「さすがロイヤルクロッククル」(キャンディ)

 スマイルプリキュア!第31話「ロイヤルクロックとキャンディの秘密!!」の感想です。
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 今回の見所ベスト2。


第2位:続・怠惰なメルヘンと厳しい現実

 厳しい現実でも幸せはあるという話の比喩に、一つのクッキーを6人で分け合うというシーンが出てきたのがもはや驚愕。た、確かにその通りなんだけど、作り手も現実は既にそこまで厳しいと認識して作ってるのか。震災後に話題になったやなせたかし氏(アンパンマンの作者の方)の言葉の通り、それこそが我々が信じていい普遍的な正義の形だと僕も思っていますが。それでも、現実はそれくらい危機だという認識が重い。

 そんな厳しい現実からの逃避先として、なまけ玉なるアイテムが登場して、キャンディ、怠惰なメルヘン空間に。第29話の遊園地時間的、観覧車時間的な世界です。宿題やらなくて、気が済むまで遊び続けていいよ!

 このテーマは次回に持ち越しっぽい。今話ではキャンディ仲間が外で待ってるから出てきたけど、じゃあ仲間も一緒にずっと怠惰な時間を過ごせるとしたら?

 夢原さんが一度「楽しいだけじゃダメなんだよ!」という解答を出してるので、プリキュアシリーズ的には通った場所なんですが、今回違うのは、夢原さんは未来(夢)を信じて希望に変えられたし、夢原さん本人にある種神的な特性があるキャラクターだったのですが、スマイルでは未来はバッドエンド濃厚で、みゆきさんは現時点ではかなり普通の人だという点です。

 キャンディが怠惰なメルヘン世界から出てきて、現実を直視してみたらプリキュア全滅という絵が衝撃的でした。色々な要素がメルヘンの比喩になってる作品ですが、一つあったのはシンデレラモチーフで、お姫様=メルヘンでした。しかし、プリンセスフォームがついに敗北。お姫様時間は、終わった。あとは、厳しい現実だけだ。

 お姫様時間が終わったので、例によってもう気合しかリソースがなく、通常フォームでいつも以上に気合だ気合だと絶叫してアカンベーを何とか撃破するみゆきさんが悲壮です。本当に、現実はなんでこんなことになってしまった……。


第1位:ロイヤルクロック

 という流れで新アイテムが時計で時間関係。なまけ玉との対比で、怠惰なメルヘンを時間限定で高貴なメルヘンに変えるような能力と予想。

 ここ数話で「メルヘン時間にはやがて終わりがくる」というのをしつこくやってたので、仕込みばっちりだよな……。

 次回予告のみゆきさんがカッコいい。プリキュアシリーズ的に毎回テーマをギュウギュウに圧縮してる第1話、スマイルでの問答は、どうせバッドエンドだよというウルフルンさんに対して、みゆきさんがそれでも頑張ると決めたことは頑張る、それが私のハッピーだから、と返す、というもの。この人、能力的にも特性的にも今の所普通の人なんだけど、伊達に現実は厳しいと痛感しつつメルヘン愛好家やってなくてよ、という部分がとてもカッコいい。

 エラい盛り上がってると思ったら、もう第31話です。ゆりさんキュアムーンライト再変身が第33話、キュアミューズの正体判明が第35話なので、もう今年の映画前のクライマックスエピソードに入ってる感じなんですね。今年は追加プリキュア話なしで盛り上げるみたいなので楽しみです。

 最終的には、本人の児童時間的なメルヘン時間は終わって、誰かのメルヘンを守る側に回るような気がしてきてるなー。映画オールスターズNSでのラストの役回りがそんな感じだったし、第7話でみゆきさん、自分の児童時間、メルヘン時間を続けるのをやめて、次の世代の子供たちのメルヘン時間に譲ってるんだよな(「幼少の頃の秘密の場所(=児童時間・メルヘン時間)」を、新しくそこを秘密基地にしていた子供たちに譲るシーン。)。サンタさんありがとう、今度は私がサンタになる、的な。黄瀬父しかり(仕事つらいと言ってたらしいことがさりげなく第19話で描かれてる)、メルヘンを守る側は現実つらいわーという感じなんだけど、児童時間の終りと大人になることを描く物語というのは普遍性を感じる部分なので、変身もの作品としても綺麗だと思います。OPのふたりのみゆきさんが背中合わせのカットとかも上手いよなー(おそらくメルヘンの自分と現実の自分という表現)。


→色々

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→前回:スマイルプリキュア!第30話「本の扉で世界一周大旅行!!」感想へ
→次回:スマイルプリキュア!第32話「心を一つに!プリキュアの新たなる力!!」の感想へ
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