「何か事情があるんじゃないかしら」(黒川エレン)

 スイートプリキュア♪第35話「ジャキーン!遂にミューズが仮面をとったニャ!」の感想です。
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 今回の見所ベスト1。

第1位:悪の心と闘う

 メフィストという分かりやすい悪役と闘うのではなく、悪の心と闘うと宣言する熱い回。

 心を病んで悪いことやってる家族がいたとして、打倒する(切り捨てる)でもなく、悪でも大事とそのまま守るでもなく、悪の心が改善されるまで真正面から向き合って寄り添い続ける、という一番大変な道を選ぶという。

 恒例の劇外も含めて考えてみよう的には、制作陣の宣言にも思えます。分かりやすい悪役を倒す物語の方が、たぶん子供向けには作りやすい。だけど、こっちの課題に正面から取り組んでみる。アニメ制作&発信とか、それこそ価値観を発信する仕事なんだから、そのまま「悪の心を変える」という目的にも何かリンクする。

 今まで描いてきた、三本目の桜問題、見え方が違う問題も、今までは「所詮真実なんてないんじゃないの」的諦観も意識されていたのに対して、ここで「絶対的に決まってないからこそ悪の心も変えることは可能」と裏返るのも熱い。その方法は真正面から自分をさらして向き合うという直球の方法で、仮面を外して、自分の音(言葉)で相手に語りかけるという行動ともリンクしています。

 また、今回も家族問題だったのが、ハートキャッチから繋がっている感じがして良いです。ハートキャッチは、「家族問題のような深い所まではプリキュアは立ち入れない、後は当人達の物語」が強調されていた作品でした。袖触れあう縁で少しだけ手助けはしましょう。だけど、それしかできないんです。

 なのだけど、スイートでは家族問題の「深い事情」に踏み込んだ上で、どうも一緒に向き合っていく気らしい。超大変。

 仮面を取ったアコが一筋の涙を流すのは色々解釈できると思うけど、普通に考えて絶望的に大変な道なので、泣きたくもなる、くらいに僕は感じました。花咲さんが踏み込まなかった先の物語が描かれていきそう。例えばそれば、ハートキャッチで老齢問題がつきまとっていた農家のおじいさんと娘さんの話のその後や、引き続き母親不在の負担は受け続けるナミナミの話のその後、男爵とオリヴィエの話のその後、そういう、やっかいな親と子の話の続きに付き合っていくということ。真正面対話で自分の家族問題を修復した響さんがはからずもアコ家の家族問題に対して「みんなの幸せ守る」と宣言するという熱い回だったのでした。響さんは自分がしばらく手に入れられないものだったから、それが大事であることを知っている。他人のそれは守りたい(守りたい他人の中にメフィストも入る、ということを今回は言っている)。という本当ヒーローっぽい主人公だよな……。

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