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 「くだらぬ。一時の感情など何の価値も無い。全ては消え去り、絶望だけが残るのだ」(デスパライア様)

 デスパライア様最高。久々に感動的なラスボスに出会えました。
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 今回のラスボスのデスパライア様掘り下げ話、僕的に100点。ドリーム連呼で怖いモノ無しの今年のプリキュア軍団に対して、カウンターの思想をしっかりと身に纏った最高のラスボスでした。

 「いつか必ず終わりが来る」という事実を、子供番組向けにココとのぞみの異種族恋愛の方を前に出して描いてたけど、それはオブラートに包んでいるんであって、本当は作品として「死」について言及してるのはドリームコレットを使ってのデスパライア様の願いが「不老不死」だったこと及び老化する手の描写から明らか。

 ドリーム連呼して突き進める、いつか自分が死ぬなんて考えもよぎらない子ども達には分からない、人間はやがて死ぬという事実。完全に「夢見る子ども」VS「現実に摩耗した大人」という構図で突き進んできたプリキュア5ですが、主人公サイドの「子ども」に対する「大人」側のラスボスの行動原理が「死」を意識してるがゆえというのがカッコいい。

 今回、Aパートはココのぞ、かれミル、ナツこまを中心に、「蜜月」が演出的にも描かれていたんですが、Aパートラストのデスパライア様登場と共に、そんな「蜜月」もいつか必ず終わりが来る、全ては「つかの間」に過ぎないと転覆。それどころか、人間関係、恋愛的な蜜月云々以前に、生きてること自体どうせ死んでしまうという点で必ず終わりがくるんだと、ストレートに子どもに伝えては夜も眠れなくなる事実がBパートでは描かれます。

 「くだらぬ。一時の感情など何の価値も無い。全ては消え去り、絶望だけが残るのだ」(デスパライア様)

 どうせ死んでしまうんだから、残るのは絶望だけ。「一時の感情」ってココのぞの方にフォーカスしてボカして言ってるけど、そもそも「一時の生」さえ意味なんかないんじゃないか?というテーゼを体現してるのがデスパライア様。ラスボスとして最高です。

 そして、そこからデスパライア様を反駁するココの叫びが二重の意味で熱かった。

 「そんなことない!とりとめのない会話。一緒に見た景色。全て、かけがえのない大切なモノなんだ!」(ココ)

 例えのぞみと別れる日が来るとしても(に包みながら、例えいづれ死んでしまうとしても)、一時、つかの間には価値があると言い切るココ。そう思えるくらいの過程をのぞみと過ごしてきたというバックボーンがあるから出てくる(ココのぞ名場面回想挿入上手かったですね)、いわゆる「ダイの大冒険」ラストのポップのお母さんの「人間は誰でもいつかは死ぬ…だから…みんな一生懸命生きるのよ」に通じる「閃光のように」生きるな思想。

 そんな単純な今作内のメッセージに一つは感動しながら、二つめとして、このメッセージは無印プリキュアから受けつがれてきた「今を大事に生きる」というプリキュアイズムをしっかりと継承している点。やっぱり、プリキュア5もプリキュアだった。

 「明日は明日の風吹く マジ意味わかんない 今しか出来ない宿題 ガンバらなくっちゃ!」

 の無印主題歌にも表されているように、死生観までは踏み込まなかったにしても、なぎさも将来の不安に対して、「今を大事に生きる」という今回のココと同じ解答を導き出していました。

 白を綺麗に出したいなら、背景の黒をしっかりと描くこと、生の輝きを表現したいなら背後にある死をしっかりと描写すること、実存の尊さをあぶり出したいなら、背後の構造の無機質さをしっかりと描くこと、その理屈で、「希望」を持つことの尊さを説いてる今作で、今回のデスパライア様の「絶望」に関する掘り下げは見事でした。

 あー、でもこう主題となるテーマを絡めて伏線を張りつつ描いてしまった以上、よっぽどの逆転がおきない限り最後はお別れエンドなんだろうなぁ(そうじゃないと、今回のやがて終わるとしても「今」という主題が生きない)。「おジャ魔女どれみ」も結局ハナちゃんとはお別れエンドだったからなぁ。王族との異種族恋愛は、やっぱり成就が難しいよ。

 今回は真面目に感動していました。ココのぞ、ナツこま、かれミルときて、相手がいない者同士としてりんさんとうららがペアにされてたのになんか笑ったとか、ツボに入った部分の感想は控えておきます。

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 デスパライア様に対しても敬語だったうららは下ッ端根性が骨の髄まで染みついているやっぱり可愛いと思ったとか、そんな感じでメインブログの3周年記念に頂いた春日野さんイラスト

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