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 公開初日の本日さっそく観てきました、『映画ハートキャッチプリキュア!花の都でファッションショー…ですか!?』の感想です。ネタバレ注意です。
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 今回の見所ベスト4。

第4位:通りすがりのプリキュア極まる

 「ゲストキャラの物語に核心的な部分ではプリキュアは関われない、プリキュアが問題を解決してくれる訳じゃない、プリキュアは多少の縁でギリギリ心を守ってくれるだけ、後はゲストキャラそれぞれ本人達の物語」というTV本編ですが、それを壮大なスケールで劇場版でも決めてくれました。

 「深い事情は存じませんが」(花咲つぼみ)

 本当に花咲さんとオリヴィエには、深く助けてあげるだけの理由がない。ただ、パリの街で迷子になっていた時に、オリヴィエが現れてくれて嬉しかった、という程度の縁。

 劇場版のゲストキャラたるオリヴィエとサラマンダー男爵は、そちらはそちらの家庭の事情というような話なので、深く花咲さんらが介入する類のことでもない。

 のだけど、それを言うなら、TV本編のゲストキャラ達も、ほとんどがそれぞれの家庭の事情的な部分に問題があった訳で、プリキュアが介入してどうにかなる話でもなかった。実際、多少の縁を頼りにギリギリでハートを守った他は、後はゲストキャラ当人達の物語、という描かれ方が一貫されていた作品です。三浦くんのラーメン屋展開絡みの問題も後は三浦くんと三浦君の両親次第だし、プリキュアがギリギリでハートは守ってくれたけど、なみなみのお母さんが戻ってくる訳でもなし、自分のやりたいことと妹さんのお世話や家事を両立できるかは、後はなみなみ本人となみなみ家の物語。番くんが世間体に屈せずに漫画を描き続けられるか、お母さんがサポートし続けられるかもあとは番くんと番家の物語だし、父の日回の老親と嫁ぐ娘の話も、重すぎてプリキュアレベルでどうこうできる話じゃなかった。あとは、当人達の物語。

 ただ、多少は縁があったんだから、ちょっとくらい、できる範囲で助けにはなりたい。私達? 通りすがりのプリキュアよ! というのがハートキャッチという作品。

 この映画で一番感動的だったのは、オリヴィエが自分の意志で去ってしまって、パリの街角で泣き崩れてしまった花咲さんに、見知らぬ通りすがりのパリの人、というか作品的には本当にただのモブの人がハンカチを差し出す所。その人と花咲さんに深い関係性などなく、その人も本当「深い事情は存じませぬが」泣いてるのも放っておけなかったので、ちょっとだけ手を差し伸べただけ。今年のプリキュアさんは通りすがりにちょっと助けるだけで万能感が薄いですが、普通に人が一般に遠い他人に出来ることはそれくらいだったりする。だけど、プリキュアさんが通りすがりの縁で人々の心を守ってきた分、逆にプリキュアさんが通りすがりのパリの人に励まされることもある。個人的にもフランスじゃないけどヨーロッパで道に迷って大変だった時に、見ず知らずの人に助けて貰ったことがあったので、何やらこのシーンはエラく感動的だった。通りすがりのモブキャラがMVPとか、なんてアグレッシブな作品なんだ。

 という訳で、花咲さんにはオリヴィエくんを助けに行くだけの深い理由はない。実際、最後まで花咲さんは劇中でオリヴィエくんとサラマンダー男爵の関係の複雑な問題に関しては、理解してなかったように思う。そもそも、そこまでよその家庭の事情に介入できるものでもないし。それでも、少しだけ縁があったんだから、ギリギリの所で助けられるものなら助けたい。何故なら、私達は通りすがりのプリキュアなので。

 二番目に感動した所は、そんな多少の縁だけでオリヴィエくんの元に行きたいと思ってしまってる花咲さんに、来海さんいつきさんゆりさんが同意する所。確かに、この話を言い出したら、この3人の問題もそれぞれの家庭の事情的な問題だったんだけど、花咲さんが多少の縁で関わった所から「変わり」はじめたのでした。

 ことわざなどに詳しく語彙が豊富という花咲さんの設定。最終回は「一期一会」かと思ってるんですが、「袖ふれあうも多少の縁」を劇場版に持ってきたのは技ありだと思ったのでした。


第3位:コッペ様強い

 男爵ドラゴンの炎砲であわやパリが大惨事にというのを食い止めるシプレコフレポプリ……と、ここまでで既に激燃えだったんですが(最強VS最弱的な燃え)、3人が押し切られた所でコッペ様が助けにくる所でまた大盛り上がりだったのでした。

 MVPその1が見知らぬパリの人で、MVPその2が東の国は日本から召還されてきた先代の妖精とか、どれだけプリキュアさんの影が薄い映画なのかと熱すぎる。見知らぬ人、ちょっとだけ縁がある人達の、ちょっとした助けが大変有り難いという作品なので、イイのですが。

 また、後述する「プリキュア組は全世代で戦ってる」感が出ているシーンでもあって良かった。サラマンダー男爵、砂漠の王がどうこうと言っていたけど、コッペ様からしたら、砂漠の王? うちのキュアフラワーが引き分けてますが? みたいな感じだしな!


第2位:過去の力を使う

 明日のTV本編放映に先がけて、二段階変身スーパーシルエットと4人必殺技のハートキャッチオーケストラが大公開。

 女神的巨大キャラクターを召還して、優しく包んで浄化してあげたような、握りつぶしたようなという超必殺技。まあ親を探したい、欲しいという男爵とオリヴィエの設定的に、それらを包む母の愛的なニュアンスなのかも。確かに母性的な印象はありました。

 また、召還された巨人が初代キュアアンジェの造形とも似てることから、「過去のプリキュアの歴史全部を使ってる」みたいな必殺技なのだと思いました。明日の放映待ちですが、第37話を見る限り、シルエットフォームに重要な内面の要素は「過去の自分(変わる前の自分)との和解」でした。過去と和解したから、過去の力も使えるみたいな流れなのか。熱いな。

 確かに、「変わる」を絶対是として、変化の前の過去を否定するというのを突き詰め過ぎていくと、それは過去の歴史の否定に繋がってしまう。だけど、劇外でのプリキュアオールスターズに、劇中でのムーンライトさんにコッペ様にキュアフラワーにキュアアンジェと、ハートキャッチで描いているのは、「何だかんだで先輩も凄い。先輩達が積み重ねてくれた歴史凄い」ということ。造形一つとっても、キュアアンジェはいかにも一昔前のバトルヒロイン的な出で立ちなのに対して、時間軸上最新のサンシャインさんは、垢抜けてかつはじけすぎている。そしてアンジェがいなければサンシャインもいないし、種が無ければつぼみにも花にも繋がらない。ハートキャッチはそういうお話。

 そういう意味で、400年間時間が止まっていたサラマンダー男爵は、その400年で変わり続けて歴史を重ねてきたプリキュアの歴史には勝てないのでした。これも、熱い決着の理由付けでした。


第1位:ラスボスが旅に出るエンド

 フレッシュの「やり直し」のような、今回の敵側の帰結はこれっぽいです。

 結局、親がいない、親が欲しかったという男爵とオリヴィエの悩みは、例によってこの劇場版でのプリキュアさんのちょっとだけの介入を通しても、別に解消された訳ではない。あとは当人達の物語。

 ただ、劇中でオリヴィエが言葉にして明確に悲しいことはたぶんずっとあるけど、いつか花は咲くかもしれないというようなことを言っていたように、悩みに終わりはなくとも、悩みがあるからこそ、人は現状から「変わろう(=花を咲かせよう)」とする。そのあり方だけは、否定されるべきものじゃない。

 男爵がドラゴン化して、オリヴィエがもうダメだと思った所で、花咲さんらが、オリヴィエの意志次第(=まだこの絶望的な現状を「変えよう」という意志があるか)で、まだ何とかなる。あなたがこの絶望的な状況を変えようと願うなら、プリキュアは力を貸す、という所が熱かった。どこまでも、「最後は本人次第です」が今年のプリキュアさんのモットー。実際、本人次第で変わってみせた人達がプリキュアやってるので説得力がある。ただ、ちょっとだけ助けは必要だから。そのことも凄く痛切に知っているから、少しだけ手は貸しましょう。

 ラストシーン、「大切な人に本当の想いを伝えることができない」という問題を抱えていたオリヴィエが、劇中で男爵に本音を言えた過程を通して(TV本編のデザトリアン設定や、来海さんの「言わなきゃ分からないよ」テーマと繋がっている部分)、もう一人の大事な人になった花咲さんに手紙越しに「Mercy(ありがとう)」を伝えられるようになったと「変わって」終劇してるのが綺麗。それは希望的なことだから、男爵とオリヴィエの問題も、旅の果てに何とかなる日も来るのかもしれない。

 父役の男爵と、母役の花咲さんにオリヴィエくんが本当の気持ちを言えるようになるまでのお話だったとも言えそう。ハートキャッチはTV本編のゲストキャラさん達も、「親に本音が言えなかった」問題が多いです。そしてそれが劇場版でもこうして描かれた以上、本編でも最終章で月影父娘の話と、ダークさんとサバーク博士の話にかかってくるのだろうと思いました(プリキュアシリーズの劇場版はTVシリーズの圧縮版という側面があるので)。その一見ミクロな親と子の話が、「花」のモチーフで、種からつぼみへ、つぼみから花へ、花からまた種へという、「自分を生んでくれた存在と、自分から生まれていく存在」まで射程に捉えているのがハートキャッチという作品。良い映画だったのです。

 ◇◇◇

 そして、誰もが期待していながら、さすがにもう無理なんじゃないかと思いつつ、いや、やっぱりこの人達ならやるんじゃないかと思っていた例のあれ、『映画プリキュアオールスターズDX3』3月19日公開の報で幕を閉じた劇場体験でした。

 今度のキャッチコピーは「最後の大集合」。

 た、確かに、オールスターズコンセプトは続いていくとしても、物理時間上1本の映画の枠に収められるキャラクター数は、ハートキャッチまでの19人+来年の新人さんくらいで限界なのかもしれない。色んな意味でフルバーストしつつ、プリキュアシリーズは次世代へ。去年も言ったけど、とりあえずまた3月までは生き延びねばいけないようだ!

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これまでの映画プリキュアシリーズの感想へ

→前回:第37話「強くなります!試練はプリキュア対プリキュア!!」」感想へ
次回第38話「プリキュア、スーパーシルエットに変身ですっ!!」の感想へ
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