「今年もいっぱい野菜作ったんだね」(星空みゆき)

 スマイルプリキュア!第27話「夏のふしぎ!?おばあちゃんのたからもの」の感想です。
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 今回の見所ベスト2。


第2位:バッドエンド結界を精神性で無効化

 星空祖母、バッドエンド結界を無効化。精神性で絶望は突破できるものなのか。ネガティブ感に対して正面から対立項となるポジティブ感で打ち破った訳ではなく、人生は絶望もあれば良いこともある、と、さりげなく尋常じゃない絶望は既に経験済みなので、その程度は効かない、みたいな流れだったのは熱かった。

 リアル世界とは整合性がすこしつかないけれど(リアル世界だと中学生の祖母はもうほとんど戦争経験世代ではないので)、描写的に戦中のことを暗示してるように思う。現実の逆境による絶望に対して、でも今までもっと大きい絶望もあったのよ、というのはネガティブポジティブな考え方としては良いかもしれない。確かにリアル世界も逆境だけど、戦時中よりはまだよいという感覚はあります。


第1位:メルヘンの力

 単純化すると、スマイルという作品は「現実は厳しい」と「でも信じたいメルヘン(理想)」のシーソーゲームが骨格だと思ってるんですが、今回はメルヘンのターンだと思いました。

 河童も天狗もメルヘン的な産物。劇中で正体を明示的には明かさないことで、あくまでメルヘン的なものが本当に助けてくれたのか? という話になっている。

 現実は厳しいのかもしれない。本当は助けてくれる河童も天狗も人為的に解体されて、絶望的なリアルだけが残っているのかもしれない。それでも、メルヘンを信じたい時もあるし、きっと、まだ力になってくれることもあるでしょ、というような。

 震災後のリアルはメルヘンというか余剰的娯楽の価値を相対的に減衰させました。もう、アニメなんか見てる場合じゃない、というような。そんなリアルでもアニメ作り続けてるスタッフさんたちの矜持のようなものが、スマイルという作品の奥には沈殿してるように感じます。現実、厳しいよ。アニメ、メルヘンで虚構だよ。でも、力になれることもきっとあるよ、というような。

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 ちなみに、逆に今回「厳しい現実」のターンが入っていたのは、他ならぬみゆきさんがお祖母ちゃんに一緒に暮らさない? と誘う所。みゆきさんは「現実は厳しい」ことを重々承知してる上でメルヘンを追っているというキャラ造形なので、この役回りは素敵。

 それに対する星空祖母の返答はNOで、いわくここには「たからもの」があるから。

 この劇中で解答としては明示されない「たからもの」については僕なりの解釈でかなり明示的なものがありますが(ちなみに山や川といった自然、だけではない。そこには、それだけなら……とみゆきさんが劇中で疑問を抱いている)、本編もこういう解釈を委ねる意図の一話だと思うので書かないで置きます。たぶん、第18話、第19話あたりのテーマと関係するものだと思ったのでした。

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