けれど、志摩子さんはいつでも祐巳の二歩も三歩も先を歩いていて、とてもじゃないが容易に追いつけそうもないのだった。

 当の志摩子さんが余裕で籠娘になって由乃さんに追いかけられたり、流されて藤娘になってたりするのが熱い。ノリノリで借り物競走に参加してるのが熱い。
 いや、違う、違うんだ。そんな斜めに燃える所じゃないんだ。普通に、同世代の視点からして遙か遠い先を歩いている立ち位置にいる志摩子さんがカッコいい。


 本編は前巻で予想された通りの祐巳と可南子の和解話でした。オチから逆算するに、祐巳が思い切って可南子と直接対話した所で、実質可南子の気持ちは決まってたってことなんですよね。和解に必要なのは誠意ある対話ということですか。そのいざ直接対話にいこうって所までの心情描写での盛り上げ方が相変わらずステキだったっス。


 少し気になったのは、さらっとだけど、祥子さまパパが随分好印象キャラとして登場したこと。正妻の他に女をかこって祥子さまのトラウマを作った悪いヤツポジションにいるハズの人だったんだけど、やけに好印象。結局この人も肯定されるように描かれちゃうんだろうか。マリみては百合百合しい意味での性倒錯はしてるんだけど、1対多数で男女の関係性を結んでしまうような方向では性倒錯しない、むしろそういうのは悪いくらいの勢いで描いてるものだと思ってたので、やや意外。なんつーか、ここまで読んできて思うのは、女−女のペアでちょっと普通じゃない絆を描いてるのは、逆説的だけど、普通じゃない、あたりまえじゃない絆を描くことで、普通の、当たり前の1対1の絆の良さを際だたせてるような気がする。祐巳が祥子さまに一途なのから始まって、基本的に登場人物みんな、相手が1なら自分も1で真摯に向き合って人間関係を発展させ、絆を作っていってます。そういうのがイイんじゃん?って言ってる話のような気がする。『いちご100%』の真中みたいな1対多数で不真摯にフラフラ意識が拡散してるヤツはダメじゃん?みたいな。
 なんで、祥子さまパパについては、今回の紳士っぷりが裏返ってやっぱり真中みたいなダメベクトルのキャラだったと明らかになるか、実は女の人を囲ってるのも誤解、あるいは真摯に相手と向き合ってるようなやんごとなき理由があると明らかになるか、どっちかじゃないだろうか。完結までに祥子さまパパにスポットが当たるのかどうかも分からないまま言ってますが。


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