「私がストライクとるから」(キュアピース)

 スマイルプリキュア!第29話「プリキュアがゲームニスイコマレ〜ル!?」の感想です。
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 今回の見所ベスト2。


第2位:多重構造

 脚本の成田さんの凄さなのか、みんなで話し合ったりしながら考えてるのか、よく考えたな、と作り手の地頭の良さを痛感した一話。

 「楽しいけれど怠けているとやがて現実のバッドエンドがくるメルヘン的空間(期間)」の比喩として、最後の一周する観覧車、今回のゲーム世界、劇中の夏休み、劇本編のスマイルプリキュア!という物語、我々視聴者の現実、これらが全て比喩的に重なるように多重構造で描いておりました。本当よく考えたな、これ。ラストの「観覧車」なんて、楽しくていつまでも回っていられるような気がするけれど、実は本当は終わりがくる象徴として秀逸。宿題の現実に逆境でも頑張ってみようと目覚めた面々が、そんな怠惰なメルヘンの象徴である観覧車スーパーアカンベェを爆破して締めというのも、脚本力を感じる一話でした。こういう構成美、構造美押しの一話は個人的にうならされます。凄い。

 また、上記の構造から、第24話以降の第一次ハッピーエンド後の一見平和に見える日常パートが、今回の観覧車やゲーム世界、夏休み的なものだというのも見えてきた気がします。ここで怠けると後が怖く(ピエーロ様は怠惰な世界にしてやると言っていた)、でも青木さんが言ったように、決して無駄ではないもの。現実逃避してプリキュアだけ観ていてもダメだけど、決して無駄とは言わせない、みたいな感じでしょうか。スタッフ様たちの震災後のリアルに対する態度、覚悟のようなものが沈殿してる気がします。本当、人生かけて作ってるのだろうから、こういう点は悩んだりして、各々覚悟決めてから作ってる気がするのですよね。


第1位:現実の凄い人

 希望をくれるはずのメルヘンが怠惰な逃避先になり、みんながそうなってしまった自分に後悔してバッドエンド目前、という所で、青木さんのみノーダメージ状態で無双逆転モードが発動。や、やっぱり現実ではちゃんと宿題やってる人の方が強いんだよっ。笑顔で「私も手伝いますから」のところまじビューティ。

 こ、このチームに青木さんがいて本当によかった。逆境時でも、まだ優秀な人材はいる所にはいるのです。俺がお前の最後の希望になってやる!!ウィザードも面白かったよ!娯楽を輸出して外貨稼いでいこうよ!(え)

 また、それでも結局宿題は間に合わず補習オチというのも切なくてよい。リレー回もだけど、仲間パワーが発動しても必ずしも勝てないのがスマイルのリアル。繰り返される、勝てないとしても頑張ってみる、という精神性。最後は報われるのだろうか。

 これラストはどう持っていくのだろうか。観覧車時間的な虚構時間だったのかもしれないけれど、その間に見たメルヘンは私たちの中に生きていて本当に力を貸してくれる! が個人的には一番熱いと思うんですが。やっぱりディケイド冬の映画版が、ゼロ年代発作品の一つの到着点だったんだよ!(え)

 青木さんが美しすぎて困る。携帯の待ち受けとかにしたい方向で崇めたい。憂鬱な仕事時間の前にプリキュアキャラの待ち受け見て頑張ってる人も多いであろうリアル社会とか想像すると、この国まじ凄いのやもしれない。伊達や酔狂でスマイルを冠する名は名乗ってなくてよ。

→色々

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