スマイルプリキュア!第46話「最悪の結末!?バッドエンドプリキュア!!」の感想です。
今回の見所ベスト3。
第3位:女王様には会えない
以前Rubyさんがちらっと書いていたけど、「構造上どんなに頑張っても女王様には会えない」は『はてしない物語(ネバーエンディングストーリーという映画邦題の方が有名だろうか)』のオマージュなのかもしれない。『赤毛のアン』や『ピーターパン』のオマージュはかなり作品の核に入ってる作品な訳ですし、エンデも古典級の作品として入っていておかしくない気が。大塚監督と同世代的に、僕らの子供の頃に少し背伸びして図書館で借りて読んでる子が多かった本の一つです。という訳で、ロイヤルクイーン様は既に死んでいて、もともとどんなに努力しても会えなかったことが明らかに。作品のキーワード的には、どんなにデコルを集める努力をしても、バッドエンド(目的は達成できない)は決まっていたのです。各エピソードで繰り返されていた「頑張っても勝てない、報われない」が、そもそもシリーズ縦軸の物語にも入っていたのには構成美を感じます。でもだからこそ縦軸の一番大きい話でも、だけど、それでも頑張ることに意味はあるはずだ、という各エピソードで描いてきた全てがラストに繋がっていく。
第2位:バッドエンドかもしれなくても
そういう訳で縦軸のメインストーリーでもバッドエンド構造が明らかになる中、各スマイル組は、自分のバッドエンド側面であるバッドエンドプリキュアさんたちと戦って「どかす」(全否定したニュアンスではないと感じました)というのがこのラスト3で描かれます。映画『鏡の国』の闇夢さんたちは「過去の自分」というコンセプトでしたが、今回のバッドエンドプリキュアたちは、未来の自分の理想がバッドエンド方面、特に利己的な方面に進んでしまった影、ノベルゲーム用語を使っていいなら選択肢を全部利己的に選んだ際のバッドエンド自分、というコンセプトに感じました。バッドエンドハッピーの自分さえ幸せならよくて、それには他者を不幸にすれば良い(相対的に幸福を感じられるから)というのが分かりやすかったですが、他のバッドエンド四人も何かと利己的な発言、行動を繰り返します。幸せを求道したはずが自分さえ幸せになればよくなっちゃうとか、美しさを求道したはずが自分さえ美しければよくなっちゃうとか、落ちがちな罠として結構リアル。
個別まとめ回で自身の本然が揺るぎなくなってるスマイル組五人がそういった自分の暗部(バッドエンドルート)を退ける訳ですが、ついに「名前の由来が明確に明らかになる」演出は深く涙腺にきてしまいましたよ。自分の暗部とかバッドエンド行き選択肢に遭遇した時、どうして頑張らなくちゃいけなくても暗部を横において自分の本然の道を選べるかは、努力とか競争力とかそういうんじゃなくて、やっぱり昔メルヘン時間に受け取った豊かさが心の奥に灯り続けているかなんだ。第19話のやよいさんの名前の由来の話といい、名前はやっぱり自分のルーツから贈られた優しさの象徴。今回に限ってはメタな話ながら制作陣から贈られてる優しさだよな。初期の雑誌インタビューで言われていた「スマイルに必要なもの」、ハッピー、サニー、ピース、マーチ、ビューティ。ピースが破壊力高かった。やよいさんの個別回が伝導する愛の話で、お母さんから受け継いだ優しさの名前、お父さんから受け取った自身の奥に灯り続ける愛情。それを次の誰かに分け合いたい。だから絵描きで最弱でもピースというキャラクターだったのか。綺麗事(メルヘン)だというバッドエンド自分に対して、ピースしてスマイルしてそれでも頑張るよと返すというのも作品全体を絡めても象徴的。平和っていう漠然とした概念とその道筋に、作品なりに定義を与えてるのが凄いな。
そういう訳で、各個別回で獲得していた自身の本然、理想の自分の信念のもと、まずは各個人のバッドエンドを突破。あとは、みんなの共有未来のバッドエンドを覆せるかです。
第1位:メルヘンの守り人たち
各個別回のまとめはおおむね、プレゼントを貰い続ける時間は終わりで(いつか終わりがくるロイヤルクロックの比喩的ギミック)、今度は私がサンタになる、というような、メルヘンを受け取る側からメルヘンを分け合ったり守ったりする側になる。子供から大人になる、という流れだったと読めると思うのですが、そんな中、最後に縦軸の大きな話として、既に亡くなっているお母さん(ロイヤルクイーン)と、その子供(キャンディ)という最終物語が。
やよいさん物語の文脈からして、もう亡くなっている点でバッドエンドはある意味決まっていたのだけど、それでも「伝える」ために頑張ったんだという話です。お母さんから子供に伝えられる愛情というメルヘンを、五人が、自分たちのメルヘン時間は終わったのかもしれないけれど、それが大切だと信じたいから私達は守るよ、という最後の話なのか。泣けるわ。熱いわ。
→色々

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→次回:スマイルプリキュア!第47話「最強ピエーロ降臨!あきらめない力と希望の光!!」の感想へ
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