「だけど何も予定がないんだよね」(星空みゆき)

 スマイルプリキュア!第25話「夏だ!海だ!あかねとなおの意地っ張り対決!!」の感想です。
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 今回の見所ベスト1。

第1位:マーチとピース

 緑川さん回ということで、今回も緑川さんの個人テーマの絆関係のエピソード。絆関係というか、信じたい絆とそれを壊していくかもしれない方向性である競争、でも競争しない訳にもいかず、みたいなアンビバレントがテーマなのか。

 リレー回では絆の証明のために最後は矛盾をはらみながら競争に準じ、結局敗北。今回は競争に駆られてる間に敗北しかけた所で、絆を取り戻して(サニーと手を繋ぐ所)勝利。

 どちらの回も、ピースの立ち位置が好き。これはもう、かなり意図して競争能力的には最弱だけど、競争のパラダイムとは異相が違う位置にいる存在としてやよいさんを効果的に使ってるんだと思います。売上勝負、スポーツ勝負という競争の騒がしさの中、浜辺で絵を描き続けるピース。売上戦力として緑川さんは青木さんにオファーし、日野さんはみゆきさんにオファーしたであろうというのが何となく伝わってくるので、例によってやよいさんは競争能力的に敗北してるんですが、それがやよいさんの立ち位置。たまに第19話みたいな話が入らないとただの弱い人と思ってしまいそうですが、やよいさんはカッコいい。

 また、前回の味方役だけのメルヘンの国の違和感から、打倒された敵幹部たちのパートに繋がる流れ、その次の今回で対立する関係の相手と手を取る話をやっているあたり、ウルフルンさんたちとの関係の結末に向けて色々準備してる段階と感じます。

 スイートの最終章を思い出すという人が多いそうですが、「打倒する以外の、敵との関係性」というのは、無印のキリヤくんとのエピソードから入ってるプリキュアシリーズのガチ本流です。キリヤくんが語ったなぎさとほのかが持っているという「2人を繋いでいるとてつもない力」が何なのかというのと、キリヤくんを失った後のほのかの喪失感(バッドエンドを避けられなかったのか)、プリキュアシリーズはずっとそれを追ってるという気すらします。

 キリヤくんや満さん薫さんを経て、ラスボスにまでこういう話が繋がっていくようになったのは「5」くらいからが分かりやすい感じで、夢原さんはやはり解り合えない存在もいると打倒、桃園さんは対話を試みるも解り合えず相手が自爆、花咲さんは深い事情は存じなくても少しだけ助けになれるのハートキャッチスピリットのもと、ハートだけちょっと救済、北条さんは悲しいという共有体験を鍵に和解、とシリーズを追うごとに進んでるのを感じる部分です。10年目はディケイド的に企画色が強くなるのかなという気がしているので、この流れのテーマの一つの終着点がスマイルでは描かれると信じたい気分です。キリヤくんの第21話の台詞は、


 「僕には運命をくつがえす力はない でもあなた達2人にはその力があるみたいだ 2人を繋いでいるとてつもない力 運命を切り開く力」


 なので、予定されたバッドエンドをくつがえせるのかというようなスマイルとも親和性が高いと思います。これがキリヤくんが言っていた力なのか、みたいなのを表現してくれたら泣きますね、ええ。

→色々

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→前回:スマイルプリキュア!第24話「プリキュアが妖精になっちゃった、みゆ〜!?」感想へ
→次回:スマイルプリキュア!第26話「夏祭り!夜空に咲く大きな大きな花!」の感想へ
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