「いいね、青春だね」(相田マナ)

 ドキドキ!プリキュア第29話「マナのために!シャルル大変身!」の感想です。
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 今回の見所ベスト1。


第1位:リプライ

 前話から引き続き、このままだと『幸福の王子』として破綻するマナさんの救済ルートに入ってる気がします。『幸福の王子』、一方的に身体を削って愛を散布していたけれど、受け取った側からリプライはなかった。コミュニケーションは一方的で、全てをすり減らした王子は溶鉱炉行きになりました……というのが問題のような解釈で劇中で扱ってると思います。

 前回、疑似相田マナさんたる亜久里が、かつて通りすがり的に助けていた森本エルさんから、思いもかけず助けられる(リプライ、返事)、というのが描かれておりました。今回のシャルル人間体もそんな文脈かと思いましたね。マナさん→シャルルには愛を散布していた所、今回はシャルル→マナのお手伝いでリプライがきてる点が一点。そして、人間体シャルルは容姿が似てる点からして疑似相田マナさんみたいな意味合いかと思うのですが、肝心な所でポカはしたものの、通りすがりのヒーローとして、人助けはしていた。そして、『幸福の王子』バッドエンドとは違って、ちゃんと助けていたお婆ちゃん、お母さんとお子さんから、シャルルへのリプライの意志があるのが描かれる。

 「人間体になると通信はできない」が、もうテーマど真ん中ですよね。その、コミュニケーションできない状態を、乗り越え得る可能性のエピソードだったと解釈。『スマイルプリキュア!』のキュアピース主題理論で、昔受け取った愛を次に返していけたなら、世界は少しずつ優しくなるはずだと似た感じで。マナさんは1対1で一人の人を選んで向き合えない、欠落的なヒーローなのかもしれない(今話も、全部は選べない問題が顕著。ただ、この主題は、秋の映画で結婚という「一人の人と向き合う」話で、何か解答が描かれるのかもしれない)。でも、そんな通りすがりのヒーローに憧れたシャルルが、例えば第12話の純君が、次の通りすがりのヒーローになって、次の人助け、次の愛の散布をやっていけるなら、理論上、少しずつ世界は助かっていくはず、というような。

 「リソースの追加」ってことですよね。『幸福の王子』が脚本家に宝石を分け与えた後に、脚本家の方も王子にリプライし、成長して次の誰かに人助けし、また愛を伝えられたなら、というケース。幸福の王子一人、マナさん一人では、全員は助けられない。だったら? といのが描かれ始めていると予想。今年の『映画プリキュアオールスターズNS2』のコピー、「わたしたちは、ひとりじゃない!」も熱いな。

 これはなー。プリキュア5のBlu-rayBOXも告知されましたけど、例えば「Gogo!」は最後までディスコミュニケーションの話だった、館長とフローラ様は解り合えなかったエンドだった、とかを思い出すと、別解、という感じで、繋がるプリキュアシリーズ全体の文脈で熱いのですよ。次週放送の『映画プリキュアオールスターズNS1』も、分断を超えて繋がりを双方向化できるかとか、自分一人で限界な時、助けにきてくれる、とか、そういう物語です。

 そして、ドキドキ!の方の次回は、特訓エピソード総決算みたいな感じなのだろうか。公式サイトの予告の文章読むに、わりと、ファンタジーより? 四葉財閥の謎のトレーニングルームで汗をかく展開はない感じか……。パインは持久力!

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