「だってあたし、ずっとお姉ちゃんだもん」(緑川なお)

 スマイルプリキュア!第38話「ハッスルなお!プリキュアがコドモニナ〜ル!?」の感想です。
 ◇

 今回の見所ベスト1。


第1位:時々戻ったり、補い合って守ったり

 やがて終わるメルヘンという話になってきてたと思うのですが、ここに来て、でも終わらせられるのは、本当に全てが終わる訳じゃないから、に向かってまとまっているように感じます。終わっても過程に意味はあるという日野さんとか、終わった後も自分の物語があるという青木さんとか。

 緑川さんで感じたのは、家族と一緒にいられるような児童時間(メルヘン時間)はやがて終わったり卒業する類のものかもしれないけれど、全否定ではなくて時々は戻ってそこで休んだり何かを得たりできる類のものだ、というもの。

 これが永遠の怠惰なメルヘンだったら卒業する方に視点がいくと思うのですけど(いつまでもニートで家族に負担をかけていて、みたいな部分からエピソードを作る場合)、今回はコドモニナールの時間も、冒頭の緑川さんも、別にその時間に依存してる訳ではない感じなんですよね。だから視点は、逆に時々は戻れる、それでいいのかもね、になってると思いました(だからラストシーンでは冒頭では断ってた鬼ごっこに、緑川さん久しぶりに興じてみる気になってる)。

 じゃあなんでそういう一時の児童時間(メルヘン時間)への回帰が可能か、といったら二つ描かれていたと思って、一つは本当の永遠もあるから。

 プリキュアシリーズではネガティブキーワードとポジティブキーワードに使われる「永遠」ですが、「Gogo」のエターナル館長とか今作の永遠の怠惰はネガティブな感じで、これは倒したり卒業したりしなきゃいけないと思うのですけど、今回の「ずっとお姉ちゃんだもん」とかずっと娘だろみたいな辺りは、ポジティブな永遠だと思ったのですね。この台詞のシーンには、背後に、そうは言ってもずっと一緒に住んだりはできないことが多いし、親と子は最終的には死別はするのだけど、くらいまで含みはあったように思うのですけど、でもそういう形での終わりがきても、ずっと変わらない類のものもある、にまで昇華されていたと思いました。そっちのポジティブな永遠も知っているから、余裕があって一時メルヘン時間に戻ったり、そこから出て頑張ったりもできる、というような。

 映画『NS』でくどまゆさんが永遠のともだちを歌い上げた頃に、これは気づいても良かったかもなぁ。あの映画、昔のメルヘン(夢原さんたちとか)が助けになってくれる、と、次のメルヘン(あゆみさんなど)を私たちが守る、の「スマイル」的要素が既に両方入ってたんだなぁ。

 もう一つは、児童時間などに戻ってる間は、その時間を守ってくれてる人がいる、というもの。幼い姿に戻ったスマイルチームをレギュラーキャラの警察官の方が見守っていて、みゆきさんたちはそのことに気づいていない、というのはよい描写だと思いました。緑川さんの弟妹らの児童時間も誰かに守られているし、それを守ってる緑川さんや緑川両親も誰かに守られてはいる。もっといって、警察官の方だって、家で映画見たりしてる間は他の誰かに守られているのでしょう。

 これは、すごいなと思いましたね。別のブログのまどか☆マギカの感想に書いたんですけど、震災以降引き続き娯楽とかに耽溺するよという人と、もうそういう場合じゃないから現実で頑張るよという人に分かれた気がしていて、自分としてはどっちとも言えず中途半端で悩んでもいたんですが、スマイルの今話で描かれてるようなあり方でいいのかもな、と。この話もDVD欲しいよ。

 現実は厳しいのだから、どこかでメルヘン時間とか娯楽時間を終わらせて現実で頑張らないといけない、それはもっとも。でもずっと頑張り続けるというのも厳しいから、時々は戻って休んだりしても、それでかえっていいのかな、と。そういう休息のメルヘン時間の間は、他の誰かが、ちゃんと頑張ってくれているので。今話の警察官の方の描写パートのように。逆に、少し休んだら、また今度は誰かのメルヘン時間を守るために、今度は自分の現実で頑張るパートもちゃんと頑張ろう、というような。そうしてスマイルな世界を目指していこう、というような。

 ちゃんと、ずっと永遠の怠惰なメルヘンでいい、のカウンター的なものになってますよね。全員がずっと怠惰なメルヘンというのは無理っぽいけど、補い合いながらメルヘン時間と現実での頑張りを相互関係にしていくのは、できるはず、というような。だから映画のラストはあんな感じだったのか……。

 と、なんか普通に気づかされた一話でした。本当、頑張る所は頑張って、映画見たり本読んだりする時はそれはそれで誰かに任せて楽しんで、それでいいのかもな、と思ったのでした。

 どうカウントされてるのか若干分からない所もありますが、僕的には残るはやよいさん。競争では勝てないとしても、あたりが個別テーマと関係してる気がしてるんですが、これも楽しみです。

→色々

スマイルプリキュア!  【Blu-ray】Vol.2
スマイルプリキュア! 【Blu-ray】Vol.2

映画スマイルプリキュア!絵本の中はみんなチグハグ! テーマ曲収録シングル
映画スマイルプリキュア!絵本の中はみんなチグハグ! テーマ曲収録シングル

『映画スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!』の感想はこちら

→前回:スマイルプリキュア!第37話「れいかの悩み!清き心と清き一票!!」感想へ
→次回:スマイルプリキュア!第39話「どうなっちゃうの!?みゆきのはちゃめちゃシンデレラ!!」の感想へ
スマイルプリキュア!感想の目次へ