ドキドキ!プリキュア第11話「めざめよ!プリキュアの新たなる力!」の感想です。
今回の見所ベスト1。
第1位:一人で全員に愛は分け与えられない
沢山の人達に無制限に愛を散布しようとするし、実際超人スペックなんだけど、どこか「一人で全員に愛は分け与えられない」感が漂うように描かれているマナさん。第1話で部活の勧誘に全部応えようとするシーン辺りから少し疑問符が付いて回るような描き方だったと思うのですが、今回は顕著に、愛を分け合うの精神の元他者を助けようにも、ソフトボール部の助っ人に行くか、捕らわれたアイちゃんを助けに行くか、二つに一つという状況に。両方にとか、全員助けようとか、そうそう無理で、現実は厳しいのです。
これ、解法をどうするのかなと思ったのですが、マナの生き方を見たソフトボールの一年生部員(投手)が自力で「頑張る」だったのが、『映画プリキュアオールスターズNS1』〜『スマイルプリキュア!』からの流れを汲んでいるなと感じました。マナさんが『スマイルプリキュア!』ラストのみゆきさんから継いだ「メルヘンを体現するような」存在としての主人公だとして、メルヘンとしてのプリキュア頼みじゃなくて、一人一人が主人公として「頑張る」。状況はとても厳しいけれど、という。
一方で、第4話のありすのエピソードの過去シーンの時もですが、この「助けを呼ばない」というのが序盤のマナさんのマイナス描写だと思うのですが、今回も一人で来いと言われて、本当に一人で行くという行動を選択します。部活の助っ人設定が、例えば『スイートプリキュア♪』では序盤の響さんの、助っ人と言うことは逆に言えばどこにも居場所がない、という孤独要素にも使われていた設定だったりもするので、この辺りの一人は独り設定は、物語の深みを感じます。
ディスコミュニケーション状態で自分をすり減らして愛を散布し続けた結果、力尽き、溶鉱炉行きになり、天国で幸せになるしかなかった『幸福の王子』の、幸福の王子救済ミッション的な構造がある物語だと思ってるのですね。幸福の王子たるマナさんは、このままだと同じように擦り減って悲劇的に終わってしまうかもしれない。だけど、『幸福の王子』に劇の脚本が書けないで困って飢えている青年に王子が宝石を分け合うエピソードがありますが、これ、脚本家の青年が、自身の物語として「頑張って」脚本を書いてお金を稼げれば、幸福の王子は自分をすり減らさないで済むのだと思うのです。だから、最近のプリキュアシリーズの「一人一人が主人公」「頑張る」要素は、それ自体が幸福の王子(相田マナ)救済ミッションだとも言えそう。
そして、その「頑張る」段階を踏まえた上で(踏まえないと、『スマイルプリキュア!』で言うなまけ玉的な怠惰な世界や、劇場版の他人に全てを委ねて文句言うだけの序盤のニコちゃんみたいな状態になってしまう)、でも一人で頑張るのには限界があるから、ここでスマイルラスト2で言う「希望は友達」とか、今作の「リンク」の出番だと。
助けを呼ばない、一人は独り属性を抱えてしまっているマナさん救済ミッションのもう一角は、今回はセバスチャンだと思いました。プリキュア世界四人だけと、一般人たちの世界との中間的存在。今の所リンクの象徴のようなポジションにいる人。さらっとセバスチャンからリンクが繋がり、ソフトボールの方は一年生の子が当人の物語を頑張り、六花、ありす、真琴は、独りで闘っているマナの助っ人に向かう。何やら、作品全体の色々なことがギュっと詰まってる感じの回で、堪能いたしました。
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