「何ケル?その反応」(ラケル)

 ドキドキ!プリキュア第9話「ハチャメチャ!アイちゃん学校にいく!!」の感想です。
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 今回の見所ベスト1。


第1位:ディスコミュニケーション

 自己中で対立する野球部とサッカー部の構造が、今話のプリキュアたちとジコチューの戦いの構造に、ひいてはおそらく縦軸のトランプ王国とジコチューの戦いの構造にまで重ねられてる一話だと思いました。

 今話では、相手のルール(野球なら野球のルール)に合わせていたあたりは良い感じだったのですが、結局「一回戦負けの弱い俺たち」が自己中(強くなって勝ちたい。相手より上に立ちたい)の源泉だった野球部とサッカー部の主将たちを、彼らよりもより強く、より速くなったプリキュアさんたちが上回って勝っただけ。

 強大になった敵に対して、プリキュアたちがより強大な力で打倒するのでは終わりがない。そうなると愛しかない。という趣旨のことを、『映画プリキュアオールスターズNS1』の時に志水淳児監督がインタビューで仰ってたのが個人的には印象に残ってますが、今話の解法では、基本的に争いは終わらない。『ドキドキ!プリキュア』も映画NSシリーズ以降の文脈で作られてると思われるので、話数的にも今のあたりは物語としてはタメの話が続いているのかなぁと視聴しておりました。

 この、


野球部-サッカー部
今話のプリキュアたち-今話のジコチュー
トランプ王国-ジコチュー


 あたりの間のディスコミュニケーションが重ねられて描かれてるのかなと思ったのが一つ。

 で、おそらくそれに、


マナさんたち-アイちゃん


 の間のディスコミュニケーションまで重ねられてる物語構造なのかなと思いました。今話もですが、時々挿入されるマナさんの変身後の名乗りを敵さんたちに「聞いて貰えない」という描写も、現時点のマナさんの愛の伝導は一方方向的というネタだと感じているのですが、前話ではマナさんの歌はアイちゃんに届かず、今話でも、泣いてるから食べ物をあげようと思ったら、アイちゃんとしては寝たかった、と、ディスコミュニケーション描写が続いてる気がします。「扉」が印象的に使われているであろう作品で、生徒会室の扉を閉めちゃって(リンクを閉ざして)、中にアイちゃん置いて出て行っちゃうのも気になる描写(その間、マナさんは生徒会長として他人へ愛を散布し続ける)。ディスコミュニケーション状態の異者(小さくはアイちゃん。マナさんから見た真琴さんも序盤ではこのポジションっぽい。そして、おそらく縦軸の物語ではジコチュー)があったとして、リンクを切ってるだけではダメだというような。

 そういう意味で、ファッション母娘(と現時点では言ってしまうけど)として始まったマナさんとアイちゃんとのリンクが、本当の愛のようなものになっていく過程が、ジコチューという異者とどう折り合いをつけるのか、真琴さんと王女様は再リンクできるのか、という大きい縦軸の物語の話と重なっていく構成なのかな、と思って視聴しておりました。

 そんな流れの中で、次回は「ステージの上」の存在的に描かれていた真琴さんが、「ステージの下」までやってくるお話っぽい。

 今年も物語度が豊かな感じで、好きです。




公開初日に観てきた『映画プリキュアオールスターズNewStage2 こころのともだち』の感想はこちら(ネタバレ注意)


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→前回:ドキドキ!プリキュア第8話「きゅぴらっぱ〜!ふしぎ赤ちゃん誕生!!」感想へ
→次回:ドキドキ!プリキュア第10話「転校生は、国民的スーパーアイドル!!」の感想へ
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