「がんばりなさい。紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブウトン)」(青田先生)

 す ば ら し い 。

 というワケで、昨日の前巻感想で書いた、「ボロボロの祐巳を立ち直らせる役割を担うのは誰なのか?」という問いの解答は、ズバリ「傘」。
 もちろん物理的に傘が立ち直らせてくれたというワケではなく、青木先生を始め、見知らぬ他者の善意によって祐巳のもとに戻ってきた傘の物語から、世界は祥子さまだけで構成されているワケではなく、様々な人ととの関わりで出来ているんだということに祐巳が気づいたという意味。前巻から色々と「傘」に象徴性を持たせていた作者の手腕がニクイ。いまさらですが、作者の今野先生という方、ただのキャラ萌え小説書きではないなと再認識。

 祥子さまとのすれ違いで祐巳がボロボロになった大本に、前巻の祐麒の「祥子さまに依存してるんじゃ…」ってな台詞があるんですな。なんで、今回の話の大まかな形は祐巳の祥子さま依存克服物語になっているという。その克服の過程を、祐巳ボロボロ→復活の流れで描いているのが本巻。復活の過程を順を追って丁寧に描いているのが素晴らしい。聖と加東さんに癒される場面、弓子さんとの会話の場面と、段階を追って祥子さま以外の人との関わりに開眼してゆく祐巳を描いておいて、十分に前フリが積み上がった所で上述の象徴性の高い「傘」返還イベントを持ってくるのがニクイ。傘返還イベント後の、祐巳視点の「もっと視野を広げなきゃ、ってわかったのだ」の一文には祐巳の成長にじみ出ていて、いい感じの快感を感じました。等身大の主人公が成長していく型の物語の醍醐味を味あわせて貰った感じです。

 あー、今回でかなり祐巳好きになったわ。中々に魅力的な主人公です。あとは、祥子さまが祐巳の中に見いだした、また志摩子さんが「祐巳にしかないもの」と評価する、超優秀な薔薇さま方の中に入っても色あせない祐巳だけが持ってる魅力ってヤツが全面に押し出される話が読みたいですな。その辺りに焦点が当たった話が描かれるのはシリーズも終幕間近になってからという気はしますが。


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