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 「三十万円が、パー! あーっ、もうけたお金で渋澤龍彦買おうと思っていたのに――ッ」(藍田花音)

 面白かった。これ、今、キャラクター目当てのファン層をターゲットに深夜アニメ化してもいけるんじゃね?ってくらいキャラがイキイキとしていましたよ。
 特に、藍田花音ちゃんが!(表紙の一番左の黒髪の娘です)

 PCスキルが異様に高い人見知り少女、外見は可愛いが性格は曲者……っていう設定だけでお腹いっぱいな感じなんですが、それを表現するのに、初登場シーンで引用部分の台詞を言わせてる辺りがいいよね。優秀だけどコミュニケーション能力に難アリで、渋澤読んでる女の子なんて、激しく友だちになりたくないんですが、だが、それがイイ!みたいな。

 冒頭の行衡、五月の出会いのつかみのエピソードくらいまでは、普通のドタバタコメディ?くらいの感覚で読み進めてたんですが、保健室にてトーキョースーパーイエローテール(東京S黄尾探偵団)のメンバーが揃った辺りからは、もうキャラクターの魅力でぐんぐん読めました(単にそこで藍田花音ちゃんが登場したというのもありますが)。

 様々な年齢、経歴の人が集まる個人主義、自由主義の定時制高校という舞台設定を生かして、探偵団のメンバーが皆それぞれ世間的な「普通」、「スタンダード」から外れてしまった負い目のようなものを持ちながら、それでもそれぞれ目的に向かって協力していく様が結構しみじみなんかもして(この辺りで花音の人見知り設定なんかも掘り下げられるんですが)。特に、ある種のスターロードから外れてしまったためにやさぐれてS黄尾高校に通ってた行衡が、事件解決という目的に向かって協力していくうちに探偵団のメンバーに微細な仲間意識を持ち始めていく過程なんかが良かったです。

 んで、最後、犯人の元に殴り込みをかける(この辺りが無茶で普通のミステリものではない所以ですが(^_^;)クライマックスの時だけ、普段は私服の探偵団のメンバーが制服に着替えるという演出がめちゃくちゃカッコ良かった。普段はそれぞれの背景ゆえに適度にバラバラなのに、ここぞという時だけ団結、集団性の記号を帯びてる制服を皆で着込むんですよ!カッコいい!

 まあ、犯人は登場した時点から読者にまる分かりの書き方してるしで、ガチのミステリとして読むのはどうかという内容なんですが、序盤からの断片的な情報が最後に一点に収束する辺りは謎とその解明で楽しめる形の小説でもあると思います(謎、そんなの分かるか!という内容でしたが(^_^;)。

-----<ネタバレ>-----

 bear(クマ)と、cross I'd bear(「十字架」を背負う)を「bear」でかけていた……なんて難しすぎるよ!

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 とりあえず、キャラクターで楽しめる小説として面白かったです。一人でも好きなキャラが出来ればこれは長く楽しめるんじゃないかな?1999年から2005年まで28冊刊行と続いたシリーズなので、やはりどことなく惹きつけられるものがあります。続きもコツコツペースで読んでいこうと覚悟完了した次第です。響野夏菜先生は現在は「ガイユの書」を連載中ですが、現代劇の方が僕好みってことで先にS黄尾探偵団の方から読んでく方向で!

→既刊28冊、読む順番に列挙、下から刊行順です

東京S黄尾探偵団―奥様は魔女!?リターンズ

東京S黄尾探偵団―史上最大の作戦 後編
東京S黄尾探偵団―史上最大の作戦 前編
東京S黄尾探偵団―S黄尾、解散!?
東京S黄尾探偵団―雨の海に眠れ
東京S黄尾探偵団―バカップルがいっぱい
東京S黄尾探偵団―もっとも危険なゲーム
東京S黄尾探偵団―Uの烙印
東京S黄尾探偵団―八月の雨
東京S黄尾探偵団―その女、凶暴につき
東京S黄尾探偵団―嵐の歌を聴け
東京S黄尾探偵団―保健室とマシンガン
東京S黄尾探偵団―奥様は魔女!?
東京S黄尾探偵団―シンギング・バード
東京S黄尾探偵団―宝島へようこそ
東京S黄尾探偵団―ローマの厄日
東京S黄尾探偵団―俺たちは天使じゃない
東京S黄尾探偵団―Sの葬列
東京S黄尾探偵団―君にささげる花束
東京S黄尾探偵団―魔都に鳴く龍
東京S黄尾探偵団―時計台の首縊りの鐘
東京S黄尾探偵団―竹林温泉殺人事件
東京S黄尾探偵団―羊たちの祭壇
東京S黄尾探偵団―さらば愛しき女よ
東京S黄尾探偵団―五月、拉致られる
東京S黄尾探偵団―Kの処刑場
東京S黄尾探偵団―青の封印
東京S黄尾探偵団―少女たちは十字架を背負う


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