「今度、一緒に仏像でも観にいきましょうか」(志摩子)

 昨日、前巻の感想で志摩子さんの伏線がどうのと書いたばかりでしたが、今巻がまる1巻かけての志摩子さんの伏線消化話でした。というか、小説版の1巻にあたる「マリア様がみてる」よりも、この話の方が先に読み切りの形で雑誌掲載されたものだったんですね。志摩子さんの事情の伏線、タイムリーに雑誌から追いかけてる読者にしてみれば既読の事実だったワケですか。
 志摩子さんの事情、課題が志摩子さんの中で昇華されるまでを描いたものですが、聖なんかの台詞から志摩子さんを救うのに一役買いそうな伏線が張られていた主人公の祐巳が微塵も活躍してないのが熱いです。全ての重要な役所を新キャラの二条乃梨子に持っていかれています。後編で読者の気持ちを代弁するように、既キャラ以外が志摩子さんに深く関わるのを祐巳が寂しく思う描写が出てくるんですが、その辺りヨロシクで旧薔薇様ら既キャラ好きの読者としては聖でも祐巳でもなくポッと出の二条乃梨子に志摩子さん救済の重要どころを担われるのは少々不満を感じたりもするかもしれないんですが、僕的にはその二条乃梨子がすこぶる魅力的だったんで万事OKです。仏像の造形美に魅せられている、頭は切れるが集団からはドロップアウト気味の少女って、なんだその魅力的な設定は。仏像がスゲー、少女と仏像っていうセットの魅力にやられた。中々この組み合わせは思いつかないと思う。設定が思いついたからこういうストーリーになったのか、ストーリーを先に思いついてこういう設定になったのか、その辺りを知りたかったり。

 しかしまあ、今回は出番ゼロの祐巳でしたが、聖の適材適所の話。今回は適役(乃梨子)がいるみたいだけどそのウチ祐巳の出番が来るみたいな話から、いずれ志摩子さん関係で祐巳にしかできない重要な出番が回ってくる話がこの先ありそうです。その話が描かれる頃が志摩子さん物語のもう一つのヤマでしょうか。

●BGN(バックグラウンドノイズ)
 志摩子さん&二条乃梨子ストーリー「銀杏の中の桜」の舞台裏を同時間軸をなぞるように描いた話。多分だけど最初に出された読切ってヤツが「銀杏の中の桜」で、こっちは小説からの祐巳や由乃さんファンのために書き下ろしたのかな?
 相変わらずの祐巳主観視点が普通に楽しいんですが、それよりも何よりも祥子さまがエラく黒くなってきてます。ラスボスです。大マジで志摩子さんをハメてるのが熱い。是非ともこのままの勢いで、よく少年漫画に出てくる邪悪な生徒会長路線に入っていって欲しいです。ヒステリー属性とかの設定もあるし、普通にコエーよ、祥子さま。


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