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ハートキャッチプリキュア!第38話「プリキュア、スーパーシルエットに変身ですっ!!」の感想です。
今回の見所ベスト2。
第2位:キュアブロッサムミラージュ
「自分と向き合う」問題を一週延ばした花咲さんだけ、3段階ありました
1段階目は、花咲さんはやはり「変わる」ことを選ぶということ。
それぞれの「家庭の事情」的なものがあった他の3人に比べて、そもそも花咲さんは変わらなきゃいけない動機が深くある訳じゃない。何故なら、歴代のプリキュアシリーズでも誰かが抱えていた「孤独」というバッドエンドは、物語第1話以前の両親の選択で回避された(つぼみをひとりぼっちにしないために、両親それぞれが仕事優先から切り替えるためにこの街に引っ越してきた……というのが物語冒頭)主人公だから。しきりに過去花咲さんである所の影花咲さんが言う通り、別に「変わら」なくても、そのままの自分を受け入れてくれる優しい両親とおばあちゃんと、きっと幸せに暮らしていける。
でも、それでも花咲さんは「変わる」方を選ぶ。その理由として語られたのは、「仲間と出会ったから」。一人で自分が嫌いだっただけの頃とは、ちょっと違うんだ、と。
これは単純に独りで「変わりたい」というよりも仲間と一緒に「変わって」いけるなら……的な話よりも、明らかに『プリキュア5』を念頭に置いているこの2話では、「大切な仲間にとって、仲間に値する存在として、自分は変わり続けたい」というニュアンスがある。これも『プリキュア5』のテーマで、夢原さんはみんなが「別に夢を追わなくてもみんなで楽しくお茶していられるだけの世界」に埋没しかけた時、一人立ち上がって「楽しいだけじゃダメなんだよ」と言う人。夢を追っていられるから、理想の自分を追求して頑張っている(そこに向かって変わっていこうとしている)から、だから仲間なんじゃないか、と。
今回はゆりさんが「一人一人自立した上で仲間じゃないと」みたいなことをやっぱり言っていたけど、『プリキュア5』はとにかくそういうお話でした。実際の所結局バラバラで一人なのかもしれないけれど、それぞれがそれぞれに頑張っているんだから、離れていても仲間でいられる。だから深刻な孤独には落ちない。だから、そんな仲間に値する自分でいられるように、頑張りたい、夢を追いたい、そういうお話。
ハートキャッチのこの2話が本格的に『プリキュア5』の映画『鏡の国のミラクル大冒険』を踏まえたお話なのは明らかですが、あの映画ではだからこそうららは、「私、そろそろ失礼します。ドリーム(夢)が呼んでいるんで」と、きっちりと過去の自分たる闇うららを仕留めてみせる。ドリーム(=のぞみ)に値する自分でいるために、過去の自分に構ってられない。このうらら解答はうらら解答でカッコいい。なので、第1段階では今回も花咲さんは他の3人と違ってうらら解答を取ったように見える。
次に第2段階目。そんなそれでも「変わる」という花咲さんに、影花咲さんが、どちらかと言うと寂しそうながら満足したような表情で、「もうシャイで引っ込み思案な私はいらないのね」と語りかける。
今度は、これは『鏡の国〜』における夢原さん・闇夢さん解答。あの映画では、闇夢さん自身が、自分を犠牲にして夢原さんを守って、夢原さんを先へと進めてくれる。過去の夢原さんたる闇夢さんの死に顔も、大変満足そう、というお話。過去の自分が、自分が消えても先に進んでくれと言ってくれている。だから、夢を追おう、変わっていこう。これも深い解答だった。今話で、戦闘前までは、花咲さんと影花咲さんの関係は、『鏡の国〜』の夢原さんと闇夢さんの関係に落ち着いたかのように見えた。ここまででも実は十分な解答。実際、『鏡の国〜』はここで終劇した。
けれど3段階目、戦闘後、やっぱり花咲さんは他の3人と同じように、過去の自分である影花咲さんを抱きしめて救済していたことが明らかになる。
「シャイで引っ込み思案な私も、大好きです」
うらら解答、夢原さん解答の、その先。仲間のためにも「変わって」いきたい。過去の自分も、自分を捨てて先に進んでイイと思ってくれている。だけど、それでも過去の自分も抱きしめる。
今話はラストシーンが構図とか色々『鏡の国〜』のラストシーンと対応してるんですが、『鏡の国〜』のラストシーンは、割れた水晶(失われた過去の自分の比喩)を見上げていた夢原さんが、迎えに来て手を振ってくれる仲間達の元へと進んでいく。最後の映像には、割れた水晶だけがポツンと一定時間映っている……という最後。だけど今回は、プリキュアレジェンドの石像を見上げていた花咲さんが、やっぱり同じように手を振って迎えてくれる仲間の元へと行くんだけど、残された石像は、何やら満足そうで笑ってるような雰囲気……というラスト。やっぱり過去は救えなかったという切なさを推したラストと、過去も救ってそれも自分だと認めた上で進んでいくことを推したラストの違い。シリーズを通して番組としてもメッセージとしても「変わって」いる。単純なパワーアップ回の動機のラインに、ここまでストーリーを作ってくるのかというような、素敵な2話だったと思うのでした。
第1位:ハートキャッチミラージュスーパーシルエット
「鏡よ鏡!」
凄いカッコいい。
古来、「鏡」は「理想の自分」を映すもの。特に女性(男性もだけど)が鏡を見る時、現実の自分よりも、そこに少しだけ理想の自分に近づいた自分を願って姿を映す。そういう意味合いがどうしても読みとれるので、文学古典から古典少女小説、日本の少女創作的アニメまで、何かと「鏡」は重要な小道具として使われるのです。ちゃんとプリキュアも、色々なものを継いだ上で色んなモチーフや小道具が作られています。
そんな「理想の自分を映したい願い」っていうのが、「変わる/変わらない」がテーマの今年のハートキャッチ的にド直球な「鏡」アイテムな訳ですが、それが最強フォームにして、シルエット(影)でミラージュ(蜃気楼/儚い夢)とか言っているのがエラくカッコいい。そんな理想の自分は幻なのかもしれないけれど、そこに向かって「変わって」いきたい。
何か、シャイニングドリームとかキュアエンジェルみたいなポジティブなイメージが先行するよりも、どうにも名称からしてネガポジ両方に含みがある最強フォームです。「光と闇は両方大事」っていう初代プリキュアから続いている一貫したメッセージの部分なんですが、最強フォームまで影部分込みなのはカッコいい。
実際、昨日劇場版を観て来てさらに思ったけれど、最終章は、影の部分、「人の悩みは尽きない」という部分を受容できるかが重要になってくる。だから、「シャイで引っ込み思案な悩める私」も連れて行く必要がある、という、不幸があるから幸せもあった的、桃園路線なお話。それが、劇中でまだ深刻に「悩んで」いる、おそらくシリーズ通しでの"最後のゲストキャラ"に花咲さん達がどう接するかにかかっていく。
あ、召還された謎の巨人がどんなニュアンスの存在なのかは、劇場版を観ると少しだけ分かるよ!
◇◇◇
次回予告の破壊力がちょっと凄いことに。ボスナッキーか……。真面目にはここからはスナッキーとか→三幹部→ダークさんとサバーク博士……の順でお話が進んでいくんだと思うんですが、スナッキーは来海さん担当なのか。スナッキーには実は個性がある、だからそれぞれの心の花を枯らすという砂漠の使徒の目的と合致していない(これは明らかに個性がある三幹部も)というお話が来るとは思ってたんですが、来海さんか……。ギャグノリでもしっかり片づけてくれそうなのが来海さんの凄い所。ボスナッキーVS来海えりか。最早何と戦っているのかよく分からないけれど、そんな時代さポイズンな状況でも頑張る来海さんを応援したい。
→超傑作
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→映画ハートキャッチプリキュア!花の都でファッションショー…ですか!?の感想へ(ネタバレ注意)
→前回:第37話「強くなります!試練はプリキュア対プリキュア!!」感想へ
→次回第39話「えりかピンチ!マリンタクトが奪われました!!」の感想へ
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