「幻なんかじゃない」(キュアピース)

 スマイルプリキュア!第41話「私がマンガ家!?やよいがえがく将来の夢!!」の感想です。
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 今回の見所ベスト1。


第1位:メルヘンが力を貸してくれる

 スマイルの核心、やがて終わるメルヘンだとしても、児童時間(メルヘン時間)はその後も続けていく現実に力を貸してくれるをストレートにやってくれつつ、演出がえらく叙情的だった趣深い一話。

 明述されなくても、やよいさんが小さい頃弱虫で泣きがちだったというのにはお父さんの早逝が関係してるであろうところは想像できるところで。第19話はお父さんと過ごした児童時間に貰った愛が今の現実の力になる話だったけど、今回はそんな時期に逃避的に描き続けた自分の理想像、ミラクルピースが今の現実の自分に力を貸してくれる話。児童時間のメルヘンは逃避なのかもしれない、だからそれは終わらせる類のものだ。だけど、そんなメルヘン時間は現実に力を貸してくれる、を本当にやってくれておりました。

 もう一つは、やよいさんの個別テーマ的に、競争に勝てないとしたらどうするのか、というような話があったと思うのですが(第3話もコンクールでは勝てない話だし、今話もどこかでプロ漫画家にはなれないかもというのは突きつけられている)、そっちの方の回答は、「それでも(勝てないとしても)、私は漫画を描くのが好き」だったのかな。今回も、たぶん市場競争の中でやよいさんが描いた漫画は勝ったり(新人賞受賞)はできない、という流れで描かれてると思いました。ただ、それはそれとして、自分が漫画を描くのが好きだというのは勝ち負けとは異相が違う話、くじけそうな時、立ち上がる力にはなるんだ、というような。日野さんと緑川さんが少し自分を見失って競争にのめり込んでいく中、やよいさんは黙々と海で絵を描いている……という第25話が僕はとても印象に残ってるんですが、これは現実でも本当最近は幸福観が様々。市場を勝ち抜くような強い強者は確かにすごい。それに異論はないけれど、客観基準の競争に勝てなくても、自分の本懐を充実して全うしていけたなら、それはそれでとても幸せだ、とも僕個人も真面目に思います。

 ただ、自分の本懐なりに、全うしていくなら「頑張る」。「一度決めたことは絶対最後までやり抜く」というピースの宣言の後、ハッピーが一言「ピース……」って言うところがとてもよかったですよ。第1話でみゆきさんが掲げた幸せのあり方ですからね。この深い所で何かを共有していた感。急速にみゆやよですよ!

 このデジタル作画隆盛の中、ベレー帽につけペンという漫画家像も、「一昔前のメルヘン」感。なにやら境さんの演出回には、一昔前に受け取ったものを、次に大切に繋げていこうという話の流れを個人的には感じます(スイートも「思い出のレコード」から始まる話だったし)。銀杏も季節の巡りを意識される感じでたいへん示唆的。今話もたいへん良かったのです。

→色々

スマイルプリキュア!ボーカルベスト

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→前回:スマイルプリキュア!第40話「熱血!あかねの宝さがし人生!!」感想へ
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