「皆を助けたかったから」(キュアルージュ/キュアアクア)

 今年の不仲エピソードは、両者好戦的だったの巻。
 ◇

 無印プリキュア第08話、SplashStar第08話と、どちらも主人公二人がすれ違いから不仲になり、そこから物語を経ての友情の再構築劇が描かれるお話……なわけなんですが、そもそもはファンの中で伝説回と崇められてる無印の第08話「プリキュア解散!ぶっちゃけ早すぎ!?」に敬意を払っての「第08話は不仲エピソード回しばり」があるとか無いとかなワケですよ(第08話放映時をタイムリーに視聴経験してた者としては、当時の盛り上がりが凄かったことを今でも思い出せます)。

 で、今回も意図してか、意図せずしてか、というか多分意図してるんであろう、「不仲状態なんだけど、バトル中は息がピッタリ合ってる/敵キャラよりも、不仲中のお互いを意識してバトルしてる」や、「劇終了後に、それまで名字で呼び合っていたのが下の名前で呼び合うようになる」などの、無印第08話を彷彿とさせる要素が盛り込まれていた回でした。こういうの嬉しいなぁ。今回で描かれた価値観の多様性の容認というテーマも、無印プリキュアで描かれたテーマだしで(主にほのかを通して描かれており、ほのかはよくバトル中に抽象的な語りモードになり、一つの価値観を押しつけてくるドツクゾーンの論理を、価値観の多様性の是を用いて反駁していた。なお、無印作中で「価値観の多様性」がキーになる箇所で何度も虹色のエフェクトの演出が使われるのは、それこそ十人十色の言葉通り、多様性の是を象徴する演出としての虹色だったのだと僕は解釈しています)、こういうちょっと演出やら構成やらの作品の裏方の部分でプリキュアスピリットを継承していて、5人になってもこの作品はプリキュアというのをアピールしているのはステキだと思います。新規の幼女視聴者は普通に5人がプリキュアと思って楽しんでもらえればいいように作っておいて、分かる人にだけ分かるように入れてる4年越しの連続性というか。うん、こういうのは良い。

 しかし時代の流れのせいか、無印の頃やSplashStarのお話は本当「すれ違い」からの対立劇で、視聴者的にはどっちが悪いどっちが正しいと盛り上がれる感じで作られていたんですが(無印第08話放映終了後の、なぎさが正しい派とほのかが正しい派のWEB上の論争は皆そんなに暇なのかというほど、色んな人が熱を入れて語って激論が交わされていた)、今回は最初からすれ違いというよりは「我の張り合い」という感じで、最初から個性の違いが全面に押し出されての反目劇でした。そして、無印の頃やSplashStarが、主に対話による相互理解を解決策として用いていたのに対して、今回は共通項があるゆえのお互いの認め合いに落ち着くという、これまた僕の印象ではちょっと現代的な解答に落ち着いておりました。「フ、お前、中々やるな」という少年漫画のテンプレート的なあたりとかが、女性も少年漫画作品の主要ターゲット層に入ってきた昨今的というか、プリキュア5は男の子視聴者もターゲット層に入れます的な今作的というか、そして、共通項をあぶり出しての表面的な反目の無化という思想は、どことなくサミュエル・ハンチントン的というか。プリキュアも、真面目な所で無駄に時代と共に変化してるなぁとしみじみ。

 そんなワケで、お花は赤か青かとかいうバカバカしい対立から始まって、何故か大食いバトルに発展したり、ことあるごとにつっかかるりんにおとなげなく対抗意識をみせるかれん先輩……という過程を十全に描いておいて、

 「でも、皆を助けたかったから」(キュアルージュ/キュアアクア)

 「りんちゃんとかれんさんって凄い負けず嫌い」(夢原のぞみ)

 と、お互いに存在する共通項ゆえに混じり合うという落としどころは良かったです。それと繋げて、多様性の是というテーマを後押しするようにバトルクライマックスで、

 「寄せ集めなんかじゃない!」(キュアレモネード)

 「皆、個性も違うしぶつかることもあるけれど!」(キュアミント)

 「5人であることに意味があるの!」(キュアドリーム)

 と、個性と多様性の是の三連コンボの反論が決まるのが熱かった。それは、代わりがいくらでもいる中で個を消され、独力で成果を取りに行くしかないナイトメア社の連中には無い思想なわけで。やはり、この作品のエンターテイメントのキモは、現実に埋没して何かを見失ってる大人達を、仲間パワーとドリームパワーに溢れる夢見る乙女達が爽快にぶっ倒していく所。アラクネアさん、切ないぜ。

◇今週の春日野うらら

 公式サイトの設定には、「見た目は幼いが、社会に出ているため思考は大人っぽく」の一文が。

 ゆえに、今回、紅茶が合うか緑茶が合うかでモメてるりんさんとかれん先輩の間に、「私は牛乳が良いと思いますよ!」と割ってはいるうららの絵は、はじけてるから空気が読めないとかじゃなくて、大人の思考を持つがゆえに、このレベルの人間関係から生じる反目には慣れっこで、さりげなく両者の仲介を買っていた!説を僕は推したいと思います。実際、うららが牛乳で割って入ったり、ピンキーを移す順番でモメてる二人をよそに勝手にうららが自分からピンキーを移し始めちゃうという行動で、りんとかれんの対立はその場的には上手く収まるように運んでるし。絶対計算ずくに違いない。営業スマイル少女は伊達じゃない。大人な思考、ナメんな。

 普通に、赤い花か青い花かでマジ対立してるりんとかれん先輩に比べて、自分は紅茶を持ってきて、のぞみさんが緑茶を持ってきても、コミュニケーションを取りながら「牛乳が!」とボケをかます余裕を持ちつつ、普通に対話できてるうららは、ダメな先輩達に比べてコミュニケーション能力の相対値がグっと高いと思います。さすがは、女優業で揉まれてる女!営業スマイルができる女!

◇今週のデスパライア様

 ついに登場。最終話近くまで明かされないのかと勝手に想像してたデスパライア様の願いは、「永遠の命、不老不死を得て、世界を絶望で支配すること」とわりと序盤で判明。たぶん、SplashStar終盤で、「滅び」で世界を覆うつもりだったアクダイカーン様が実は満と薫という生命を作り出していたという矛盾を指摘されることで、「自然(から生まれる生命)」と「滅び」が相互補完的に落ち着いたように、デスパライア様の願いも、「絶望」で支配するとか言いつつも、叶えたいビジョンを持って行動しているという点においては自分自信は「希望/願い/夢」を持っていると矛盾を指摘されて、主人公サイドの「夢/希望」と、敵サイドの「現実/絶望」が混じり合う感じになるのではないかと予想。大ボスが中学生女子に矛盾認定受けてマジダメージ受ける爽快感は格別だったので、今年もそんな感じに持っていって欲しいです。なんか、デスパライア様もSplashStar同様、部下とかから下克上受けてラスボスにはならない気も既にしてますけどね。「会社」のネガティブ面をイメージしたナイトメア社の設定上。あるいは、終盤でナイトメア社、TOBで買収されて、ラスボス変更とか。

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