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 またまた再読感想です。初読の時の印象からなんとなくコメディタッチの話のような気がしてたんですが、今になって読んでみると、これ、イイ話じゃん!って感じ。ちょっとウルってきた所アリ。
 それにしても僕の持ってる『黄薔薇革命』は付箋だらけだ。なんか、教科書みたいな感じ(笑)。
 江利子さまの話のオチがコメディ色だからコメディのイメージ強かったのかなぁ。メインの令−由乃間の話は、明るいタッチの『いちご同盟』みたいな感動系の話ですよ。生き死にに関わるような重い話ではないんだけど、手術という課題に立ち向かう由乃と、そんな由乃から一時的に別れを突きつけられてボロボロになった令が立ち直るまでを描いた話。令が立ち直る部分をちょうど『いちご同盟』で主人公とピアノとの関係で描かれたような感じで、令と剣道の関係にフォーカスをあてて描いている部分が良いです。ウルってきた所ってのは、丁度その立ち直りのきっかけを掴む部分の、剣道部の顧問の山村先生が令に語る部分。まだ由乃生きてんじゃん!だったら大丈夫じゃん!という語りなんですが、力強くて良い。ああ、やっぱり重くはなくても生き死にに少し触れて描いていて、それも生きるパワーの方にベクトルを向けて描いてるからいいのかな。由乃が手術前に最後に祐巳に会った時に、ついついマイナスにギア入っちゃう祐巳に向かって、「全然死ぬ気しないから」みたいに語るんですよね。由乃いい娘だ。実は個人的にも由乃の気持ちスゲー分かります。発作とか起きちゃうゆえに、学校みたいな集団社会の中では大変なこと、できるなら大事な人におぶってもらうんじゃなくて、自分の足で立って並んで歩きたいこと。大いに共感してしまう由乃の立場、心理です。そしてそんな由乃の想いを受けて、またまた今度は祐巳が令と接する場面で生きるパワーみたいなことについて祐巳がちょっと気づきを得るんですよね。ここ、エンタメ作品の中に作者が目立たないようにさりげなく入れた「深み」の部分だと思うんですが、良すぎるんで引用。

 考えてみれば、生きるってことは、自分のためにという大前提はあるけれど。それ以上に、この人のために生きなくちゃいけないとか、誰かを残して逝けないとか、そういうパワーの方が人を生の方向に強く引き寄せるような気がした。(P155)

 由乃は令のために、令は由乃のためにという所から、普段はコメディ仕様の祐巳がこんなこと考えたと、祐巳視点で語られてる所がイイです。感動。

 ◇

 カップを片づけながら、志摩子さんが言った。「姉妹にもいろいろな形があるわね」(P35)

 一番良く出てるシーンは『チャオ ソレッラ!』での、同じ宗教画を見て、志摩子さんは涙を流し、由乃は太ったイエズス様だ、なんて言って、それでも両方とも祐巳の親友……ってまとめられてる部分だと思うんですが、マリみてが描いてるモノの一つに良い意味での人それぞれ、多様性の容認ってのがあると思いますね。人の感性それぞれ、人間関係、姉妹関係もそれぞれ、だから面白い。2作目からそういうの入ってたんだなーと、今回改めて気づきました。

 ◇

 それにしても、やっぱりコメディーってかエンタメで面白いのは、これは続巻でどんどん効いてくるんですが、この巻の序盤ではエラく時間を割いて由乃の女の子属性?にまつわる会話がなされてる部分ですな。ミルクティーが好きで、白い猫飼ってて、レースやリボンや小花柄に、スカートだったらタイトよりもフレアだとかetc、これらの女の子イメージについて最初にみっちり書いてたからこそ、後で全部裏返ってイケイケ由乃が判明していくプロセスが痛快です。あー、やっぱ由乃も好きだわ、自分。最新刊の方では妹候補の有馬菜々も登場してることだし、これから出番増えませんかね、由乃話。今なら、また違った感じで楽しめそう。

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