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 自分は大人だと思い込んでいた。でも、確かに未熟なヒナ鳥でしかなかったのだ。

 コバルト8月号に載った『マリア様がみてる』の短編「私の巣-マイネスト-」の感想をまだ書いてなかったので、遅れながら軽く感想。
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 キャラクターが未熟なヒナ鳥という比喩でお話が作られた場合、ヒナ鳥=いつまでも親鳥に保護してもらってないで、自立へ!という流れになることが多い気がするし、親とか学校とか国とか、何かしら保護されていた対象から脱却して自分の足で歩き出すっていうお話はとてもカッコいいことが多いんだけど、このお話は逆にまだ甘えていていいんだ!という風に持っていってるのが面白いと思った。

 主人公の朝倉百って子が、自立しなきゃ自立しなきゃって無理し過ぎて、謎の貧血症状まで起こしていた所に、一学年上のお姉さんキャラの筒井環という子がメンター役で登場して、人間関係を作っていくうちに、百に対して、

 「ヒナはヒナらしく、エサ頂戴って口をパクパク開いてればいいってこと。案外お母さんもそうして欲しいと思っているのかもしれないよ」(筒井環)

 という甘えていいんだ宣言を百に補填してあげるという大まかなストーリーライン。その夜、思いっきりお母さんに甘えてみたら、お母さんの再婚問題に起因する百ちゃんの貧血症状もなくなったというお話。

 このメンターポジションで登場する筒井環って子がかなりイイ味出していて、人を振り回すようなキャラクターなんだけど本質は見抜いている的な美味しい人で、2年生設定ということで祐巳達と同学年、本編絡みも期待したい感じです(内藤笙子ちゃんを筆頭に、短編からの本編昇格組は結構多い)。

 最後に、環が百に対してどうしてそんなにも「分かった」感じで導けたのかが明かされるんですが、実は環は百の大叔母さんだった!という大技が炸裂します。相変わらず緒雪先生のミステリは無難にまとめないで面白い。そんな感じで、姉妹(スール)愛、友情を描いたお話だったというよりは、実は家族愛を描いていたお話だったという種明かし。最近では瞳子の家の事情のお話とか、小笠原家問題とか、そして、とてもホクホクする祐巳と家族の場面とか、マリみては学園モノに留まらず家族の繋がりのお話を描いてる側面もありますよね。

→本短編収録

Cobalt (コバルト) 2007年 08月号 [雑誌]

→ドラマCD最新作が登場

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