雑誌「なかよし」掲載(最近最終回を迎えたとのことですが)の桃雪琴梨さんの漫画、『ミリオンガール』1巻&2巻の感想です。

 RubyGillisさんの「なかよし」感想が面白くて買ってみたんですが、めちゃめちゃ面白かったです。
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 一言で言うと、「なかよし」みたいな少女漫画カテゴリで『カイジ』をやったら? みたいなノリの漫画なんですが、回りが夢に恋にと、少女的ロマンにいっぱいな「なかよし」の中で、今作の主人公の琥珀さんだけは、「お金!」とガチのマネーゲームをやっているという漫画です。

 第1話の琥珀さんの「お母さん譲りの綺麗な琥珀色の髪」が明らかに「少女性の記号」になってるんですが、第1話の見開きで、琥珀さんはマネーゲームに参加するための対価(参加費)として、自分でこの琥珀色の髪を見開きでぶった切ります。

 ここは感動でした。久々に少女漫画で涙腺にきたほどに、この見開きへの流れはカッコいい。私には取り柄がこの琥珀色の髪しかないの……という描写をずっと積み重ねてきて、だけど1億円の借金を返すために、自分でブチ切って前に進むというのがカッコいい。

 また、直前でナイフを印象的に映して、借金に絶望して自決してしまうんじゃないかとミスリードさせているのもイイ。琥珀さんの解答はもっとバイタルなものでした。死ぬくらいだったら、何を失っても私はお金を稼ぐ!

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 琥珀さんが本当カッコいい。乙女的な要素(主に心理的なもの)で毎回ピンチにも陥るんですが、マネーゲームの要所要所で妙にロジカルなのも熱い。もう失うものもあんまり無い絶体絶命の状況からお話が始まってるので、覚悟を決めてロジカルにお金を取りに行っている。カッコいい。

 あと、最近の「バクマン。」用語で言うとシリアスな笑いというか、例えば女子高生でマネーゲームの覇者の、クイーンみたいな人が敵キャラで出てくるんですが、女子高生何やってるの! 的な面白さがあります。琥珀さんもそういう人を相手にしなければならないので、必要以上にロジカルにマネーマネーしてるのがまた女子高生何やってるの! 的に面白い。裏切り者ゲームのロジックとか、大人の僕でも立ち止まって結構考えないと分からなかったよ。夢いっぱい、恋いっぱいの「なかよし」の中で、ロジカルに「裏切り者ゲーム」。琥珀さんだけは、何かが違う。

ミリオンガール(1) (講談社コミックスなかよし)
ミリオンガール(1) (講談社コミックスなかよし)

ミリオンガール(2) (講談社コミックスなかよし)
ミリオンガール(2) (講談社コミックスなかよし)

ミリオンガール(3) <完> (講談社コミックスなかよし)