「助け」を求めて、いよいよ『魔法つかいプリキュア!』(感想)組のみらいさんとリコさん(とはーちゃん)が登場してくる方に話を進めます。今回の第1回は『魔法つかいプリキュア!』の映画としての『映画プリキュアスーパースターズ!』の話を書きます。
みらいさんの登場シーンは、落下するはなさんに手を差しのべる……というシーンです。
実は、この落下する主人公に手を差し伸べる……というのは、みらいさんは去年の春映画『映画プリキュアドリームスターズ!』でもやっています。
参考:映画プリキュアドリームスターズ!感想(ネタバレ注意)
去年は、他人のために命綱なしで飛び降りしてしまう宇佐美いちかさんという人(最近のプリキュアシリーズでいうバットエンド『幸福の王子』ポジションの人)に対して、そういう自棄を含んだヒーローに対して手を差し伸べてあげられる人としての朝日奈みらいさん……という感じのニュアンスのシーンでした。
落下する人に手を差し伸べる……という表現自体が『魔法つかいプリキュア!』第1話のみらいとリコの出会いのシーンなので、この表現には色んな意味が含まれています。
今作だと、去年と違うのは、落下してくる主人公であるはなさんが、はぐたん(赤ちゃん)を抱えているという点です。
なので、今年のこのシーンのニュアンスとしては、ストレートに「ワンオペ育児」でピンチになってる新人母のはなさんに、手を差し伸べるひい祖母ちゃん的ポジションとしての朝日奈みらいさん……という感じなのかなと思います。
比喩的に、はなさんが新人ママ、いちかさんがお祖母ちゃん、みらいさんがひいお祖母ちゃんですね。
社会的にそれが正しいとか、そこまで主張を激しくしないまでも、現在の世の中の「ワンオペ育児」の問題に関しては、保育所の数・質を上げるといった方向の他にも、こういう(必ずしも本当に血が繋がってなくても)全世代協力型育児の方向もあるかもね……ということをそこはかとなく描いているような気もします。
さて、またまたウソバーッカが現れて、今度はリコさんとはーちゃんも飲みこまれてしまいます。
大変だから親(お祖母ちゃん)を頼ってみよう、そこも大変になったから祖父母(ひいお祖母ちゃん)も頼ってみよう……とどんどん「助っ人」も現れてくれるのですが、同時にどんどん「助っ人」から分断しようという力も現れてきます。けっこう、リアル社会もそんな感じです。後の記事で触れる予定ですが、そういう「分断」する力としての「鬼火」も比喩的にカチっとハマってる映画だったりもします。
ここで、リコさんがウソバーッカに飲みこまれる前に、目だけでみらいさんにメッセージを送り、みらいさんとリコさん目だけで何かを通じ合う……というシーンが印象的に描かれます。
言葉は何も喋ってないシーンなので視聴者の解釈に委ねられているのですが、直前に、はなさんとはぐたんと出会ったみらいさんとリコさんが、「わたしたちもはーちゃんの子育てやってた」と共感を示してるシーンが入ってることから考えると、リコさんはみらいさんに、あなたは(一人で育児をやってる)はなさんの側にいて助けてやってくれってことを伝えてるのかなと思いました。
みらいさんとリコさんは、「別離」の悲しさを知ってる二人だったりするのですね。
『魔法つかいプリキュア!』第22話(感想)のはーちゃんと離れてしまっていた頃とか、
第49話(感想)Bパート前半のリコさんと離れてしまっていた時間とか、
その上で、「別離」から「再会」を果たした二人です。今回も、リコさんは必ず戻るからということをアイコンタクトで伝えてるのかもしれないですし、第49話がある二人なら、みらいさんはリコさんを信じるとも思います。
かくして、みらいさんは「過去にあった(クローバーさんとの)別離」を同じく抱えるはなさんを助っ人するために、ひいお祖母ちゃんポジションとして、はなさんと行動を共にすることに。
この「ワンオペ育児」をやってる人が大変な時に、セーフティネット的に助っ人になってくれるポジションというのは、『HUGっと!プリキュア』第3話における、はなさんのお母さんの、
「一人で大変でしょう。困ったことがあったらいつでもきて」(野乃はなさんのお母さん)
的な態度ということです。
参考:本当の(理想の)お母さんの代わりでもカッコいい理由〜HUGっと!プリキュア第3話の感想(ネタバレ注意)
『魔法つかいプリキュア!』自体が、校長先生とクシィさんの話にしろ、マザーラパーパ様とかの世界観規模の壮大な話にしろ、「過去」からの助っ人という要素を描いていた物語でした。
参考:『魔法つかいプリキュア!』第49話に組み込まれている二つの「過去との再会」という物語モチーフ
今回の映画では、『魔法つかいプリキュア!』の主人公だったみらいさん自体が「過去」からの助っ人として現在窮地に陥っているワンオペママのはなさんに手を差し伸べるという、『まほプリ』テイストの映画でもあるのでした。
『映画プリキュアスーパースターズ!』の感想、第2回以降も数日中に更新していく予定です。
▼『映画プリキュアスーパースターズ!』の感想
●第1回〜ワンオペ母に手を差し伸べる朝日奈みらいの物語
●第2回〜悲しい過去も何とかなる物語
●第3回〜「幸福の王子」宇佐美いちかの物語
●第4回〜アニミズムとしてのプリキュアシリーズの物語
●第5回〜過去の思い込みから解放される物語
→「映画プリキュアスーパースターズ! 」主題歌
→「映画プリキュアスーパースターズ! 」サウンドトラック
あと、何となく今年から実験的にしばらくコメント欄を開けておいてみるので、何かプリキュアの話とかありましたら〜。
→映画プリキュアシリーズの感想の目次へ
→Amazon・ビデオでプリキュアシリーズを観る(初代〜ドキドキ!へのリンクまとめ)
→前回:HUGっと!プリキュア感想/第6話「笑顔、満開!はじめてのおしごと!」(ネタバレ注意)
→次回:一条蘭世さんが大事なキャラクターである理由〜HUGっと!プリキュア第7話の感想へ
→『HUGっと!プリキュア』感想の目次へ