志摩子さんはいつか、卒業という形ではなくリリアンを離れる気かもしれない。離れたいんじゃなくて、離れなければならない事態がいずれ起こりうる。そんな覚悟のようなものが、以前から何度も見え隠れしていた。

 作中重要イベントの薔薇様卒業話ですが、僕的には志摩子さんが気になる。栞さん、蟹名静などと対比されながら、とにかく志摩子さんはいずれ消えてしまう運命にあるような伏線が張られています。そして聖からロザリオを受け取る時の何か「事情」を言いかける描写。果たして志摩子さんが抱えてる事情とは何なのか、作中の暗示です。僕的に、志摩子さんのこの話はじっくりとやって欲しい。消えゆく志摩子さんに祐巳らはどう関わるかみたいな。大きい話でかつテーマとかもあってイイ話になりそうなんで。
●黄薔薇まっしぐら
 三薔薇様の中で今ひとつ描写量が少なめだった黄薔薇様こと鳥居江利子を中心にしたストーリー。この話でようやく黄薔薇様も他二人と並んだ感じ。
 黄薔薇様の援助交際疑惑から始まる謎解きストーリーになっています。本当に援助交際してた!っていう展開も小説の可能性としては大いにあり得るし実際そのパターンの話も読んだことある気がしますが、マリみて読者的には全キャラを可愛がって可愛がりまくるマリみてに限ってそんなパターンがあり得るはずがないというのが前提となるので、自然援助交際というミスリードから、その真相は何か?という謎解きパターンの楽しみ方になります。つーかオチ分からなかった。読み終わればなーんだって感じで十分予想できそうなオチなのに、読んでる間はマジで謎全然分からなかった。マリみてにやられてる僕はまだまだミステリ読者にはなれないっス。

●いと忙し日々
 生徒会で学校行事を成功させるために頑張る。皆で何か一つのイベントを成功させるために頑張る。そういったシチェーションにノスタルジーを感じつつ楽しめました。
 しかしながら、一番のツボは紅薔薇様こと水野蓉子の主観視点で語られる「おまけ」の1年生隠し芸場面。まじ爆笑した。ギャグ漫画読んでる時並に爆笑した。

●一寸一服
 僕も動物園で黄薔薇様みたいな娘と出会いたいです。

●Will
 薔薇様がた遺言話。黄薔薇まっしぐらで黄薔薇様に随分割いたんでとりあえず紅薔薇様と白薔薇様が祐巳に遺言を。されど白薔薇様がメインは持ってっちゃってます。ホント作者に愛されてるなー。つーか祐巳行ったーッ!でもオチ付だったーッ!

●いつしか年も
 薔薇様方ファイナル話。三人それぞれの主観視点に飛びに飛んで三人の過去話、それぞれのそれぞれに対する想いが描写される手法は見事。今回ばかりは祐巳も脇役で三薔薇様が主役です。聖、江利子共に蓉子には敵わないと蓉子リスペクトだったという心情描写が良いです。それだけに三人の関係がすこぶるカッコよく映ります。そんな中で蓉子が答辞に……おそらくここまでの作中最クライマックス。
 三人の別れ際はお互いに濃い台詞を言い合うとかそういう重いものじゃなく、別れが別れじゃないだけの絆が三人にあることを描写するために敢えてあっさりとしたものになっています。その後味や良し。その分、蟹名静の去り際が文字数多めで描写されてカッコ良かった。もう触れられないと思ってたから出てきてくれて嬉しかった。

 「私は今日も明日もいつもと変わらぬ日常でありたいの」

 カ、カッコイイー。

●片手だけつないで
 もうタイトルだけでこの短編は勝利です。聖と志摩子さんの関係をメラカッコいい一言で表したタイトルです。
 「白き花びら」からの一連の聖ストーリー及びこの短編への流れ、そしてコレからの志摩子さんストーリーは僕的にマリみての核です。基本的には祐巳中心の成長物語、相互理解物語がメインストーリーだと思うんですけど、こっちの白薔薇の流れは裏メインストーリーです。冒頭でも書いた通り、この二つが交錯する濃密な話を是非読みたいなぁ。


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