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 「ねえ、パパ。人があきらめていいのは、どんなときだと思う?」

 文庫には原書の情報がほとんどなかったんでちょっと調べてみたんだけど、マーガレット・サットン女史は1932年にシリーズ第1作を発表して以来、アメリカの少女達から絶大な支持を集めたジュディシリーズを38作発表しているとのこと。作中で感じた昔らしさはこのためでした。これも読み継がれてる作品です。世界中で読まれてるジュヴナイル・ミステリーの有名作品といった所でしょうか。確かにこれは安心して子どもに読ませられると思いました。等身大の女の子の心情が巧みに描かれております。70年経って国が違っても少女の悩み、心情なんてそんなに変わらないもんなんだよなーという感じ。今の日本の少女向けアニメ(おジャ魔女とかプリキュアとか)の日常パートにも通じるものがありましたよ。
 「少女探偵」とかタイトルの肩書きはカッコいいけど、イイ意味で主人公のジュディがめっちゃ普通な娘なのが魅力的でした。元気少女ではあるんですが、普通に人間関係で悩んで、落ち込んで、少女らしくパパの言葉に励まされて復活してまた頑張ります。人間関係の悩みが、嫉妬に由来する仲間ハズレな辺りが、現代にも通じる所があってリアル。70年以上こういう問題で悩んできたんですよ、子どもは。そんな問題に持ち前の明るさと家族身辺の仲間の協力とで負けじとひたむきに頑張るジュディが魅力的。
 ミステリ要素は、ミステリ慣れしてる大人が読むには物足りない(犯人ほぼまる分かりです(笑))感じですが、子ども読者を謎で引っ張っていくには十分な感じ。それよかやっぱ今作で言うならば、ジュディ、ロイス、ロレインを中心とした子ども達の人間関係を楽しむ感じ。最後の締めも謎解きパートじゃなくて、子ども達の人間関係の話の方に焦点をあててまとめているので、作者的にも力を入れてる部分なんじゃないでしょうか。
 あとは地味に富裕層と貧困層の相互理解話も入ってます。両者の橋渡しとしてのジュディという役所。ここにも、こんな昔からこの手の構成の話ってあったんだなーとしみじみ。というか、現代の大人のカテゴリ同士の対立も、源泉は子どもの頃のグループ間対立の延長のようなものなのかもなんて感じてみたり。この辺りは子どものように、一旦対立しても仲直りすれば握手して禍根を残さないのがさわやかでイイよね。

少女探偵ジュディ
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