ドキドキ!プリキュア第7話「ギリギリの戦い!さらば、プリキュア!!」の感想です。
今回の見所ベスト1。
第1位:リンクを取り戻す
スイートプリキュア♪あたりから顕著になってきた感がある、最近のプリキュアシリーズで描かれている、分断されて孤独に陥りがちな時代、私たちはどうすればいいのだろう、というような問題意識。
スイートプリキュア♪では過去の共有体験を鍵に分断を乗り越えて立ち上がりましたが、今回はマナさんと真琴さんには、特に過去の重厚な共有体験がある訳ではない状態で、この問題に向かい合います。でも、マナさん曰く、友達を助けるのに理由がいる? カッコいい。希望は友達と言っていたスマイルプリキュア!の話の次の物語的に、マナさんはスマイルという作品の守り人でもあるかのよう。
印象的に、王女様に手を離されてしまった、リンクを切られてしまった瞬間が、真琴さんの心に傷を作ってるような描き方も上手い。王女様からしたら自己犠牲的、献身的なあり方から自分から手を離したのかもしれず、例えばそれば作中で言及されてる『幸福の王子』的なあり方かもしれないし、序盤のどこか危うい、自分のことをカウントに入れてないような他者への愛の散布をみせるマナさんとも重なるように描かれているのかもしれない。自己犠牲は美しいかもしれないけれど、相手に伝わらなければ(相手の事情、個を考慮しなければ)逆に相手に傷を与えてしまうかもしれない。童話『幸福の王子』はディスコミュニケーションの話なんじゃないかという僕の解釈もそういう方向ですし(王子の善意、愛が、分け与えた人たちとすれ違っており、ラストも分け与えた側から双方向に王子に返ってくるわけじゃない)、実際手を離されて傷ついている真琴さんは、なんかもう本当に、分断を経験して自己重要感を保てない、最近のプリキュアシリーズのキーパーソンという感じです(スイートの初期響さんみたいな感じ)。
だけど、そんな真琴さんの手を、今話ではマナが握り、離さない。より重要なのは、今度は、マナだけじゃなくて、六花とありすも、一緒に真琴の手をとる。大きい困難の前に、王女様と真琴だけでは自己犠牲的にリンクを切るしかなかったかもしれないけれど、とりあえず今度は、現時点だけでも、幸福の王子の他に、燕と、謎の経済屋バックアップ要因がいる(ありすが本当大事な位置にいると思う)。リンクが途切れた? まだ終わってないよ、と。
今話だけでも、人間界とトランプ王国との途切れたリンクを何とか繋ぐ話だし、そういう一話の小さい話に、物語縦軸の、途切れた王女様と真琴のリンクを取り戻すという話が、背景に広がっていくのも上手い。そして、マナさんは第1話でも一度分断された後体力でタワー最上階まで登って行ってリンクを繋いだし、今話でも、もう鏡通れないよ? リンク切れたよ? と言われても、絶対に諦めないキャラなのだった。
今年も面白いです。映画のコアなネタバレは、だいたいいつもと同じように感想記事中では二週間くらいは書かないですが、映画もやっぱりリンクがキーの話だと思ったので、是非是非。
→公開初日に観てきた『映画プリキュアオールスターズNewStage2 こころのともだち』の感想はこちら(ネタバレ注意)
→大変素晴らしいファンブックでした。大塚監督からの三幹部の意味合いの話が少し載っていたりでした。

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→前回:ドキドキ!プリキュア第6話「ビックリ!私のお家にまこぴーがくる!?」感想へ
→次回:ドキドキ!プリキュア第8話「きゅぴらっぱ〜!ふしぎ赤ちゃん誕生!!」の感想へ
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