「それ本名?」(菱川六花)

 ドキドキ!プリキュア第8話「きゅぴらっぱ〜!ふしぎ赤ちゃん誕生!!」の感想です。
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 今回の見所ベスト1。


第1位:ファッション子育て

 アイちゃんデカい。

 それはさておき、このアイちゃんは商業展開的には女児向け作品の商品展開ではわりと伝統的な疑似ママ遊び用途の玩具として展開されていきそうだと思うのですが(CMなど見てると)、劇中での物語要素として、最初から本当のお母さんと子のように、愛情や無償の優しさで結ばれた関係なのか、というと、そういう描き方ではないと感じました。

 今話時点では、疑似的にでもマナさんが本当のママでアイちゃんが子かといったら、そうではなくてアイちゃんは"異者"として描かれてると思いました。別に自分のお腹を痛めて生んだ子でもないし。ただ何だか分からないけど、大きい卵から出てきた可愛い"異者"。それにマナさんは例によって愛を向けるのだけど、第1話から色々な場面で続いて描かれているそれだけでは危ういんだよ、という描写に感じました。

 なんどか書いてるように、僕は劇中で引き合いに出されてるオスカー・ワイルドの童話『幸福の王子』もディスコミュニケーションの話だと解釈してますし(王子が、愛を分け合った人達とすれ違っていて、双方向の関係にない)、どうにも、ドキドキ!プリキュアでもこの第8話まで、マナさんの愛の散布には「?」マークが付きまとうように描かれてると思うのですね。物語序盤だから当たり前なのですが、今の段階では何かが足りないって感じなのです。だから、今の段階では真琴さんもがんばって歌っても「あの方(あえて女王さま表記でなく)」には届かないし、今話なんて、マナの歌はアイちゃんを泣かせてしまう訳で(本人は愛を届けるつもりでやってるはず。ただし、ラストシーンの真琴の歌の方は伝わるのには、きっと意味がある)。

 そういう流れで、今話の何だか出会った可愛い"異者"であるアイちゃんにファッションママ(と言ってしまうけど)として愛情を向けるっていうのは、現時点ではこれまでの「?」マーク「愛」描写と同じく何かが足りない描写だと思ったのでした。仮仮契約くらいの印象でしたね。その「何か」を話の進行と共に埋めていっていつか本契約に至るのか、という物語というか。

 色々、毎年その年のシリーズの主題が念頭に置かれて作られてる感がある今回の映画(『映画プリキュアオールスターズNS2』)にも、やっぱり一方向の気持ちだけでは、ディスコミュニケーションだ、というような要素が入ってると思いました。『スマイルプリキュアコンプリートファンブック』に、梅澤淳稔プロデューサーの、今回の映画のテーマは「いじめ」だという言及があったりしますので、機会があったらその辺りに焦点を置いた映画感想二つ目も書いてみたいかなとちょっと思っていたりです。




公開初日に観てきた『映画プリキュアオールスターズNewStage2 こころのともだち』の感想はこちら(ネタバレ注意)


→大変素晴らしいファンブックでした。各キャラクターの変身前、変身後の表情集も良い感じ。

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→前回:ドキドキ!プリキュア第7話「ギリギリの戦い!さらば、プリキュア!!」感想へ
→次回:ドキドキ!プリキュア第9話「ハチャメチャ!アイちゃん学校にいく!!」の感想へ
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