「てめえらなんかに何が分かるってんだ」(ウルフルンさん)

 スマイルプリキュア!第45話「終わりの始まり!プリキュア対三幹部!!」の感想です。
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 今回の見所ベスト1。


第1位:メルヘンを守りたい

 前回でロイヤルクロックが12時になり、シンデレラモチーフ的にメルヘン時間が終わり厳しい現実が到来。現実が来てみれば、メルヘン妖精だったキャンディはミラクルジュエルなるただの石に。メルヘン的精神の余剰が無ければ人間なんて水とタンパク質のかたまりです的な方向での虚無感です。

 そんな背景の中、第24話の「敵役がいないメルヘンランドの違和感」の伏線がついに回収。ウルフルンさんたちが、メルヘンランドの敵役の妖精たちでした。決め手は劇場版の「その世界には、あなたもいて欲しいの。」の精神のもと、みゆきさんの昔メルヘン(絵本)から貰った愛が伝導。スマイルの流れの一つの昔メルヘンから貰ったものを返してメルヘンを守る。守りたいメルヘン(絵本的共有体験としての物語)の中にはオオカミさんも鬼さんも魔女さんも入ってる。また、「つらいからこそあえてスマイル」をずっとやってきたスマイル組的に、オオカミさんたちのつらさは共有体験的に分かってしまう。そこで児童時間の愛され感覚の欠如が問題なんだから、暴れてる人とかにも今まで受け取ってきた愛を伝えよう、というここしばらくのプリキュアシリーズの精神が炸裂。物語の役割的に愛を感じ難かったウルフルンさんたちにも愛を注入(実際敵役に愛をそそぐ読者も多いという点で、わりとリアルな落としどころと思いました)。ハートキャッチ最終回で、今までキャッチしてきたハートをデューン様のハートに拳パンチで撃ち込む感じの精神です。武装、愛。そういう分けてあげられる優しさとか愛が、中盤のメルヘン時間パートがなかったら醸成されなかったであろうあたり、縦軸の構成力も感じる作品でした。

 さらに残り四話だけ劇場版のノリの中、ラストはバッドエンドプリキュアなる五人が登場で、まだジョーカーさんの話とかピエーロ様の話とかあるのにどうなるの感。公式サイトの予告を見ると自分の幸せのためだけに戦う人たちらしいので、最後の対立項は「自分だけでいい的閉じこもり世界VS仲間と一緒の共有体験、他者に会いにいこう」のわりとプリキュアシリーズ定番のものが土台になりそう。ジョーカーさんの「怠惰な永遠のメルヘンでいい」っていうのも、ようは自分にだけ都合がよい自分世界にずっと引きこもっていていいって方向ですからね。そうじゃないだろ、一時の避難所で糧をくれる類のものだけど、どこかでそこからは離れて現実で他者に会いにいこう。つらいかもしれないけど自分の物語を生きよう。報われないかもしれないけど頑張ろう。仲間に出会えたりするよ。それが次に伝わっていくよ。という方向がプリキュアさんたちな感じなので。

 前回のみゆきさんまとめ回で、作品的なメッセージは収斂してると思うので、ラスト四話はフィナーレのエンタメ最終章な感じで視聴したい趣です。毎年全員が劇場版形態にとか、謎の巨大無限プリキュア登場とか盛り上がるので、ベリーだけ翼が角ばってる的な方向でのサプライズに期待です。

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→前回:スマイルプリキュア!第44話「笑顔のひみつ!みゆきと本当のウルトラハッピー!!」感想へ
→次回:スマイルプリキュア!第46話「最悪の結末!?バッドエンドプリキュア!!」の感想へ
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