「そういうことは自分の力で頑張るのです」(クレッシェンドトーン)

 スイートプリキュア♪第30話「ワオーン!ヒーリングチェストの不思議ニャ!」の感想です。
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 今回の見所ベスト2。

第2位:同じ音を聴くということ

 階段の足を踏み出した瞬間に、何やら面白い音が、のシーンが何か良かったです。単純に楽しいだけじゃなくて、何となく『不思議の国アリス』みたいな世界観を思い出しました。微妙に謎。意味があるようなないような、でもちゃんと残っていく不思議な魅力に溢れている。

 この謎の面白い音の数々が、クレッシェンドトーンが落ち込んでる響さんを元気づけようととにかく鳴らしていた音というのも上手い。前回書いた通り、連帯の消失を、「同じ音が聴ける」っていうのを比喩に、また連帯していく、組曲を目指していくというストーリーラインだと思っているので、何やら音楽関係の核心存在っぽいクレッシェンドトーンが、生命の元気を願って色々と「みんなに」聞こえる面白い音をならしまくるというのは良い。

 思えば、響さんが孤独に落ちていて、お父さんと同じ音(クラシックを大音量で聴いていた)を聴くのを拒否する的なシーンから始まっているお話です。それが、奏さんと仲直りしてからは、連弾という形で、同じ音を聴いて、その音楽を一緒に奏でるようになっていった。

 部活の助っ人設定も、最初はどこにも属せない孤独面が強かったけど、今ではことなるクラスタ(部活)を繋げる、別軸で連帯させる可能性を持っている子なんだとポジティブにも受け取れます。

 だいたい、調べの館が、明らかに欧州方面の教会っぽい。観光用の大きい教会じゃなくて、地域共同体の色んな中心地になっている方の小さい街の教会。かつてそこではみんなが共同体として連帯して色々やっていたんだけど、今では空っぽになっている、的な。

 経済危機後、アメリカ辺りでも、地域共同体の中心としての教会にまた通いはじめている人が増えているそうです。普通に、昔みたいにみんなで神父さんのお話とか聞いてるらしい。何かしら時代的に、競争でバラバラになっていくだけじゃマズい感を現実でもみんな感じてるんだと思います。音吉さんの目的にはきっと作品的に壮大な背景もあるんだろうけど、一番素朴なメッセージは、調べの館みたいな場所が回復して、また同じ音を聴いたり奏でたりするような連帯が叶うことがあったら、何とかなるのかもねと、そんな感じなのだと思うのでした。


第1位:ダメだったけど、次がんばる

 勉強がダメだったと、クレッシェンドトーンによる新必殺技の発動に失敗するのがシンクロして描かれているのが上手いと思いました。とにかく、現時点では色々ダメ。

 連帯とか絆とか、そういうのはやっぱり大切なんだけど、そういう大事なものを受け取る側にも力量がいる、という所まで踏み込んで描いているのは好感。それがないと、なれ合いや同調化圧力に流されただけのダメ共同体になってしまいます。深読みし過ぎかもしれないけど、響さんが苦手な英語は、それこそ異なる文化圏やクラスタを繋ぐためにとても有効なものです。今の響さんでは、まだその力量がない。

 そして、ダメだったけどこれから頑張ると立ち上がるのもよい。遠い願いだけど、今ダメでも諦めないでがんばってみる。やはり響さんは素朴に素敵な主人公だと思うのでした。

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 そして次回特訓回。桃園さん達は御子柴家の助力で最先端トレーニングを積みました。「パインは持久力」は伝説だと思います。花咲さん達は、プリキュアパレスで過去の自分と向き合うというエラく哲学的な試練を乗り越えました。そして、響さんは山ごもりですよ。熱いな……。確かに、もう体力とかも大事な時代だからね。がっちり、体力付けてから連帯の問題とかには取り組みたい。

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