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ハートキャッチプリキュア!第33話「キュアムーンライト、ついに復活ですっ!!」の感想です。
今回の見所ベスト1。
第1位:月影ゆり変わる
良い話でした。しきりに花咲さんらから提示される「新しい私」だけど、新しい私になる前に、過去の私に決着をつけなくちゃ前に進めないという心情は分かる。
みんなパワーや友情が大事でしょ、それができなくて独力志向だったから負けたしコロンも失ったんでしょ、だけでは、割り切れない何かがある。
月影さんの心の問題は、ゲストエピソードなら第5話の三浦君のパターン。変わっていくこと(あの時はラーメン屋を展開していくこと)が是なのは分かっている、だけど変わらなかった頃の心情(あの時はお父さんとキャッチボールをしていた頃の心情)も誰かに汲んで欲しい。その板挟み。月影さんも、仲間が是なのはもう分かってる(実際新人さん達は3人の仲間パワーでハートキャッチミラージュも手にしてみせた)、だけど、独りで使命を胸にボロボロになりながら戦っていた自分の心情も誰かに認めて欲しい。
第10話で初めて花咲・来海ペアに接触した時、軽々しく「心の大樹を守るという使命」を口にし、「真の友情」ということを語る二人に月影さんは苛立ったのですが、それにはこういう背景があった。友情で心の大樹を守れるならもちろんイイ。だけどそれが成立してしまったら、独りで戦い続けた自分の気持ちはどこにいってしまうのか。
結局その微妙な心情を分かってくれていたのは、他ならぬ花咲さん達の頑張りで一時だけ現れたコロン。分かりやすくこういう形式の表現になってるけど、描いているのはリアル世界でもあるある的な「過去の自分との対話」という感じです。反省会。もう変わっていかなきゃならないことは分かってるんだから、そのために変われなかった頃の自分に目を背けていてもしょうがない。反省会。
そして、コロンは認めてくれた。月影さんは独りで何でもできると驕っていた訳ではなくて、使命の重さを一番重く誰よりも分かっていたから、他人を巻き込めなかったんだ、優しすぎたんだ、と。
ここが月影さんには重要だった。三浦君が我が儘だと思っても、お父さんに構って欲しいという気持ちを誰かに認めて貰えないと進めなかったのと同じ。そう、孤独とか辛気くさいとか友だちいないとか、しょうがないじゃない、大変な仕事だったんだから、独りで抱え込むしかなかったの。誰も巻き込みたくなかったの!
そして、シリーズ通しでのゲストキャラとも言える月影さんの話をこう持っていくなら、特に1クールで花咲さんと来海さんはせいぜい強制フォルテウェーブするくらいで、ゲストキャラの本質的な問題には介入しない、できないという作劇を取り続けたのが分かる。深く関わるということは、どうしても当人の重さを一緒に背負うことと同義なので、実際うかつには深く介入できない。あの時点では花咲さん、来海さんにはその実力もない。
しかしブチ切れ続けて半年、花咲さんは「変わった」(第3クール序盤はかなりの程度変わった花咲さんを印象的に描くお話)。やれ、ファッションショーに出ませんか、あ、月影さんのために新しい服作りたいんですけど、というか「新しい私」になりましょう、と、月影さんに猛アプローチ。今なら、月影さんというやっかいな娘の問題に介入しても何とかなる、タフな娘になった。プリキュアもさりげなく一人(サンシャインさん)増えたし。ドンと来い。
第10話以降、ちょくちょく挿入されていた月影さん回は、彼女が花咲さん・来海さんを認めていく漸進的な過程でもある。月影さんにはなかった仲間パワーで猛成長し、前回はついに月影さんが辿り着けなかったハートキャッチミラージュまでゲット。そして猛烈に出される、ゆりさんも仲間になりましょうよサイン。あとは、月影さんの心の問題だ。
「自分を認めるんだよ、ムーンライト」(コロン)
ここからがカッコいい。
誰にも迷惑かけたくなくて独りで頑張った時間も認めてもらった。そして、独りで頑張っていたはずの自分が、窮地の花咲さん達を今助けたいと思っているのは、どうしようもない事実。むしろ花咲さんがカッコいい。「当人にとってかけがえのない存在」は当初からハートキャッチで重要な要素でしたが、誰かのそういう存在になるには、結構当人も頑張らないといけなかったりする。よくぞ月影さんに「仲間だ」と思って貰える領域まで、最弱の状態から辿り着いた。
「変わる」間際、月影さんが口にしたのは、「心の大樹を守る。人々の心を守る」という変わらない気持ち。どこまでも使命の人。ファッションプリキュアに一時ムカついていたのも分かる。この人はプロのプリキュアだ。ただ、プロはプロでもゴルゴ13ほど強くはなかったので、独りでは限界があった人。だけど今なら、何故かブチ切れ続けて成長し、何故か自分に猛アプローチしてくれる人達がいる。「あたしの胸で泣いて下さい!」には、むしろお前があたしの胸に埋もれてるよ! と全力でツッコミたかったけれど、それはそれとして内心嬉しかった。
独りだったはずの月影ゆり、仲間のために参上、ついに眼鏡と制服が外れている(ついに変わった!)の絵の有無を言わさぬ感動が凄い。そりゃ心の大樹関係も光って祝福しますよ。また、ダークさんの闇と月光の光との対比、半分に欠けたダークさんが所持する心の種と、もはや半分に欠けていない月影さんの心の種との対比なども相成って、何やらこのシーンは凄すぎる。
そして、新しい私、新しい月影ゆり、キュアムーンライトに再び変身。単身デューン様と引き分けたキュアフラワーをもってして、あの娘はヤバかった、砂漠の使徒も終わったと思ったねと言わしめ、変身しなくてもスナッキー程度は雑魚扱い、たまに幹部級とも渡り合えるでお馴染みの月影さん。エンディング映像以外では、劇中初の「さらに仲間パワーに目覚めた(変わった)キュアムーンライト」という前人未踏の変身を遂げて出陣。
次回サブタイ:第34話「すごいパワーです!キュアムーンライト!!」
もはやコピーライターの人も、「それくらいしか言うことないし」みたいなノリで作ってる感が漂うサブタイが何かを物語っています。33話かかったけど、ついにダークさんとガチ勝負できるプリキュアさんが見られるかもだ!
→映画版は特別仕様
「映画ハートキャッチプリキュア! 花の都でファッションショー・・・ですか!?」オープニング&エンディング主題歌シングル
→勢いで歌まで歌ってみる
「ハートキャッチプリキュア!」挿入歌(いつき/キュアサンシャイン&ゆり/キュアムーンライトのテーマ)
→前回:第32話「イケメンさんと対決?そんなの聞いてないです〜!!」感想へ
→次回第34話「すごいパワーです!キュアムーンライト!!」の感想へ
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