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 「この物語は悲劇じゃない!」(キュアミント)

 秋元こまちさんの小説家志願エピソード。「批評」というもののあり方について考えさせられるという、相変わらず、な、なんで女児向けアニメでこんなのやってるんだ!?というテイストが熱いプリキュア5です。
 ◇

 われらが小説家志望の秋元こまち先輩が、ついに小説『海賊ハリケーン』を発表。主人公が海賊のハリケーンくんなのか?と思いきや、実際は舞台に海賊とハリケーンが登場するというだけでつけられったぽい、タイトルからして不安な作品です。

 しかし、のぞみ、りん、うらら、かれんの少女組には評判は上々。

 ここで幅広い意見をと、ココが、

 「ナッツはパルミエ王国で一番の読書家だったココ!」(ココ)

 と、ナッツによる査読を提案します。ナッツ、アクセサリ職人の腕を持ちながら、読書家としてのブランドも固めてるなど、中々パルミエ王国ではデキるヤツのポジションだったみたいです。しかもイケメン。さすがは、ひと味違う男、ナッツ。

 しかし、ナッツの『海賊ハリケーン』評は……

 「何を言いたいか分からない」(ナッツ)

 エンドユーザーの作品批評の定型句…キターーー(>▽<)。

 プロの小説でも必ずしも何か言いたいことがあって書いてるわけでもなく、また、プリキュア5もブラウン管の前の女児視聴者達は、「パパ?お話の意味が分からないよ?」と言ってる可能性もあるのではないか!?前々回の組織の会計の話とかかなり児童にはハードルが高かったんじゃないか!?と、視聴者が様々な思惑を浮かべる中、当の作者である秋元こまちさんはご傷心モードでその場をご退場……

 ああ、素直な批評は時として創り手を傷つける。女児視聴者にも、早期から作品視聴に関して一エンドユーザーになってしまうことに警鐘を鳴らすという、視聴者への要求水準が高い番組です。

 こまちさんに謝れ!謝れ!というのぞみらお友達組に対して、いや、でも素直な感想を言っただけだし……というナッツ。価値観の違いはかくも軋轢を生みます。恐ろしや、作品批評。

●一方その頃のナイトメア社

 デスパライア様登場で、絶望賛歌を連呼

 な、なんかデスパライア様の仮面が悲しい印象を受けた。デスパライア様も、夢を持っていたんだけど敗れて、今では絶望に埋没してる方が楽だ……なんていう悲しさを背負った人?なのではないかとフと思った。

●一方その頃の秋元こまちさん

 ピンキーが登場

 ピ、ピンキー、空気読めと。今、こまち先輩はご傷心なんですよ!何もこのタイミングで現れなくても!

 それでも、どんなにブルーな時でもお仕事はこなさなきゃ!的にピンキー捕獲に走るこまち先輩に、現実と戦いながら皆頑張ってる!というこの作品の真髄を見た気がした。奇しくも5月。5月病だと甘えられるのは学生まで。こまちさんも傷心の中ピンキー捕獲(とキャッチュの宣伝)とお仕事頑張ってる。だから、多少鬱でも、皆もカーテンを開いて明日からお仕事頑張ろう!

 なんて元気がもらえる番組なんだろう……。

 ◇

 Bパートはバトルを絡めてのこまちさんの復活劇。

 この5人各キャラクターの名前がサブタイに入る第1クール終了シリーズは、夢バンザイだった序盤6話に対して、一人一人が現実にぶつかって打ちのめされながらも、立ち上がって前に進み続けるお話。のぞみも勉強ダメダメという現実に負けずに頑張って、うららも中の人がいないというハプニングに負けずに頑張って、りんも全ての部活はできないという現実に負けずに頑張って、かれんもお金が無いという現実に負けずに頑張ってきたのです。ここでこまちさんだけ頑張らないわけにはいきません。

 「ナッツさん気にしなくていいよ、少しきつく言われたくらいですねるあの子が弱いだけだから。これしきのことで落ち込んでるようじゃ、所詮作家になるのは無理よ」(秋元まどか)

 と、ナッツの批評を後押しするように現実を突きつけるお姉さんも登場しますが、それにも負けずに立ち上がります。

 「最初から上手くは書けないナッツ<中略>書き続ければ必ず成長するナッツ<中略>だから夢を諦めるなナッツ!」(ナッツ)

 最後の一押しが他ならぬ現実を突きつけたナッツからの励ましというのが熱い。

 「この物語は悲劇じゃない!何があっても主人公は決して諦めないの!例え絶望しても再び立ち向かう勇気を持っているのよ」(キュアミント)

 ここでこまちさんにこう言わせている以上、やっぱりデスパライア様は対比要因として一度絶望して立ち直れなくなった人っぽいです。それに対して、プリキュア達は絶望を突きつけられても立ち上がれる強さを持っているという。

 「これは私の物語よ!勝手に終わらせはしないわ!」(キュアミント)

 「私が書いた物語」という単純な意味と、「私の(作家になるという夢を追う人生という名の)物語」のダブルミーニングになってるのが熱い。

 そんなこんなで無事こまちさんが復活してアラクネアさんを撃破。めでたしめでたし。

 ◇

 引きは、ダメな点指摘だけじゃない、良い点、改善点を含めたナッツの指摘をこまちさんが受け入れてまた努力していこうというほどよい落としどころで次回へ。この落としどころは、「批評」に関してわりと深く扱ってた今話に関してはほぼ完璧。のぞみやうらら達は評価したのに、ナッツは評価できなかったというのがまず一点。これは、ユーザー層の違いと、客観的質的レベルの違いという異なる二つの問題を含んだかなり入り組んだ問題。例えナッツに受け入れられなくても、普通にのぞみら少女層をターゲットに書き続けても、現在の世の中なんら否定される事柄ではないわけですよ。女子中高生向けケータイ小説とか、文法だとか構成だとか、従来的評価基準では全然話にならないような作品でも、十分にユーザーから支持を得ている作品なんか沢山あるわけです。それはそれで否定されるべき事柄ではない。ただ一方で、そういった少女層にはウケる作品が、ある従来型の客観基準で一定の水準に達していないことが多々あるのもまた事実。ナッツはおそらく比較的硬質で文芸ベクトルの、従来型基準をジャッジするのに目の肥えた批評家だったのでしょう。そういう意味で、客観基準で至らない作品を至らないとジャッジすること自体は、これもまたなんら否定されることではない。ポイントとしては、こまちさん自身はケータイ小説のユーザー層向けの作品を書きたいというよりは、従来型の作品でプロの王道を目指してるふしがある点でしょうか。それゆえに、自分が目指してる方の基準で辛口でも批評してくれたナッツの意見には耳を傾けなければならないという。そこで、一旦逃げてしまったのは、やはりお姉さんのまどかさんが指摘するように、こまちさんの一つの弱さ。

 一方で、批評する側の立場、ナッツ目線からの物語にもなってるのが今回の複雑だけどステキな所。いくら目が肥えていて作品に対する判断力があるとは言っても、一介のエンドユーザーが(ナッツは優れてるとは言ってもクリエイターではなく、一介の消費者)むやみやたらに創り手に批判をぶつけることは良いことか?批判でいちいち落ち込むような人間に作家になる資格は無いという定型句を免罪符に、創り手も同じ人間であることを忘れて思いやりのようなものを忘れて傲慢に発言してしまってはいまいか?というのが描かれて、事実、ナッツも自分が悪くは無いことを自覚しながらも、傷つけてしまったことに対して悶々とした気分を抱えることになります。

 と、色々と「批評」に関して入り組んだ要素が沢山入ってたお話だったので、ラストの、ナッツ側もエンドユーザーとしての配慮無しの批評に委ねるだけではなく、色々と改善点などを指摘して誠意を見せ、こまちさんの方もそういった批評を受け入れて諦めずに作品を改善していこうと気持ちを新たにするという、双方が歩み寄る形でまとめたまとめはやはりストンと落ちています。毎回書いてるけれど、「信じれば夢は叶う!」の一点張りで主人公が夢街道を爆進していくお話でも十分アリな所を、敢えて現実を突きつけて挫折させてる所がリアルにステキなプリキュア5です。初っぱなから満塁ホームラン打って優勝校を打倒してた日向さんが懐かしいなぁ……。

●ナッツのノウハウ

 「たく……解決方法が載ってる本は無いのか……」(ナッツ)

 こういう人が人間関係改善ノウハウとか買うんだと思った。

●今週のこまかれ

 「じゃあ、いつでも電話してね……」(水無月かれん)

 誰か、電話でストロベリトークのこまかれをイラストに起こしてあげて!

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