「この場をぶっ壊してやろうか」(柏木)

 何だよー、柏木イイ奴じゃんかよー。
 それはさておき、本編は淡々と夏休みの休暇描写が描かれます。タイムリーに夏に読んでるんで情景描写への感情移入もひとしお。というかもう、4分の3くらいまるまる淡々とした夏休み描写です。なんの驚きイベントもなく、まじ淡々。しまいには作中で祐巳らが読書感想文を書くために本を読み始めます。作中で読書描写を淡々と描くほど淡々とした休暇描写もめずらしいです。夏目漱石の『こころ』は僕的に一昨年くらいに挫折した経験があり、勝手に祐巳に感情移入して読んでましたが。

 イベントがようやく起こるのは終盤になってから。めずらしく祐巳と祥子さまを罠にハメる敵役が出てきます。コレは登場人物全員を可愛がるマリみてにしてはめずらしい。されどそんな敵役を出した甲斐があったというほどに、敵に打ち勝つクライマックスは爽快。というか祐巳がアカペラで歌うシーンはイイのー。ああ、祐巳ちゃん成長したなー、みたいな。親か?コレは親の視点なのか、自分。

 前巻での成長を得て、祐巳が心理的に余裕を持っているように描かれています。祐巳が成長したんで、むしろあとの話は祥子さまの成長に費やされそうな予感。男嫌いとか柏木さんの話とか、何より祥子さまが祐巳→祥子さま以上に祐巳にべったりという状況など、祥子さま絡みの方が課題が多く残ってます。その辺りは今年の祥子さま卒業話で昇華されるのかな。

 志摩子さんの出番が少ない……次巻に期待しよう……


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