『ハートキャッチプリキュア!』第24話の感想補遺のような文章です。
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 しかし、前回の次回予告であれだけ全力でマントを訴求しておきながら、どちらかと言うと「外見だけ変わってもダメ」要素にマントが使われたのが凄い。

 僕も一視聴者として、放送開始前は、今日はマント! マント! マントさえあれば、ダークプリキュアさんに一矢報いることができるかも! みたいなテンションに若干なっていたのですが、物の見事に叩きつぶされていました。うむ。マントを纏ったからと言ったって、外見だけちょっと変わったからといって、勝てないものは勝てない。そういうテーマのアニメだった。

 逆に一矢報いる要素となったのは、外見とか関係ない、いつきさん本人が本体の努力で身につけていた明堂院流の機転でした。地味に、キュアサンシャインに外見も変わったけれど、決定的な要因は本人の努力や内面……という、ハートキャッチのテーマがみっちり詰まっていた中盤クライマックスエピソードだったと思います。

●ドキドキ花咲さん

 そして、この「変わる/変わらない」テーマ、「内面/外見」テーマで実は重要だと思ったのが、空を飛んでるシーンで、いまだに花咲さんが男装状態のいつきさんにドキドキしているシーンがあること。

 どうも、先日発売されたMOOK『まるごとキュアサンシャイン』収録分の上北ふたご先生コミックス版の情報も合わせるに、「花咲さんは何故か女子だと分かった後もいつきさんにはドキドキしてしまう」という設定が公式にあるっぽいんですが、これは百合! とか言う前に、テーマ上も設定として上手い。

 いつきさんというキャラクターのテーマは、「変わる前(女子だった自分)と変わった後(男装して明堂院流に打ち込んだ時間)」も、もう一つの「変わる前(男装していた自分)と変わった後(可愛いまま戦うキュアサンシャインになった自分)」も、両方大事だ。両方自分だ! というものなんだと思うので、例えばキュアサンシャインになったからと言って、その前の状態の男装状態のいつきさんが否定されてしまっては、意味がなくなってしまう。

 それゆえに、花咲さんが今でも引き続き男装状態のいつきさんにドキドキしてしまう……というのは、男装時間のいつきさんを肯定している意味合いが出てくる。これは上手い。

 そもそも花咲さんの特性が、「内面を見ているので、あまり外見に影響を受けない(番君の怖い外見オーラが花咲さんには効かない話など)」なので、男装状態やキュアサンシャインと外見は変わっても、どうも花咲さんはいつきさん本体の内面にドキドキしてるらしい……というのは、割と真面目に作品テーマ上もいつきさんというキャラクターのテーマ上もマッチします。

●ちなみに

 いちおう少女創作的には、と言うか、特に少女漫画史的には、どうして今までプリキュアにメインキャラでいなかったのかというくらい、男装の麗人ネタで、男装の外見と女子としての本然のギャップネタは定番だったりもします。

 代表作は何だろうなー。『ベルサイユのばら』とかかな。あれは、オスカルの「男装の外見/女子としての内面」が、そのまま「体制/人間の自由意志」というフランス革命のマクロなテーマに写像されていく、まあ今更僕が言うまでもなく傑作。漫画の中では手塚治虫作品のいくつかと同じくらいの文脈で読んでおく「べき」と言ってもいい作品だと思う。

●楽器は武器!

 最後は全然違う文脈の話ですが。タクトの次はタンバリンが武器でした。フルートで戦った先輩なんかもいます。

 で、この流れだと、ムーンライトさんも何か楽器武装持ってるっぽいよね。

 僕的にはピアノとか熱い。デカ! 的な。

 真面目に、ドビュッシーの「月の光」を絡めてくるとか、映画の舞台がフランスなのも含めてアリな気がしてるんですが。

ベルサイユのばら 全5巻 (集英社文庫―コミック版)
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月の光 〜ドビュッシー / ピアノ名曲集
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